ヌュアンス 3rdワンマンライブ「だってヌュだし。」
nuance 2nd single「ongen e.p.」レコ発ワンマンライブ

日時:2018/6/27(水)op/st:18:30/19:00
会場:TSUTAYA O-WEST

 ヌュアンス3rdワンマンライブ開催が告知されたのは、前回2ndワンマンライブ 2017年12月21日の時だったらしい。「らしい」と書いたのは、残念ながらこの時には私はヌュアンスの存在を知らなかったからだ。
 まだ結成して半年しか経っていない横浜のローカルアイドルが、O-WESTでワンマンライブを開催することに対して、その場にいた方たちは一様に驚きをもって捉えたらしい。メンバーの珠理さんもインタビュー記事の中で、「TSUTAYA O-WESTでやると聞いてどう思いましたか?」の問いかけに「頭おかしいと思った」と正直に答えている。
 O-WESTのキャパは600人。
 前回の2ndワンマンライブを開催した横浜元町クリフサイドの250人と比較すると、2倍以上ということになる。
 
 ライブ直前まで、運営さんやメンバーが必死にチケット購入を促すツイートをしていたので、やはり集客はかなり厳しいのではと内心思っていた。ヌュアンスはほとんどメディア露出もないし、アイドルフェスへの出演実績もない。ライブ集客を、感度の良いドルヲタの口コミに頼らざるを得ない状況の中で、O-WESTを埋めるというのは、元々無謀な挑戦だったのだ。

18:20 O-WEST到着



 既に入り口には50人程度のファンが集まっている。
 ローソン前にファン有志から贈られたスタンドフラワーが鎮座している。写真を撮る。
 私の取ったチケットは、Aの40番台。先行予約とったチケットは、どうやらAから始まる番号のようだ。


  
 

18:40 開場
 入口でドリンク代を払うと、スタッフの方からチラシを渡される。
 ちらりとチラシを見やると「nuance LIVE DVD限定版先行予約販売」と書かれている。
 な、なにを~!!!
 どうやら今日のライブをDVD化して販売するらしい。
 聞いてないよ~!!!
 4,000円だけど、もう「買う」しか選択肢がない。
 しかも「限定版」というヲタク心をくすぐるこの魔法の言葉。
 
 とりあえず物販に並んで、最新シングル「ongen e.p.」を購入。更にワンマンライブ先行予約特典のヌュアンス特製手ぬぐいを合わせてもらう。囲みチェキは断念。LIVE DVDにお金を回すことにする。
 あるファンの方から「アンコールの時に使います」と声をかけられ使い捨てサイリウムを渡される。これは、ありがたい。
 ビジネスバッグをロッカーに放り込み、上手側の端っこに立つ。
 前から2列目だ。これは間近に見える。

 まずステージを見て、楽器がずらりと並ぶその光景に、気持ちが高揚する。
 このワンマンライブは2バンドセットで行うと、かなり前から告知されていたが、ライブ直前の運営さんのツイートで、2つのバンドセットを入れ替えるのではなく、ステージ上に同時に並べるという驚きの配置図がアップされていた。確かにドラムがステージ上に左右1つずつ配置されている。

 

そして当然のように置かれている4脚の白い椅子。
 これを見ると、あぁヌュアンスのライブに来たとあらためて感じる。

 更に周りを見渡すと、フロア後方右側と左側に動画撮影用のカメラが配置されている。また男性が1人、動画撮影用カメラを持って歩いている。合計3台だ。おそらくこれでLIVE DVDを撮るのだろう。スチールカメラを首から下げた女性もいる。なかなかの陣容だ。
 
19:13

 ヌュアンスのいつものオープニングSEが流れる。
 ピアノとギターが奏でるちょっと物悲しい曲だ。
 ゆっくりとメンバー4人がステージに現れる。緊張した面持ち。
 衣装は初披露となるグレー色のドレス。シンプルだがどこか気品を感じさせるデザインだ。
 
1. 白昼ブランコ
 
 1曲目は白昼ブランコ。バンド演奏はなくカラオケだ。
 ちょっと表情は固いけど、4人とも声が良く出ている。とくにわかさんのソロが力強い。
 そしていつも以上に、ダンスの切れがいい。
 というか力がみなぎっている感が凄い!
 4人のこのライブにかける意気込みが、その一挙動ごとに伝わってくる。
 サビの「ハロー!ハロー!」ではメンバー手をひらひらさせて微笑む。
 うん、可愛い。
 白昼ブランコは、私がヌュアンス定期公演「ヌュマ」に行くと、くじ運の魔力で必ず歌われる曲だ。
 盛り上がるような派手さはないが、体にずしずしと響くベース音が心地よい。
 そしてメンバーが歌っている間に、バンドメンバーがゆっくりとステージに現れ、それぞれの楽器の前に並び始める。
 
 白昼ブランコが終わると、バンド演奏が唐突に始まった。
 一瞬何の曲かわからなかったが、メンバー4人が円になって両手の手のひらを外側に向けている。
 これはセツナシンドロームのポジション!

