今年もパグ三毛猫たちにとって、大切な予防の時期となりました。

 

主にはフィラリアやノミ・ダニ予防になりますが、併せて各種感染症予防(ワクチン)を受けられる方も多いです。

 

近年は、飼い主さんの意識が向上してきたためか、フィラリア症を診察する機会は減ってきましたが、それでも毎年数例は陽性例を診ています。

 

フィラリア陽性例では、症状が無いものから重症例まで様々です。

 

症状がないもにについては、経口薬により徐々にフィラリア虫体を死滅させていく方法をとります。

 

症状があるものは、咳を主訴に、腹水又は血尿を伴っていることが多いです。

 

腹水の場合は、状態にもよりますが定期的に腹水を抜去しながら薬(利尿剤や血管拡張剤など)を飲ませることで、延命できるケースが多いと感じています。

   

腹水抜去の様子です。大型犬の場合保定が大変です。ショボーン

   

 

 

ただし、血尿が出るタイプでは対応が全く異なってきます。

フィラリア症で血尿出る場合は、大静脈症候群といって一刻を争うため、放置すると1週間前後で亡くなるケースが多いです。

大静脈症候群とは、肺動脈に寄生しているフィラリア虫体が突然心臓内(右心房・右心室)に移動して、急性の重篤な状態を呈することをいいます。

 

 

<今回の症例(2024.2.12初診)>

MIX犬  7才  オス   13㎏   

フィラリア予防歴無   主訴(血尿、咳、元気食欲低下)

心臓の超音波画像です。右心房(赤丸)内にフィラリア虫体(の様なもの)が見られます。

 

 

当日(2/12)、緊急手術となりました。

   

画像が反転していますが、右側からアプローチしています。

 

 

   

頚静脈を露出します。                    

フィラリア虫体を吊りだしているところです。

 

   

多数のフィラリア虫体が引っかかっています。

全てを吊りだせばいいということではなく、生体モニターや全身状態をこまめにチェックしながら処置を進めていきます。

全て吊りだすことで、状態が急変することがあるからです。(これまでに2例ほど苦い経験があります)

 

 

   

無事終了                          

30匹ほど摘出しました。

 

4泊入院後、2月16日に退院しました。

 

術後1か月ほど経過しましたが、咳は少し残るものの順調に回復しています。

 

 

 

<まとめ>

フィラリア症は、発症してしまうとペットが苦しむばかりではなく、命を落とす危険もあります。

延命できたとしても、定期的な腹水の抜去や生涯にわたる投薬が必要になるなど、飼育管理も大変になります。

1か月に1回の投薬(経口・滴下)又は1年に1回の注射で予防が可能です。

少しでも元気で長生きしてもらうためには、定期的な予防が大切です!オッドアイ猫チワワ黒

 

  

 

 

自然界では、人間や動物に対し有毒性を示す植物が多く知られていますが、それらの有毒植物の中には、薬として使用されている

ものもあります。

同じ植物が、毒草にも薬草にもなりうるということです。

 

そのような植物は、山奥などにあるというものではなく、身近にもたくさんあります。

例えば、チョウセンアサガオ、ジギタリス、トリカブト、センダンなどです。

 

 

 

今回は、その有毒植物を経口摂取した中毒性疾患の症例です。

秋田犬  3歳  23㎏ 雌(未避妊)

数日前より、水様性下痢(血便)、嘔吐(吐血)、元気・食欲なし

 

異物を食べた可能性はあるものの、何を食べたかまでは不明でしたが、中毒性疾患及び感染症疾患を疑い治療を開始しました。

 

<血液検査結果>

パルボ(ー)

肝酵素(GOT、GPT)の異常な上昇

GPTは5倍希釈して測定しましたが、それでも1000を振り切っていました。GPTは、5000 U/l 以上ということになります。

 

当初は吐血・下血などがあり、かなり危険な状態でしたが、輸液、抗生剤、抗炎症剤、強肝剤、肝機能改善剤、制吐剤、止血剤など、5日間治療を行ったところ、食欲も少しづつ回復し、吠えて威嚇するようになったため、退院としました。

   

後に、判明したことですが、飼い主から「センダンの実を食べていた!」とのことで、結果的にはセンダン中毒と診断しました。

センダン中毒については、ネット情報においても、多数の報告が見られます。

 

 

 

   

田舎にはセンダンの木がどこにでもあるようで、我が家にもありました。葉などは枯れ落ちて、実はありませんでした。

 

 

<ネット情報>

センダンの実は動物が食べると中毒を起こし、最悪死に至る場合もあります。逆に薬としては、しもやけなどの外用剤や整腸剤、鎮痛剤としての内服剤、樹皮は除虫効果があるようです。最近はインフルエンザウイルスを不活化するとの報告もあるようです。


 

ちなみに、センダンを使用したペット用サプリメントも存在します。

センダンの葉の抽出物を使用したものです。

ペットの体力維持や栄養補給を目的として投与する健康補助食品ですが、ペットの腫瘍性疾患やエイズ・白血病などに有効性を示したとの報告が多々見受けられます。

 

