飼主さんがみても、明らかに異常と分かる疾患の一つに整形外科疾患があります。

特に骨折の場合は、挙上した足がブラブラしていることもあり、飼い主さんにとっては悲鳴を上げるほどの心境になることもあり、慌てて来院されることもしばしばです。

整形外科疾患に限っていえば、命に係わることはほとんどなく(交通事故などによる内臓損傷を伴う場合は別として)、骨折などの場合は骨折部位周辺の腫れを治めるために、発症後数日経過してから手術を行うことも少なくありません。

 

 

今回は新年早々に実施した、整形外科手術2症例を紹介します。

 

症例①

<トイプードル>

6カ月齢、オス、1.5㎏ 落下による骨折

 

橈尺骨折ですが、遠位端ぎりぎりの成長板(骨端軟骨)骨折です。厄介ですショボーン

ここで悩ませるのが、骨幅4.5mmあるかないか!

Φ1.2か?Φ1.5か? プレートの選択に迷いますショボーン

 

 

Φ1.2 Locking plateを選択しました。

外固定をしっかりしないといけません。

 

 

   

 

 

 

約2か月間は外固定を装着しますが、治癒(骨癒合)状況をみながら外固定のプレートを少しづつ切り込み、患肢に負重をかけさせながら治療を進めていきます。

 

 

 

 

 

症例②

<ピットブルテリア×ブルドッグのMIX>

1才、オス、15kg、両側膝蓋骨内方脱臼(グレード2)

突然、左後肢の跛行が始まったとのこと。

触診で膝を曲げ伸ばしすると、ガリガリパキパキと飼い主さんでも分かるほどの脱臼音(摩擦音)が聞こえました。

 

   

膝のお皿が外れることにより、軟骨がすり減っています。

 

 

 

 

滑車溝造成、筋肉分離、縫縮、脛骨粗面転移を行いました。脛骨粗面は1cmほど転移させたためピンを4本入れました。

 

 

 

さすがブルテリアとブルドッグのMIXです。キン肉マンです!

術後3日目には、患肢をほとんどかばうことなく重戦車のごとく引っ張ります。

 

前述したように、整形外科疾患において緊急を要する場合はほとんどありませんが、跛行など飼い主さんにとっては痛々しく見えるため、早めに対処してあげたいと思うのは当然のことです。

 

 

予防が一番!

先天的な疾患は別として、目を離したすきの事故や不注意による事故は、未然に防ぐことができます。

どんな時に事故が発生しやすいかなど、知識を持っていただき、十分な予防対策をお願いします。

 

 

<参考>

アイペット損保|〈経験者のホンネから予防の大切さを学ぶ〉うちの子骨折ルポ

 

 

犬も猫も同様ですが、品種によっては「かかりやすい病気」があります。

それらの多くは、遺伝性の疾患であることが分かっています。

 

 

 

 

今回の症例は、ペルシャ猫!

ペルシャも多くの遺伝性疾患が確認されています。

 

多発性肝嚢胞と多発性嚢胞腎

 

 

<症例>

ペルシャ猫

12歳、雌(未避妊)、2.9kg

主訴:頻尿、削痩、腹部膨満

 

血液検査においては、肝酵素が若干高値を示す程度でした。

 

レントゲン検査

   

かなり大きいものがお腹の中に確認できます。この時点では腫瘤性を疑いますが、エコー検査において液体の貯留(嚢胞)と分かりました。

 

 

CT検査

  

大きな嚢胞が確認できます。位置によってはお腹いっぱいに認められます。腎臓にも嚢胞が確認できます。

 

  

肝臓・腎臓に嚢胞が確認できます。

 

 

 

手術の様子(肝臓を取り出したところです)

1~10cm大の嚢胞が多数確認できますが、その他に肝臓全域にわたり蜂の巣状に5mm以下の嚢胞が無数存在しました。

 

 

 

外側左葉から発生している最大嚢胞の断端(肝臓実質を含む)を切除し、病理検査を行うこととしました。

 

 

 

 

術後の様子です。

  

術後、3日目に退院していきました。

今後は、肝臓・腎臓機能の維持を目標に、経過を観察させていただきたいと思います。

 

 

 

<最後に>

純血種は品種特有の遺伝性疾患を持っていることがあります。

飼育を始める前に、その品種の遺伝性疾患やリスクの高い疾患について調べておくことも必要ではないでしょうか。


 

新年あけましておめでとうございます。

本年も(働いて、働いて、働いてまいりますので)よろしくお願いいたします。

 

クリスマスツリー馬馬馬馬馬馬クリスマスツリー

 

   

 

 

 

やはり、今年も入院やペットホテルの動物たちと年を越すことになりました。

 

スタッフが休みのため、動物たちの世話や治療を行っていると、時間がたつのが早い!

 

年を越した動物たちの紹介です。

掲載していないワンちゃんなど、計6匹の犬猫が院内で年を越しました。

 

<症例>

年越しの動物たちのなかで、無事に完治して退院した猫ちゃんを紹介します。

MIX猫、雌不妊済、5歳ぐらい、2.1kg

主訴:虚弱、慢性的な軟便、直腸脱、瓜実条虫寄生

当初は、注射筒を肛門から挿入して、症状の改善を図ろうとしましたが再脱出を繰り返しました。

 

<参考:子犬の注射筒挿入例>

  

加工した注射筒を挿入して固定しています。穴から便が出ています。

 

 

 

この猫の場合、注射筒では安定化が図れなかったため、直腸の部分切除(約2cmほど)を行いました。

脱出している直腸

 

部分切開を行いながら、細かく縫合していきます。

 

縫合が半分ぐらい終わりました。

 

全周の縫合が終了

 

しばらくは、順調かと思いきや、やはり再発!