2. セツナシンドローム

 バンド演奏のセツナシンドロームは、とにかくカッコよかった。
 フロアにいるファンも一様にクラップをして盛り上げる。
 メンバー4人の声量も、バンド演奏に負けていない。
 アイドルソングベスト2017インディーズ編で小出祐介氏も4位に選出した名曲。
 「コンテナを持ち上げてる姿がブラキオサウルスみたい」という歌詞で、手をくいっと持ち上げ、片足をちょこんと跳ね上げる姿がカワイイ。
 
3. bye bye

 セツナシンドロームから間をおかず、そのまま激しいロック調の曲「bye bye」へ。
 ヌュアンスメンバーがその激しい踊りから、定期公演「ヌュマ」ではやりたくない曲No.1として公認(?)されている曲だ。
 しかし今日の「bye bye」のダンスは力強い。
 エモい。エモいよ~。
 ここで曲を演奏しているバンドメンバーが、2曲目のセツナシンドロームとは異なることに気付く。
 そうか、もしかして2組のバンドが交互に演奏するのか。
 ライブ開始までは、Aバンド・Bバンドと呼ばれていたようだが、下手側のバンドメンバーは白Tシャツ、上手側のバンドメンバーは黒Tシャツを着て、それぞれ白バンド・黒バンドと名付けられていたようだ。

 そして熱い「bye bye」のパフォーマンスは、ありがたいことにYoutubeで見ることができる。

 

 
4. Love Chocolate?

 ここでも曲間をあけずに、つなげてきた。
 「bye bye」からの「Love Chocolate?」。
 メンバーがステージ後方に配置していた白い椅子を持って、ステージ中央に並べる。
 どちらかといえぱ、大人しく、しっとりと歌われるこの曲だが、今日は、バンド演奏に負けないように声を大きめに出して歌っているようだ。

5. ナナイロナミダ

 最新シングル「ongen e.p.」に含まれている新曲。
 先日の南波一海のアイドル三十六房で初披露されたのを聴いていたが、その時には、いかにもAKBグループが歌っているようなアイドル歌謡曲っぽい感じがして、あまり刺さらなかった。
 ただこうしてライブで初めて聴いてみると「なかなか、いいじゃん」。
 1番のソロパートは、珠理→misaki、2番のソロパートは、わか→みおの順番で歌っている。
 サビ最後の「うぉーおーうぉーおーおー」では、わかさんが「みんな一緒に!」とフロアも一緒に声を出すようにシンガロングを促す。

MC

 misakiさんが「ヌュアンスです。よろしくお願いします」と挨拶。
 わかさん、珠理さん、misakiさん、みおさんの順番で自己紹介。

 misaki 「O-WESTですよ」
 わか 「こんなに埋まっているとは思わなかった」
 misaki 「(フロアの)後ろのほうとか、ちょっと暗いかなと思ってた...すごいいっぱい...みおさん、どうですか」
 みお 「照明が多い」
 わか 「熱い」
 珠理 「広いですね」
 
 misaki 「ナナイロナミダ初公開でしたが、どうでしたか...今日(発売の)CD買った方はそちらにも入っているので...」
 続けてmisakiさんが「ちなみに好きな曲は何ですか?」とメンバーに質問する。
 わかさんが「みお?」と話をふる。
 みお 「ナナイロナミダが好きかな」
 
