ヌュアンス 4thワンマンライブ「はじめましてヌュアンスです。」
日時:2019年4月25日(木) open 18:00/start 19:00
会場:TSUTAYA O-EAST


 


19:00
ステージ上にさまざまな種類の椅子が無作為に並べられている。
丸椅子、背もたれのある椅子、ソファー。
ステージ後方には、事前に告知されていた通り、2組のバンドセットが並べられている。そしてバンドセットとバンドセットの中央にはコンガがずてんとした重量感をもって鎮座している。
目を天井に向けると、所狭しといくつもの照明が吊るされている。
まだステージ上は暗いままだ。
フロアはまだざわついている。

やがて黒いスーツに身を固めた高身長の男Aがステージに現れる。
右手に双眼鏡を持ち、目に当てて覗き込んでいる。左手には計数カウンターを持っている。
合図もなしにステージ上に現れた男A。
フロアにいる観客は、それが演出の始まりとはまだ気づいていない。
男Aは双眼鏡をフロアに向ける。
観客をゆっくりと見渡す。
しばらく見渡し、ゆっくり歩きだしては、また観客を見渡す。
突然、手に持った計数カウンターをカチカチカチと押して、観客の数を数え始める。
そのあまりの唐突さに、観客からくすくすと笑いがおこる。
男Aは一言も発しない。
双眼鏡を覗き込み、カチカチカチっと計数カウンターを押して、ただただ観客の数を数える。
上手に移動して、今度は椅子の上に立ち、フロアを見渡す。
再び、カチカチカチっと計数カウンターを押して、観客の数を数える。

次に男Bがステージに現れる。
男Bも男Aと同じように黒いスーツに身を固めている。
男Bはステージに乱雑に置かれた椅子を丁寧に移動し始める。
下手側の椅子を2脚向かい合わせに並べ、その上に2脚の椅子を積み重ねる。
椅子のタワーだ。
今度は上手側に移動する。
同じように椅子を2脚向かい合わせに並べ、その上に2脚の椅子を積み重ねる。
2つ目の椅子のタワーができる。

男Aの観客数のカウントは続く。
男Aがついに口を開く。
「おーい。はいってるよー。」
そしてカチカチカチっと計数カウンターを押す。
「おーい。おーい。はいってるってー。」

やがて、ひとりまたひとりとバンドメンバーがステージ上に現れる。
ステージ上に置かれた椅子にくつろいだ様子で座っていく。
バンドメンバーは、まるで公園に集う人々のように気軽に挨拶をかわし、めいめい自由に椅子を腰を下ろし、談笑する。
再び男Aが口を開く。
「おーい。おーい。はいってるってばー。」
しかし誰もその言葉に反応しない。
「聞こえないのー?どういうつもりなのー?」
バンドメンバーがゆっくりとステージ後方に向かい、それぞれの楽器の演奏位置につく。
男A「弾くつもりなの?弾くつもりなの?だからはいってるってー。」
男B「言ってよー」
男A「何回も言ったよー」
ここで男Aと男Bがそれぞれステージ前方に移動し、観客と向き合う。
いよいよ舞台の始まりだ。

男A「ようこそ、いらっしゃいました」
男A「ここの支配人を務めさせていただいています」
男B「しはいヌュイン」
男A「案内人を」
男B「あんヌュいにんを」
男A「マネージャーを」
男B「マヌュージャーを」
しばらく、男Aと男Bによるヌュ談義が繰り広げられる。

男A「お前らなんか早く捌けろよとお思いの方もいらっしゃるとは思いますが...みなさまには心に残る忘れられない景色というものはありますか?」
しばらく日本国内の素晴らしい景色を挙げていく男Aと、海外の素晴らしい景色を挙げていく男Bとの格差ある会話が繰り広げられ、観客をくすりとさせる。
男A「しかし一番の景色は、みなさんの笑顔です」
男B「気持ち悪いですね」

男Aが「これから皆さんをいつもと違った景色にお連れてします」とこれから紡ぎだされる物語のはじまりを宣言する。「それは4人の少女が暮らす街。大人になっていく成長の物語...」
ステージ上に、青い照明が照らされる。

