NO BOOK NO LIFEなんて人生はつまらないからもう本を読むのはやめよう

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書店業務のおもしろさやつらさを、つらつらと徒然なるままに書いていきます

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毎日のように文房具があるか訊かれます。

 

ボールペン、フリクション、ノート、原稿用紙、一筆箋、筆ペン……一番多いのは葉書かなあ。

 

特に年賀状シーズンが近づいてきているので、今日は「喪中用の葉書」を訊かれました。

 

同じフロアに文房具屋さんあるんだけどなあ。

 

なんで本屋に来ちゃうのかなあ。

 

ウチはご年配のお客様が多いからなおさらだけれども、

 

これはたぶん全国の書店で起こっている現象なんだろうなあ。

 

でも、それにしても以前、銀座や新宿の書店に勤めているころに比べたら圧倒的に文房具を買いに来るお客様は多いように思いますが……。

 

何となく理由はわかります。

 

原因はたぶん有隣堂さんにあります。

 

僕も今は東京都民ですが出身は神奈川県です。

 

神奈川県民にとって書店と言えば有隣堂です。

 

子供のころは、日本で一番有名な書店は有隣堂だと思っていました。

 

紀伊国屋? 丸善? 何それ。有隣堂の方が大きいんでしょ? ってなもんです。

 

ウチに来るお客様でも時々、「ここって有隣堂じゃないの?」って言う方がいます。

 

おいおいアンタ、何年ウチの店通ってんだよ。

 

 

で、有隣堂さんと言えば本と一緒に文房具を扱っているのが定番。

 

だから神奈川県民は本屋に文房具があると決めつけている。

 

そういうことかなあと思います。

40代くらいの女性と、ご年配の女性のコンビ。

 

お母さんと娘さんですかね。

 

「ちょっといいですか?」

 

「はい。何かお探しですか?」

 

「あのね、ふわふわした感じの可愛いちいさいバッグなんだけどね。ネイビーの」

 

「……えっと、何か雑誌の付録ですかね?」

 

「箱みたいなのに入ってたから付録じゃないと思う」

 

「そうすると、ブランドムックというものですね。ブランドはおわかりですか?」

 

「それがわからないのよ」

 

「何でご覧になりました?」

 

「電車の広告に載ってた」

 

 

……んー。そうするとたぶん宝島社あたりが怪しいよなあ。

 

で、売場を確認したのですが、お客様が仰っているようなものはありませんでした。

 

「申し訳ございません。どんな商品かわかりかねますが、いずれにしてもウチには在庫がないようです」

 

「そっか、残念」

 

残念なのはこちらも一緒。

 

こういうの消化不良になるんだよな。結局何だかわからなくて、結末の無いミステリ小説を読まされたようなものだから。

 

だから、そのままお客様を帰すのが悔しくて、ひと言添えました。

 

「お客様、今度そういう機会があったら、他の情報よりも何よりも出版社の名前を覚えてきてください」

 

「出版社?」

 

「そうです、何は無くとも出版社です。他の情報は無くても大丈夫」

 

「へえ?」

 

「私たちにはわからなくても、出版社さんなら『今、電車で広告出してるふわふわしたバッグって何?』って訊けばわかりますから」

 

「そっかあ、なるほどね。次からそうするわ」

 

 

僕、これけっこういろんなお客様に言っています。

 

本来お客様が商品名(書籍や雑誌のタイトル)を覚えてきてくだされば何の問題もないのですが、

 

それは期待するだけムダ。絶対ムリ。

 

一番ありがちなのが、「1500円の本なのよー」とかいうやつね。

 

値段一番要らん情報だわ。

 

だから、お客様にお願いしたい。

 

値段は覚えてこなくていい。タイトルも著者も期待しない。

 

ただただ、出版社名を覚えてきてください。そしたら調べられるから。

 

 

ついでに出版社さんにもお願いしたい。(実際、けっこう言ってるけども)

 

広告を出すときは、

 

一番でっかく出版社名を書いておけ!

 

と。