 

そこで最終的な方法として、開腹による結腸固定術を行いました。

ブログ掲載上、制限がかかるため、非常に分かりにくくて申し訳ありません。

結腸側の漿膜面の切開・剥離

腹膜側の切開・剥離

それぞれ剥離した部分を結腸が捻じれないように縫合します。

 

ようするに、大腸をお腹の内側に縫い付けて固定し、大腸が肛門側にズレないようにするための手術です。

 

まず、下側を縫合

 

上側を縫合して終了

 

術後3週間になりますが、再発もなく経過は順調で、便も通常状態に戻りました。ニコニコ

 

 

 

最後になりますが、今後も、飼い主さんがペットの健康管理をしていく上で、少しでもお役に立てるような症例を掲載してまいりますので、本年もよろしくお願いいたします。

 

 

三豊ドリームカーフェスタとは?

 

世界のスーパーカーが三豊市に集まり、香川県の西部地域を駆け巡るラリーイベントです!

 

地域活性化を目的として毎年開催されており、なんと今年で12回目ということです!

 

【公式】2025三豊ドリームカーフェスタ

 

  

めったにお目にかかれないような高級車ばかりです。びっくり

一部だけ掲載します。

  

 

  

 

 

 

  

 

     

 

 

 

これほど多くの高級スポーツカーを一度に見る機会はほとんどないと思います。

全国的にも有名な父母ヶ浜銭形砂絵(寛永通宝)をバックに走行しますので、観光がてら皆様も是非、非日常を体験をしてください。

 

 

 

 

 

初診やワクチン接種時などに、膝蓋骨脱臼(パテラ)を認めることがあります。

 

多少の跛行がある場合もありますが、ほとんどの症例で普通に歩いたり走ったりしていて、特に体重が軽い子は全く気にすることなく飛び跳ねることもしばしばです。

たとえ、グレード4であっても軽やかに走っている高齢ワンちゃんもいます。

 

当然、グレード4ともなると後肢(大腿骨や下腿骨)の変形は認められますが、飼い主にとっては特に症状がないのに手術?                         

と疑問に思われる方も少なくありません。

 

全ての症例において重症度や併発疾患等が異なるため、グレード1であろうがグレード4であろうが、症状がなく普通に歩いたり走ったりしているようであれば経過観察で良いかと思います。

 

 

これまでの経験から、グレード1又はそこまでいかないまでも少し緩い程度の子が、フローリングで滑ったり、毛躓いたり、着地失敗などにより、発症(グレード2~グレード3:痛がったり、跛行を始めたなど)したケースが手術適応になる場合が多いように思います。

 

 

症状がない場合の手術については意見の分かれるところです。手術の必要性について、ネット上で検索していただければ色々と情報がありますので参考にしてください。

 

まずは、飼い主さんへの十分な説明(今後起こるであろう症状や併発症など)を行った上で、飼い主さんの意向に沿って治療方針を立てていきます。

 

 

また、ブリーダーさんなどから、新しい飼い主へ販売後に手術を実施したことにより、「さらに悪くなった」とか「足を着かなくなった」など、術後の悪化について聞き及ぶことがあります。

 

当初より悪くなったとか、手術しなかった方が良かったとか言われることは本意ではないため、手術に対しての経験(今年のパテラ手術件数としては十数件程度なので、けして多いとは言えませんが…ショボーン)と技術を磨くことは当然ですが、特にこの手術に関しては十分なインフォームドコンセントの必要性を感じています。

 

 

<症例>

  初診) チワワ、3歳、雌、2.7kg

       右後肢の跛行、2年ほど前に両側パテラの手術を実施したとのこと。

       触診により、両側の膝蓋骨が外れていました。もとに戻そうとしても戻りません。

                        グレード4です。当初はグレード1~3だったと思われます。

 

もともとは滑車溝(緑↓)に乗っていた膝蓋骨が両側とも外れています。右膝蓋骨(青丸)左膝蓋骨(赤丸)

症状が出ているのは右側です。

 

 

 

 

 

 

 

グレード4の場合は、膝蓋骨が滑車の上に乗ることがないので、滑車上にニカワ様物質が覆っています。
まず、それを丁寧に剥がし、滑車溝を出すことから始めます。
 
 
滑車溝が出てきました。少し削った跡があります。
 
この状態では、膝蓋骨を乗せてもそこに留まることはありません。すぐに外れます。
 
 
滑車溝を深く彫り込んでいきます。
 
膝蓋骨が外れない程度に溝を作製します。
また、慢性的な経過を辿っていたため筋肉がかなり萎縮・拘縮しています。
膝蓋骨靭帯が正常な方向へ牽引できるよう、筋肉を剥離・分離します。
 
術後は、ナックリングなどの症状が出たため、ナックリング防止サポーターと下記のサプリメント(スムーズラン)を使用しました。術後2カ月ぐらいで正常歩行が可能となり、3ヶ月過ぎるころには普通に走り回るようになりました。
 
 
 
 
スムーズランについては、あまり情報がないようですが、膝蓋骨脱臼整復手術後の関節・軟骨・筋肉の健康維持を目的としたサプリメントとしては最適かなと思っています。