ここまで14分。
今回のワンマンライブを劇団鹿殺しの浅野さんがステージ演出することは既に告知されていたため、演劇色の濃いステージになることは予想できていたが、主人公の登場なしでここまで引っ張るとは思わなかった(笑)
そしてO-EASTのキャパ1,300人を埋められない状況を分かっていて、ブラックジョークともいえる観客数にあえて触れて、逆に笑い飛ばすそのセンスが良い。
それにしても劇団員の人はやっぱりうまいなー。間の取り方とか。
演劇とかまったく興味なくて全然見なことないんだけど、多分、舞台とか見始めたらハマってしまうんだろうな~と。
がしかし、なぜ冒頭14分間もヌュアンスを登場させない演劇パートを作ったのか。
この時点では、その意味合いが理解できなかった。

 

 

19:14
M1 town
ヌュアンス4人の朗読する声がスピーカーから流れ出る。
ステージ上にはまだ誰もいない。
そういえば、ワンマン前のミサキサン通信で「ワンマンライブの一曲目は何になるか」をツイキャスに参加していたファンが予想していたけど、やはり「town」で始まることを予想していた人が多かった。
これはみんなの予想通りだったかな。

朗読が終わると、2m四方の大きな白い布を持った4人がステージ上に現れる。
自分自身の体をその白い布で隠しているので、その姿は観客からは見えない。
そのまま全員椅子に立ち上がる。
次の瞬間、白い布が取り払われ、ヌュアンスのメンバー4人が現れる。
全員セーラー服を着ている。
えっ?セーラー服?
マジか、マジなのか?

学校のチャイムが鳴り響く。

これは何?
藤Pの趣味?
・・・やっぱりセーラー服が趣味なの?
・・・いやここはあえて勘繰らないでおこう。
ありがとう藤P。
ありがとう。
わたしが言えることは、ただそれだけだ。

M2 Love chocolate?
黒バンドの演奏でスタート。
ヌュアンス4人の力強い歌がフロアに響く。
うん。バンドに負けてない。
良い。良いよ~。
着ている服はセーラー服なのに、履いている靴はローファーではなく黒いブーツであることにここで気付く。
違和感を覚えつつ、ヌュ4人のパフォーマンスに心を奪われる。

M3 tomodachi
男Aと男Bが再び現れ、Love chocolate?で使った椅子を片付ける。
当然のように、黒バンドから白バンドにシームレスが曲が繋げられる。
tomodachiは既にリリースイベントで2回ほど見ているが、見るたびにエモさが増していく。
特に1番終わりのエレピパートで、ヌュメンバー4人が順番にステージ後方から前方にかけて、モデル歩きのようにまっすぐ歩いてくるところがお気に入り。
カッコいい。キマってる。
良いよ~。
そして曲終了寸前で、男A男Bが再びステージに現れたかと思うと、ヌュメンバー4人のセーラー服をばさりと引き下ろす。(表現がエロいな)
するとそこには、最近着用している黒衣装のヌュアンスが現れたではないか。
まじか。
早着替えか。
そう来たか。
これは予想しなかった。

そんな早着替えの様子はこちら。

 

M4 byebye
早着替えからのbyebyeで一気にテンションが上がる。
照明が激しく明滅する。
黒衣装でのbyebye。カッコよすぎるやろ~。
そして珠理ちゃんがステージ上手にやってくる。
めっちゃ笑顔やん。めっちゃ笑顔やん。めっちゃ笑顔やん。
(大事なポイントなので3回言ってみた)
この日の珠理ちゃんは、いつになく終始ニコニコしていた。

M5 白昼ブランコ
この曲だけ唯一(だった気が?)、バンドでなくオケでのパフォーマンス。
確か3rdワンマンの白昼ブランコもオケだったはず。


ここで再び、大きな白い布が2つステージに持ち込まれる。
ヌュアンス登場のオープニングSEが流れる。
白い布の後ろに姿を隠したヌュの4人が、やがて白布から現れ出て、2人1組で日常の風景を演じ始める。
学校での会話。
友人の待ち合わせ。
そんなよくある日常を無声でパフォーマンスする4人。
演技しているヌュ。
初めて見た。