 ここから、わかさんが「ピアノがカッコよくないですか?」と言ったのをきっかけに、バンドの楽器がカッコよすぎて楽器になりたいという話で盛り上がる。
 misaki 「そうそう、もはやピアノになりたい」
 みお 「なんかmisakiさんが、わっくんのピアノになりたい、って言っていて...」
 珠理 「(わたしは)ギターの弦になりたい」
 misaki 「はじかれたい?」
 misaki 「ドラムはどう?ドラムは痛そうじゃない?」
 わか 「ベース(の話)に触れなくて寂しかったですか?」
 
 misakiさんが「次はルカルカ」と曲紹介。

6. ルカルカ

 今日のライブの白眉は何といってもルカルカ。
 しばらくヌュアンスの現場に行けていなかったので、今回が初聴き。
 この曲調はなんといえばよいんだろう。音楽的知識がないので良い言葉が思い浮かばない。ジャズっぽいミュージカル楽曲?
 ヌュ運営さんがライブ後にツイートした楽曲紹介で「製作陣が一聴しただけで『あ、オレノの曲だ』とわかるくらい今回もオレノ節全開です(笑)」とコメントしていたので、きっとそういう曲調なのだろう。
 その後、CD音源を聴いたのだが、この日のバンド演奏のほうがエモかった。
 この曲はバンド演奏のほうが映える。
 思わず踊りだしたくなる軽快でポップなアレンジ。
 間奏で奏でられるピアノのオシャレ感。
 そして「ルカ~ルカ」というサビの前の一瞬の空白が、なんかカッコいい。
 どうしてヌュアンス楽曲は、こんなに良いのかな~。期待を裏切らないよな~。

7. sanzan

 ルカルカにつなげて、同じく新曲のsanzan。
 こちらは既にライブで聴いているが、これも本当にいい曲。
 わかさんの力強いアルトに、珠理さんの舌足らずな甘い声が続く。
 misakiさんの混じり気のない透明感のある声に、ちょっと頼りなげなみおさんの声が続く。
 2番が終わってからの転調。そして大サビ。
 エモいよ。エモすぎるよ~。(語彙力...)
 
8. i=envY
9. シャララシャララ
 さらに続けて、ヌュ史上、最も攻めている楽曲「i=envY」。
 そしてヌュアンスのデビュー曲である「シャララシャララ」。
 楽しい。楽しすぎる。
 そしてここまで、MCを一回挟んだだけで9曲を一気に披露。今日は一段と頑張っている感がすごい。

MC

 misaki 「ありがとうございます」
 misaki 「シャララシャララはわたしたちのデビュー曲なんですよ」
 わか 「今日は新衣装なんですよ...そう天使みたい...」
 わかさんが「ここに天使が...」と言って、みおさんを指さす。
 みおさんが、茶目っ気を出して天使のフリをする。
 misaki 「バッキバキのバンドですが、ここでメンバーを紹介したいと...」
 
 misakiがドラムのたっちんさんを紹介する。「初めて会ったのが4日前で...」
 たっちん 「めっちゃ人見知りの子が4人集まっているなと...」
 
 misaki 「サウンドプロデューサーの佐藤嘉風さん!」
 
 misaki 「ピアノのわっくんです」
 わっくん 「わっくんたん、と呼ばれています」
 珠理 「『わっくんたん』を『わかたん』と、(聞き)間違えるよね」
 
 misaki 「そしてスペシャルゲストのmasatoさん」
 masato 「このフリでやると思わなかった...ヌュアンスさんから楽曲を書いてくださいと言われて...盛り上がる曲を書いてきました」
 わか 「(首の動きが激しいので) 首を準備しておいてください」
 
10. ヌュマの歌

 わかさんの言葉通り、曲途中でヘドバンが入る。
 途中でセリフパートが入った気がするが、思い出せない。

11. サーカスの来ない街

 カバー曲でありながら、ヌュアンスらしい透明感ですっかり自分たちの曲にしてしまった名曲。
 二番の「涙が出るのは枯れちゃいないからさ」という歌詞が心にしみる。
 
 misaki 「ありがとうございます...そしてラスト2曲になります」
 思わず観客から「え~」という声がもれる。
 misaki 「ラスト2曲で盛り上がりましょう!」

12. ミライサーカス

 みおさんと珠理さんが椅子にのぼり、演奏が始まる。
 CD音源ではエレクトロ調の楽曲だが、バンドでも違和感がなく、うまくアレンジされている。
 私が2018年アイドル楽曲大賞に間違いなく推すこの楽曲。
 「ミライサーカス~ミライサーカス~」を繰り返すサビでは、ファンも振りコピをして盛り上がる。
 大サビで、みおさん、珠理さんが白い椅子の上に立ち上がる。
 最高に気分が盛り上がる。
 エモいよ。エモすぎるよ~。(語彙力...)

