~北アルプス“穂高” の読みは “ほか” が正式~

8月10日は「山の日」でした。

「海の日」も「山の日」も私にとっては “そういえば、そんな日もあったよね” という程度の、存在感の薄い祝日ではありますが

せっかくの「山の日」なので、山の関連で “歌謡曲の影響力の大きさを思い知らされた” という話を、参考までに紹介します。


昭和22年に、近江俊郎さんの歌で大ヒットしたNHKラジオ歌謡
『♪山小舎の灯』は、2番の歌詞に

♪くれゆくは白馬か 穂高は茜よ ~
 (米山正夫・作詞)

と、登山者に人気の高い北アルプスの

▲白馬岳(しろうまだけ)
 北アルプス北部 所在
 (“北アルプス北部” のことを富山県側では “後立山連峰” と
  呼称していますが、国で定めた名称ではありません)



▲穂高岳(ほかだけ)
 北アルプス南部 所在
 (穂高岳は穂高連峰の総称)

の2つの山の名前が出てきますが、近江俊郎さんは、この穂高岳の「穂高」を「ほか」と誤った呼称で歌ったために

その後レコードやコンサートでカバーした多くの歌い手さんたちも「ほか」を踏襲し、カラオケの歌詞にも「ほか」と仮名が振られるなど、正しくない山名が広く定着してしまった経緯があります。


山の正式な名前については、かつての根拠は省略しますが、現在は国連の “地名標準化会議の決議” に基づき

国土地理院がとりまとめ、日本国政府によって、山の名前が漢字の読み方まで規定されています。

「穂高岳」については

○ 穂高岳
○ ほかだけ
○ Hotaka Dake

と、日本語表記(漢字・ひらがな)およびローマ字表記を国が定めています。

  ※ “連峰” など広域にわたるものについては、国で定めた名称はありません。  ~国土地理院~


というわけで、歌謡曲の影響力は、かくも大きいものだということを思い知らされた事例、それも好ましくない方の事例でした。


ちなみに、登山者に愛唱されている古関裕而さん作曲の『♪穂高よさらば』も同様に、「ほか」と正しくない山名で何人も方々がレコーディングしています。

岳人が山名を間違えることは、まずないと思われますが、芹 洋子さんをはじめとする歌い手さん方が「槍・穂高」に登ることなどないでしょうから・・・無理もないか?

しかし、そうはいってもレコーディングなどの際は、その社会的影響の大きさに鑑みて、地名・山名などは正確にお願いしたいですね。

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