まさに、毒にも!薬にも! なり得るということです。   

 

 

 

身近にある草木や観葉植物が、動物たちにとって有害な影響を及ぼすことがあります。まだ十分に分かっていない植物もあることから、散歩中の異物誤飲には注意が必要です。

 

 

 

新年あけましておめでとうございますお祝い

本年もよろしくお願いいたします。

 

さて、毎年のことながら年末年始も入院・ホテル・急患などの対応でゆっくりできないことが多く、今年こそは元旦に初詣神社

を!と、事前に調整していましたが、やはり大晦日から元旦にかけて5頭ほど預かることとなりました。

幸いなことに、重い病気の子はいなかったため、スタッフや家族に管理をお願いして久しぶりの初詣となりました。

 

 

 

 

元旦の18時頃でしたが、1時間ほど並びました。

 

 

院内にまつりました。

 

 

本年も昨年同様に、ペットが元気で、少しでも長生きできるようにお手伝いさせていただくとともに、犬の保護活動や地域猫活

動、いわゆる飼い主のいない犬や猫たちを増やさないように、できる限り協力させていただければと思います。

本年もよろしくお願いいたします。

 

 

目の下が腫れる原因として

 

・高齢

・口臭

・歯石が重度

・歯の動揺     などを認める場合は、まず根尖周囲膿瘍(歯の根の周囲に膿がたまる)を疑います。

 

 

<症例>

トイプードル 雄 14歳 2.9㎏  既往歴:MR


左上顎第1後臼歯の眼窩下膿瘍

今回の症例では、外見上はあまり変化が見られませんでしたが、飼い主によると触るとかなり痛がったり、目ヤニがひどくなったとのこと。

歯石の付着はあるものの、歯の動揺はありませんでした。

 

 

CT画像

     

青丸と比べて、赤丸は黒く抜けています。

 

 

 

 

    

青丸と比べて、赤丸は黒く抜けています。

 

 

    

赤丸の方(左)は穴が開いています。

 

 

抜歯した第1後臼歯です。

根っこの状態が他の歯根と比べて異常(赤矢印)です。

 

 

 

 

根尖周囲膿瘍が進行すると、

・口腔粘膜に穴があく

・目の下に穴があく

・上顎骨が溶けて口腔と鼻腔がつながってしまう

・上顎骨が溶けて口腔と眼窩がつながってしまう      

 

 

今回の症例ではありませんが、本日(12/11)診察したワンちゃんです。 かなり腫れています。

   

 

 

やはり、人と同じように日頃からの口腔ケアが大切です!

  

 

 

 

 

飼い猫の死亡原因としては、一昔前までは屋外での交通事故や感染症などが大半を占めていました。

 

しかし、近年は屋内での飼育が増えたこともあり、重症化するケースは減ったように思います。

(飼い主がいない、いわゆるノラ猫については、依然として事故が発生しています)

 

 

とはいえ、屋内飼育だからといって、安心はできません!

 

室内にも危険がいっぱい!

異物誤飲(腸閉塞や中毒など)や運動器疾患(脱臼や骨折など)など

 

〇異物誤飲  

 腸閉塞(おもちゃ、ペットシーツ、ナイロン、布など)や中毒(チョコレート、ネギ類、観葉植物など)

 

〇運動器疾患

 脱臼(フローリングで滑ったり、階段を踏み外したりなど)や骨折(高所からの落下、着地失敗など)

 

 

猫においては、『高所落下症候群(フライングキャットシンドローム)』という言葉があるように、若齢猫については特に気をつける必要があります。

 

 

室内で発生した骨折症例

<症例1>

 MIX 4カ月齢 2.1kg 雄

 左前肢の跛行(室内飼育ですが、なぜこのようになったか不明とのこと)

  

左前肢の跛行(手首を曲げている)

 

 

    

     

 

 青丸が正常赤丸が肘頭骨折

 幸いなことに、橈骨脱臼はありませんでした。

 

 

 

手術の様子 

 

 

 

術後のレントゲン

2本のミニチュアハーフピンとテンションバンド法で固定しました。

 

術後の様子(11/20手術→11/24退院)

 

肘頭骨折は、上腕三頭筋群の牽引により骨折片が変位するため、外科的整復および外固定が適応となります。

 

 

 

 

<症例2>

 MIX  4歳  2.3kg  雄

 左後肢の跛行(原因不明とのこと)

 

右下腿骨(脛骨・腓骨)の骨折

9/13に手術を実施しましたが、術創が治癒するのに少し時間がかかりました。

上記レントゲン写真は、11/20に撮影したものです。骨の癒合を認めます。

 

 

 

 

屋外飼育に比べ、命に係わるような危険性は低いかもしれませんが、猫にとって危険性がありそうな場所や物について、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。三毛猫黒猫オッドアイ猫