MC

 misaki 「これで最後の曲です...珠理はどんな気持ちですか...」
 珠理さんが「(ライブ時間の) 体感が10分くらい...」と答えるが、「あまり人がいないかと思っていて...」と話し始めたところで涙ぐんでしまう。
 「ちょっと泣いちゃうね」と話すわかさんも、もうほとんど泣きそうになっている。
 misaki 「まだ曲あるから (まだ泣かないで)...みおはどう?」
 みおさんが「歌うまで泣かない」と強がる。

13. wish

 しっとりとしたバラード。初めて聴く。
 わかさんが泣きながら歌っている姿をみて、わたしも目頭を熱くする。
 メンバー4人がこの曲を大事に歌っている気持ちが、ひしひしと伝わってくる。

20:18 本編終了

 ここまで約1時間。
 体感的には30分くらいしか経っていない気がする。
 アンコールが発動する。
 普段はあまり声を上げない私も、この日はアンコールを求めて叫ぶ。

 ヌュアンス4人が赤い衣装に着替えて、ステージに再登場。
 バンドメンバーでは、キーボードのわっくんだけが登場する。

en1. 青春の疑問符

 4人がステージ上に横一列に並ぶ。
 キーボード伴奏だけで始まった「青春の疑問符」。
 フロアでは、ファンが次々とサイリウムを点す。
 それを見たみおさんが、たまらず泣きだしてしまう。前を向くことができず、横や後ろを向いてしまい、歌えない。
 ヌュアンスの母と呼ばれているわかさんが、そっと両隣のみおさんとmisakiさんに手を伸ばし、2人の体を引き寄せる。
 misakiさんも珠理さんを促して、4人が体を寄り添わせ歌う。
 みおさんが、そんな仕草に再び号泣。
 ファンは何も言わず、サイリウムを静かにゆっくりと振る。
 キーボードの音が、O-WESTの天井の高いフロアに響く。
 曲が終わる。
 静謐な時。
 misakiさんが感情を抑えきれず、体を折ってうつむく。
 なんだろう、この澄み切った湖面のような感情は。

MC

 珠理 「泣くタイミングが無くなっちゃった。みんな泣き声になって...」
 misaki 「頼れるときのジュリヲだよ」
 珠理 「(みんなの声が) 消えていくと思って」
 misaki 「みおはクールで静かなイメージで、今日とかぜったい泣かないと思ってた」
 misaki 「去年の6月にお披露目してから1年。東京で初めて対バンライブしたときは、お客さんが0人だったんですよ。それが1年経ってたくさんのお客さんが来てくれて...」
 珠理 「1年も早いし、ライブも早いね」
 ここで珠理さんが、このライブは前から告知していて目標にしていたけど、ここは一回想い出にして次に行きたいと前向きな発言。
 わか 「これからもついてきてください!」
 わか 「ぶちあがる準備はできていますか?」
 misaki 「一緒に(指さす)振りをしてくださいね」
 
 メンバー4人が、赤い衣装を脱ぎ捨てて、白いTシャツ姿に。

en2. 駅とブランコ~恋のステイション~

 白バンドと黒バンドがともに演奏を開始。
 メンバーも一転、笑顔で歌い始める。
 ファンも「パッ、パパン、おい~、パッ、パパン、おい~」と合いの手をいれて盛り上がる。
 そして今日の「駅とブランコ」は特別バージョン。
 メンバーが1人ずつソロで歌いながら、「ステイション、ステイション、恋のステイション、あなたをここで待つわ~」とステージを縦横無尽に歩きながらフロアを指さす。
 わたしも全力でステージに向かって指をさす。
 楽しい、楽しすぎる。
 最後にバンドメンバーを、もう一度一人一人紹介していく。
 フロアからも「ふぅーっ」という歓声と拍手があがる。
 
 曲が終わり、割れんばかりの拍手が鳴り響く。
 メンバー4人そしてバンドメンバー7人が横一列に並び、手をつないでお辞儀をする。
 鳴りやまない拍手。
 フロアにいたファンはもちろんずっと立ったままだったけど、この時の拍手はまさにスタンディングオベーションだった。
 
 バンドメンバーがステージを去り、ヌュアンス4人が残る。
 misakiさんが「それでは写真撮影を...」と言ったところで、フロアのファンから「花束を贈ります!」と声がかかる。
 ステージの前に出てきて、ファンの方からそれぞれ花束を受け取るヌュアンスのメンバー。
 