M6 ゆれてみて
きたーーーーっ!
唯一既存曲でライブを見れていなかった「ゆれてみて」。
見たかったんだよ。
まさかバンド演奏で、ゆれてみてが来るとは。
「まさか思わなかったよね。こんなことになるなんて」だよ。
歌唱する1人をのぞいた3人が、それぞれ日常生活をパントマイムで表現するこの曲。
それぞれのメンバーが一体何を表現しているのか。
ちょっと1回見ただけではわからない。
ここは追々発売される予定のDVDでじっくり見たいポイントだ。
わかちゃんが1人椅子にのぼり、気持ちのこもった声でソロパートを歌い上げる。
ステキだわ~。
そうこの曲は、わたしが心安らかな気持ちで眠りたい時に聴く曲ナンバー1なのだ。
セトリに入れてくれてありがとう。

M7 サーカスの来ない街
ヌュアンスの隠れた名曲。
来ない街。
何度も聴いている曲だけど、最後の大サビではいつもウルウルしてしまう。

M8 セツナシンドローム with 絶対忘れるな
まさかの「絶対忘れるな」さん乱入での「ぜっなシンドローム」。
これも聴きたかったやつだった~。
っていうか「絶対忘れるな」さんがサブステージに現れたの、ほんと全然気づかなかった(笑)
ここで一気に観客のボルテージが急上昇。
ヌュアンス! (ヌュアンス!)
かわいい! (かわいい!)
ヌュアンス! (ヌュアンス!)
大好きー! (大好きー!)
全力で叫ぶオレ。
この一瞬、志賀ラミーさんと気持ちほぼシンクロできたと自負している。
これまで白バンドと黒バンドが交互に演奏していたが、この曲では両バンドともに何かしら演奏していたように見えた。総力戦だ。
ステージをはけるぜわすさんに、ヌュアンスのメンバーがハイタッチ。
楽しすぎる~。

M9 sanzan
そしてセツナからのsanzan。
これはエモい。エモいよ~。

曲が終わり、ステージから袖に走り去る4人。
やがてドラムが4つ打ちを始める。
再び、男Aと男Bがステージに登場する。
ステージ前方に、背もたれのついた木製の椅子を4脚並べる。

ヌュアンスの4人がステージに現れる。
しかしその足取りは重く、朦朧としている。
何かに悩んでいるかのように、表情は疲れたように。
ゆっくりとステージ中央に歩を進める。
頭を抱えて苦しむパフォーマンス。
身を振りかざし荒ぶるパフォーマンス。
2つの白い布も乱舞する。
そして、床に倒れこむ4人。
やがて聴こえる小鳥のさえずり。
立ち上がった4人は、ステージ前方に移動し、先ほど置かれた椅子にそれぞれのぼる。


M10 cosmo
歌いだしが4人ともに椅子の上、という驚愕の展開。
そしてサビでは、4人がクルクルと回りながら踊る振り付け。
バンドメンバーもタオルをぐるぐると回してファンを煽る。
これはもう絶対楽しいやつやん。
まわるしかないやん。
わたしがアルバム「town」を聴いてすぐにハマってしまった曲がこのcosmo。
このワンマンライブで初披露されることを最も期待していた曲だ。
というか、サビの歌詞に「M31 to 33」とか普通いれますか?
おかしいでしょ。
けど...。
やっぱ好きだわ~、cosmo。

M11 ヒューマナイズド・ヒューマノイド
M12 i=envY
ここからは怒涛のアゲアゲ曲。
カッコよすぎる。
ヌュ。カッコよすぎる。

M13 ミライサーカス
みおちゃんが椅子にのぼったところで、察したファンが「ふぅーーっ」と声をあげる。
みおちゃんが、椅子から跳躍して曲がスタート。
気合い入ってる。
わかちゃんが「盛り上がっているか~」とファンを煽る。
オレも全力で振りコピする。

M14 タイムマジックロンリー
そして今やヌュアンスのお化け曲となったタイムマ。
観客が全力で「オイオイ」を叫び、高速でクラップする。
カタルシスや~。


M15 wish
本編最後はwish。
コンガを叩いていたパーカッションの方が、トランペット吹きはじめて驚く。
そして、わかちゃんの涙声で、わたしもウルウルする。
ヌュアンスの4人は決して特別に歌がうまいというわけではないんだけど、内からこみあげる感情が、歌やパフォーマンスに乗り移るんだよね。
だから感情移入してしまう。
ただ歌が上手い人を見ているだけではやっぱり感動なんてできなくて、そこに気持ちがこもっているから共感できる。
感動できるのだ。

