8月30日にアウェーで行われた2025年明治安田J2リーグ第28節ジェフ千葉戦ですが、試合結果は1対2でヴァンフォーレは敗れてしまいました。ヴァンフォーレの得点は前半に挙げた内藤選手のゴールでした。



☆先発変更は3人
ホームで敗れた札幌戦から中6日。J1昇格プレーオフ圏内入りに向けて連敗は許されないヴァンフォーレは札幌戦から先発を3人変更。戦術的な問題から前半途中での交代となったミカエル ドカ選手に代わって小林選手を起用。その小林選手が左サイドに入り、荒木選手が右側にコンバートされます。そして土屋選手に代わり大分戦で安定感のある守備を披露していたヘナト アウグスト選手を先発に復帰させ、シャドーを務めていたマテウス レイリア選手のところに田中選手を起用しボランチの場所には第24節山形戦以来の出場となるヴァウ ソアレス選手を使います。このなかでの注目選手はソアレス選手。足元の高い技術を活かした長短の正確なキックで幅広いエリアにパスを供給する武器を持っているものの、最近の試合では相手にパスの供給源として狙われてボールを奪われる機会も多かった彼でしたが、今回大塚監督はソアレス選手の展開力を買ったと思いますね。相手からのプレッシャーを受けながらもそれを掻い潜って持ち前の長所を存分に発揮できるか注目でした。そしてボランチのポジションで評価が上がっていた田中選手とのポジションチェンジによって相手のマークを錯乱できるかもこの試合の行方を左右させるポイントだったと思います。


☆前からの圧力でペースを握る&内藤選手先制弾
試合の立ち上がりから積極的に動き相手にプレッシャーをかけていくヴァンフォーレ。抑え気味に入った千葉を尻目に敵陣で攻勢を仕掛けていくシーンが目立つようになります。その前からのプレスの中心的な存在となっていたのが田中選手。最近の試合ではボランチのポジションに入ることが多かった彼ですが、今回はボランチにソアレス選手が起用されたことで基本的には前目の位置にいることに。162cmの小柄な体格を最大限に活かし機敏な動きと相手の懐に潜り込む力で次々と素早く寄っていき圧力をかけていきます。その動きに連動し内藤選手や鳥海選手も相手のパスコースを遮断しながら組織的にプレスに行く姿勢がこの試合で強くみられていましたね。その積極性が功を奏し、右サイドでのフィジカルコンタクトに勝ったヴァンフォーレはボールキープし中盤でソアレス選手に渡します。ソアレス選手は斜め前方に鋭いパスを送ると、そこにいた田中選手はうまく体を使って反転し相手マークを外してドリブルを開始。相手のDFとMFの間のスペースを使い寄ってくる相手もかわしながらエリア付近まで持ち込むと、その横でフリーになっていた内藤選手にラストパス。パスを受け取った内藤選手はシュートを冷静に左隅に決めてヴァンフォーレが先制点を挙げることに成功します。内藤選手は今シーズン3得点目。この先制点のシーンではプレッシャーの強かったエリアを敢えて選んでそこにパスを通したソアレス選手のキック精度の高さと、相手のファーストチャージに倒れることなく耐えることができた田中選手の踏ん張りが良かったですね。それによって手薄な状態のエリアを突くことができました。そしてゴールを決めた内藤選手の落ち着き。突然やってくる決定機に慌てることなくきっちりとゴールへ流し込めるところに内藤選手の基本能力の高さを感じることができます。これまでのシーズンの最多得点は昨シーズンの1得点のみだったので、この3得点目でゴールハンターへの目覚めが期待できそうですね。


☆判断ミスから手痛い失点
幸先よく先制点を決めることができたヴァンフォーレでしたがその8分後にまさかの失点を喫することになります。前半25分、左サイドから千葉椿選手の仕掛けを2人で対応しうまく体を入れて相手からボールを奪えたと思ったのですが、荒木選手はゴールライン付近でそのままボールキープを選択。そこに椿選手が猛烈なプレスをかけにいきボールを奪うと、近くにいたカルリーニョス ジュニオ選手にパスを出されシュートを難なく決められてしまいます。呆気にとられるヴァンフォーレの選手たちとサポーター。このシーンは守備を対応した荒木選手のプレーの迷いが不味かったポイント。体を入れてディフェンスしたまでは良かったのですが、そのままボールキープしてもゴールラインを割るボールの流れではなかったしゴールに近い危険なエリアだったのでセーフティに大きく蹴り出すのが判断の正解だったと思います。彼のなかではキープしているところに味方がフォローしに来てくれるという考えがあったかもしれませんが、うまく意思疎通が取れませんでしたね。それは荒木選手が普段いる左サイドから最近では右サイドでの出番が増えたことも影響していると個人的には思っていて、今までと違う選手との組み合わせが連携のズレを生み、普段通りにいかなかった要因となっていた気がします。また他の選手もこのシーンでは荒木選手に任せっきりになっていたので、チームとしてのリスクマネジメントもしっかりできなかった問題が浮き彫りになるシーンだったと思います。