 しかし、ステージ中央に戻ったmisakiが再びマイクを持つと「あのひとつお願いがあるんですけど...さっきの駅とブランコで、珠理のパートを飛ばしてしまって...」と突然の告白。「ここでやらないとあとで絶対後悔するから...」と号泣しはじめてしまう。「ステイション、ステイションを...ステイション、ステイションを...」と言葉にならない声をあげて号泣するmisakiさん。
 きっとmisakiさんはワンコーラスだけ歌って終わりにするつもりだったのだと思うが、珠理さんが「バンド出てきてもらう?」と話し始め、バンドメンバーが再びステージ上に登場することに。
 ヌュアンスメンバーが「どうする?どこから始める?」とオロオロし始める。「もういちど頭からやる?」
 masatoさんが、フロア後方に向かってジェスチャーで、〇(まる?)、×(ばつ?)と問いかける。
 どうやら、プロデューサーから〇のサインが出たようだ。
 
en3. 駅とブランコ~恋のステイション~

 そしてまさかの本日2回目の「駅とブランコ」。
 フロアが最高潮の盛り上がりを見せる。
 ドラムのたっちんさんも、自由にステージを歩いて、向かいのドラマーUさんと一緒にドラムを叩く。
 ヌュアンスメンバーも笑顔で、花束を抱えながら、今日2回目の「ステイション」を繰り返す。
 「ステイション、ステイション、恋のステイション、あなたをここで待つわ~」
 
 曲が終わり、あらためて写真撮影に。
 misaki、わか、珠理、みおの4人が、花束とマイクを置いて両手をつなぐ。
 わかさんが「以上、ヌュアンスでした」と締めの挨拶。
 もう一度、大きな拍手が起きる。

20:49 ステージ閉幕

 私は満ち足りた気分で、ステージを見つめた。
 本当によいライブだった。
 ヌュアンスのメンバーと、バンドのメンバーと、そしてお客さんの気持ちが一体となったそんなライブだった。

 実は私には、大学2年生になる娘がいる。
 年齢的には、ヌュアンスの珠理さんやわかさんと同い年だ。
 ときどき、娘と同じ年齢のアイドルを追いかけて何してんだろと思うことはある。
 けれども、この時によぎった感情は、まるで自分の娘が小学校の体育館で合唱したり寸劇したりするのを誇らしい目で見つめる親の気分そのものだった。
 「よくやったな」
 「がんばったな」
 「よくここまで成長したな」
 もちろん彼女たちに出会ったのはたった半年前だし、彼女たちとほとんど会話もしたこともない。
 一方的な親目線。
 
 けど、それでも良いのだ。
 アイドルが幸せな気持ちを与えてくれる。
 だから応援する。
 応援されたアイドルはちょっとだけ自信を持って次のステージに進む。
 そんな健全なアイドル現場がここにあった。
 多幸感。
 ありきたりな言葉だけど、やっぱりそれがあるからライブに来るのだ。
 
 ドリンクを受け取り、特典会が始まっていたフロアで、私はどこか浮遊感を感じながらたたずんでいた。
 すると偶然、近くでフジサキPと思われる方とライターの宗像さんが談笑しているのに気づく。宗像さんがやや興奮した様子で話しかけている。Yahooニュースに載せる記事と写真の許可を取っているようだ。
 
 ヌュアンスは、アイドルとしては、まだよちよち歩きの赤ん坊なのかもしれない。
 奇跡的に今年のSUMMER SONICのステージに立つことができるようだが、残念ながら、今年の夏のアイドルフェスには、ヌュアンスは呼ばれていない。
 けれどもそんなよちよち歩きの赤ん坊を、温かく見守る大人たちは確実に増えている。
 このライブでそれを体感できた気がする。
 

 本当に良いものを見せて頂いた。

 感謝の言葉しかない。

 これからもっともっとヌュアンスは大きくなっていくに違いない。

 そしてそれを見守ることのできる幸運。
 

 家路に向けて真夏のような蒸し暑い夜道を歩いて帰る。

 だが、とてもすがすがしい気持ちだった。

 

 

 

 

セットリスト
M01. 白昼ブランコ (オケ)
M02. セツナシンドローム (白)
M03. bye bye (黒 w/key・間奏入替)
M04. Love Chocolate? (白)
M05. ナナイロナミダ (白)

M06. ルカルカ (黒 w/key)
M07. sanzan (白)
M08. i=envY (黒 w/key)
M09. シャララシャララ (白)

M10. ヌュマの歌(仮) (黒)
M11. サーカスの来ない街 (白)
M12. ミライサーカス (黒 w/key・円)
M13. wish (白・アウトロw/黒)

en1. 青春の疑問符 (ピアノ独奏ver.)
en2. 駅とブランコ~恋のステイション~ (みんな)

en3. 駅とブランコ~恋のステイション~ (みんな)