4人がステージを去り、ステージ後方の椅子に白い布が被せられた。
それはアルバム「town」のイラストで描かれたビルの街並み。

20:15
観客からアンコールの拍手がおこる。
やがてヌュアンスの4人が再びセーラー服に着替えて、ステージに登場。
4人並んで、お辞儀をする。
伴奏はキーボードのみ。

M16 からくれない

この曲は卒業ソングなんだけど、未来への希望に満ち溢れた卒業ソングではなくて、まわりがみんな卒業していって自分一人だけが取り残されてしまっている、というような悲しみ溢れた卒業ソング。
みおちゃんが感極まっている。
ヌュアンスにはアゲアゲな曲もあるけれど、こうした悲しみ溢れた切ない曲もあって、それは1人の人間が色々な一面を持ち合わせているのを表現している気がする。
楽しいこともあれば切ないこともある。
ヌュアンスが、心の琴線に触れてくるのはそういうところなのだ。


MC
ここで初めてメンバー4人が自己紹介。
misakiさんが「今日は来てくれて本当にありがとう。今日のライブを彩ってくれたバンドメンバーを紹介します」と言って、バンドメンバーを紹介。
misakiさんが、ベース担当のおっくんをドラムと言い間違えるも、「タイムマジックロンリー~」と言って時間を巻き戻す芸を披露。
misakiさん確実にMCの腕をあげている。

全員一列に並び、手を繋いで一礼。
misaki 「バンドメンバーの皆さんに大きな拍手を~」
misaki 「それでは以上、ヌュアンスでした~」

ここでフロア側面のディスプレイに映像が映し出される。
映画のエンドロールのように、スタッフのクレジットが流れる。
BGMは「ブリキの街」だ。
そして映像は、6月30日に大阪でワンマンライブする告知で終了。

20:30
ここでフロアからはダブルアンコールの声。
再びステージに登場する4人。
misaki 「ダブルアンコールありがとうございます...けど、さっきので全部出し切ったので...みんなで写真を撮りたいと思います。」


20:37 終演


ライブがすべて終わって思った感想は、予想以上にストイックなライブだったなと。
約90分の公演時間のうち、実質的にヌュアンスメンバーがパフォーマンスしていた時間は60分ほど。
しかしこの60分がとにかく濃密だった。
ほぼ休憩なし。
MCなし。
「town」という舞台を公演するにあたり、その世界観を壊さないように余分な雑音をすべて排除したかった、ということだったのか。
ファンとしては、メンバーのちょっとしたトークなどを期待したかったのだが、あえてそれをせずに、純粋に「演じる」部分だけを見せる作りになっていた気がする。
メンバーの体力的なことを考えたら、冒頭14分の演劇パートを中盤に持ってくることもできたかもしれないが、それでは中だるみしてしまっただろう。
曲を連続でつなげる疾走感。
「town」という世界観を、途切れることなく見せる連続性。
そんな意志を、わたしはこのライブから感じた。

果たして実際に藤Pが思い描いていたものは、このブログで窺い知ることができる。
東の途中。
デザート。

わたしは決して数多くのステージを見てきているわけではないが、ここまで演劇とアイドルライブを融合させたステージは、なかなかないのではないか。
これからもこんな舞台を見ることは、そうそうないだろう。
そういう意味で、本当に貴重なものを見せて頂いた。
凄かった。

そんなわけで開演前までは、メンバーとの囲みチェキを撮るつもりなかったけど、チケット代だけでは足りないなと思ってしまったので、おひねり代わりのチェキ券購入。
いや、セーラー服姿のメンバーを間近で堪能したかったとか、セーラー服姿のメンバーとチェキ撮りたかったとか、決して、決して、そういう下心はないよ。
撮ったチェキを眺めてニヨニヨとかもしてないし。
純粋に良いものを見たことに対する感謝の意ですよ。感謝。(説得力ないけど)

 


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セットリスト

M0 “入ってるってば”

interlude 1

M1 town
M2 Love chocolate?
M3 tomodachi
M4 byebye
M5 白昼ブランコ

interlude 2

M6 ゆれてみて
M7 サーカスの来ない街
M8 ぜっなシンドローム (with 絶対忘れるな)
M9 sanzan

interlude 3

M10 cosmo
M11 ヒューマナイズド・ヒューマノイド
M12 i=envY
M13 ミライサーカス
M14 タイムマジックロンリー
M15 wish

Encore

M16 からくれない
M17 ブリキの街

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてtipToe.椋本さんのライブレポはこちら。

town 椋本真叶