☆立ちはだかるホセ スアレス選手の壁
1点は取られましたが、試合展開的にはヴァンフォーレが積極果敢に仕掛けていきペースを握っていた前半。シュートも相手の4倍近くの15本を放ちあと2〜3点取れててもおかしくない状況でしたが、そこに立ちはだかっていたのが千葉の守護神GKホセ スアレス選手の存在感でした。田中選手の至近距離からのシュートをストップするとロングスローからファーサイドを走ってきた孫選手が強烈なヘディングシュートを放つもののまたもや好セーブ。そして鳥海選手や小林選手のミドルシュートを横っ飛びでセーブするなど、何度もくる千葉のピンチをスーパーセーブで連続して防いでいましたね。こちらからすると次々と訪れる追加点の場面が一向に決まらないもどかしさは確実にあったと思います。前半のうちに2点目&あわよくば3点目を決められていたら試合展開も接戦を得意とする千葉のペースにはならなかったと思うので悔しさが残ります。この日当たっていたホセ スアレス選手の大きな存在感が千葉側に試合の行方を傾けたと言っても過言ではないと思います。


☆後半立ち上がりに得点できる千葉の強さ
1対1の同点で試合を折り返した後半立ち上がり3分、ポッカリ空いたヴァンフォーレの右サイドを3人の選手が入り込み左サイドから仕掛けた千葉は狙い澄ませてクロスボールをゴール前に供給。一旦は小林選手がクリアしますが、飛んでいったクリアボールの先のカルリーニョス ジュニオ選手がダイレクトでファーサイドにパス。そこにフリーでいたイサカ ゼイン選手がシュートを放ちポストに当たるものの、すぐさまそのこぼれ球を自ら押し込み逆転ゴールを決めます。このシーンではまず右サイドのエリアに大きなスペースを作っていたことが問題点で、それによりそこを突いた千葉は余裕をもってクロスボールを上げることができました。そしてイサカ ゼイン選手をマークしていた小林選手がクリアしたなら、他の選手が得点を決めたイサカ ゼイン選手に守備のフォローに行かなければいけない状況でした。その守備の連携がうまく取れなかったのは後半開始直後という時間帯も影響があると思います。一般的に前後半の立ち上がりは得点が動きやすい時間帯と言われています。試合に集中できていないヴァンフォーレに対してそこをしたたかに狙って得点できる千葉はやはり上位にいるクラブだなと実感させられましたね。


☆追い上げる力の欠如
後半の序盤に逆転されたヴァンフォーレ。試合に勝利するために早めに同点に追いつき&追い越したかったのですが、前半飛ばして動いていた影響も響いてなかなか攻勢を加速させることができません。ハーフタイムでこちらの特徴を掴み修正を行った千葉は中央を絞るディフェンスをしながら得意なサイド攻撃へと展開し徐々にペースを握り始めます。前半の展開とは打って変わって守勢にまわることが多くなったヴァンフォーレは、チームのギアを入れるために交代策で状況の打開を図ります。攻撃的な熊倉選手や今シーズン初出場となる佐藤和選手を起用すると、マテウス選手や遠藤選手&大島選手などを次々と投入。フレッシュな人材を起用することでチームの巻き返しを狙っていましたが、一旦千葉に傾いた試合の流れは取り戻せずに結局試合のスコアは動くことなく1対2で試合終了。ヴァンフォーレにとって痛すぎる連敗となりました。


☆敗因は?
この試合ヴァンフォーレが敗れてしまった要因として2点挙げたいと思います。まず1つ目は自分たちの判断の過ちや油断によって引き起こした2失点だったこと。千葉の一瞬の隙を突くしたたかな姿勢は敵ながらお見事というべきポイントでしたが、どちらかというと相手が素晴らしいプレーをしたからではなく自分たちの非で失点までたどり着いた印象でした。1点目は荒木選手が他の味方を頼ることなくセーフティに蹴り出したら防げた状況でもあり、2点目もクロスボールに繋がった右サイドを完全フリーにしていたこととファーサイドへのフォローが遅かったことも含めてチーム全体で気が緩んだ瞬間があったように思います。そこをしっかり締めていかないと上位に行くのは厳しいと思うし、そこが上位クラブとの差だと個人的には思います。そして2つ目は反撃する力が乏しいこと。追いかける展開になったときには交代枠の使用によって試合状況をガラリと変えたいのですが、得点を奪いに行くために必要な ‘一芸’ の能力を持った選手がベンチに見当たらないのも気になります。複数ポジションをこなせる&運動量があり精力的にボールを追いかけることができる選手がいるのももちろん大切ですが、ゴールに直結するような圧倒的なスピードを備えている存在&敵陣ゴール前で高さを活かせる存在などが使えることで一気にチームに得点の匂いが漂い始めます。今シーズンのヴァンフォーレの終盤の時間帯(76分〜90分)の総得点数が3得点のみのように、クライマックスでの力が発揮できない状況が続いています。終盤の時間帯でも相手に攻撃のプレッシャーをかけられるように屈強なフィジカルを持つネーミアス選手の起用など、アプローチ方法を工夫する必要があります。残りの試合ではその点が改善しているチームの姿を見たいですね。


…この敗戦によりヴァンフォーレの今シーズンの成績は、10勝8分け10敗の勝ち点38となり順位は前節より1つ下がり11位となっています。J1昇格プレーオフを争うグループに近づけるチャンスで連敗してしまったことへのダメージは想像以上に大きくあり、その可能性を狭めてしまったことは否めません。しかしプレーオフ圏内6位との勝ち点差が9とまだまだ諦める状態ではないと思います。これから連勝を続けていけばきっとその可能性も見えてくると思うので、チーム&選手たちを応援で力強く後押しして希望を繋げたいですね。次節も頑張っていきましょう!




【ジェフユナイテッド千葉×ヴァンフォーレ甲府|ハイライト】2025明治安田J2リーグ第28節|2025シーズン|Jリーグ