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太宰治の足跡を辿って

太宰治の生涯をその作品とともに辿る

私は青森県で生まれ、大学で上京するまで青森で育った。

生れは南部なのだが、父の都合で県内を転々として歩き、南部はもちろんのこと、
下北も、津軽の地にも住んだことがある。


人間失格』「走れメロス」で有名な作家・太宰治
青森の津軽の地、金木村(現・五所川原市)に生まれている。
こんなことを言うのもおこがましいのだが、
私と太宰治は同郷の出身といっても悪くはない気がする。


こんなことを言っている私だが、
高校時代まで、特に太宰治に夢中になっていた、という訳ではない。

全国の多くの学生と同じように教科書で「走れメロス」を学習し、
「へぇ~、同郷の作家なんだぁ~」程度の認識しか持っていなかった。
センター試験の過去問題で太宰治の作品が出題され、若干の興味を抱いて
太宰の第一創作集である『晩年』を買って読んだこともあったが、
全部読み終える前に飽き、放置してしまっていた。



私の本当の太宰治との出会いは上京してからである。
はじめのうちは、周りに親戚もおらず、友達もなかなかできず、
私の心の中はとにかく寂しさに満ち溢れていた。
恥ずかしい話だが、弁当を買いに近くのコンビニへ出かけ、
店員さんに「お箸はどうなさいますか?」と尋ねられ、
あまりに人と会話していなかったため「お願いします」の一言が
突っ掛かって出てこなかったという経験がある。

もちろん、今はそんなことはなく、
普通に友達もできて、普通に毎日を楽しく過ごしているのだけど、
当時の私にはこんな日々、想像すらできなかった。
とにかく故郷が寂しくて、恋しかった時に、
ふ、と立ち寄った本屋で太宰治の本を見つけたのだ。
私は太宰治が青森の出身であったことを思い出し、
地元の友達と東京で再会したかのように嬉しくなり、
買って帰ったのを覚えている。

それから、私は太宰に一気に夢中になり、
太宰治の遺した全作品を読破するに至った。

太宰治というと『人間失格』のイメージがとにかく強く、
暗い作家、デカダンスな生活を送った人、程度の認識を
多くの人が持っているのではないでしょうか?
しかし、全作読んでみると、そんなイメージは全然残らず、
むしろ、陽気で、不器用だけれど、可愛げがあって、面白い人という
イメージの方が強く残ります。
ここまで来ると、もう完全に太宰治の虜です。

私は大学のレポートそっちのけで、
太宰の伝記や研究論文なんかまで手を伸ばし、
太宰について個人的に理解を深めようとしているところです。
青森はもちろんですが、三鷹にも毎年足を運んでいますし、
三島や船橋なんかにも行きましたね。
残念ながら甲府の天下茶屋はまだですが。



こうして得た知識をみなさんと共有し、
みなさんにもっと太宰治について知ってもらいたい、
ということを目的として、今回このブログを立ち上げることにしました。

太宰の生涯を順に追いながら、
時系列に沿って、太宰の全作品に触れていければな、と考えています。
執筆の過程で新たに知った事実などは
どんどん加筆していきたいと考えていますし、
皆さまからの御意見やご感想もお待ちしております。

このブログを通して、
一人でも多くの方々と
太宰の世界に浸ることができれば嬉しいです。


太宰治の足跡を辿って-修治とタケ