第27弾 好きなものの話 中田 英寿さん
W杯の開幕がいよいよ迫ってきたこともあり、サッカーの話題が続きますが、
ベルマーレ時代から追いかけていた大好きな中田英寿氏の話をしたいと思います。
先日、テレビ朝日のW杯特番にて、現日本代表の本田選手と対談していたのを見て、
『やっぱりヒデはすごいなあ。』と、再認識しました。
彼の素晴らしい所はその客観的かつ冷静な分析力と、的確な状況判断であると思います。
現役時代からも色々言われてきましたがフィジカルの強さや技術はもちろんの事、
彼が海外で活躍できた最大の理由はやはりその戦術理解、状況分析と修正、コーチング、スペースメイキングなど、目に見えない「考える」プレーのクオリティの高さでしょう。
また、海外でプレーする事を視野において、早くから語学の勉強をするなど、プレーをする前の段階で日本人が海外でプレーするにおいて障害となることを克服していました。
プレーの技術が高ければ多少言葉が通じなくても大丈夫だという安易な考えではなく、意志の疎通や共通理解が何よりも大事だと考えた上での今では当たり前になっている考えも彼は20歳そこそこでしっかりと持っていたのです。
そして技術的なことを言うとまず姿勢が良い。ドリブルをしていても、パスをもらおうとしていても姿勢が良いので遠くまで見渡す事ができ、視野が広くなり、そこから芸術的なパス、キラーパスが生まれるのです。
ヒデは特別テクニックに優れているわけでも、特別身体が大きいわけでも、特別足が速いわけでもありません。
彼の一番凄い所は『当たり前の事を当たり前に出来る』所だと思います。
トラップ・ドリブル・パス・シュート・ヘディング・・・・・・・。サッカーにおける基本を誰よりも練習し、どんな状況でも正確に当たり前に出来るようにしていました。
相手がボールを取りに来たら相手から遠い方でボールをキープする・・・・・・・。
パスを受ける時はすぐに攻撃に移れるように前を向いてもらう・・・・・・。
ヘディングシュートは地面に叩きつけるつもりで打つ・・・・・・・。
サッカーを少しでもする人なら誰でも知っている基本を、基本通りしている所に彼の本当の凄さがあるのだと思います。
もちろんそれが出来るだけのフィジカルの強さや技術が必要ですが・・・・・・・。
メジャーでの野茂選手やイチロー選手のように、海外で日本人がプレーできる土台を作ったパイオニアの一人でもあります。
もちろんそれ以前にもブンデスリーガで活躍された奥寺さんや尾崎さん、風間さんなどが本当のパイオニアですが、日本人の海外挑戦の距離を縮めたという点ではヒデの影響は計り知れません。
ドイツW杯後の早すぎる引退はとても残念でしたが、世界中を旅し、色々なものを実際に見て、感じて、
『TAKE ACTION』という活動や、FIFAの親善大使など、幅広い活動をされています。
また、彼は現役時代から社会貢献活動などにも深い関心を寄せ、J2に落ち、財政的に苦しくなった古巣、ベルマーレに対してもスポンサーになったり、出身県のヴァンフォーレ甲府がJ1に昇格した際には、スポンサーを紹介したりしています。
いちサッカー選手としてだけでなく、自分の立場で何が出来るのかという事を常に考え、行動している姿を見ると、自分はなんて狭い見識の中で、しょーもない毎日を送っているなあと、悲しくなってしまいます・・・・・・・。
現役時代にマスコミとの確執があった(徐々に解消されつつありますが)ことも影響しているのか、
はたまた『感覚』がすでに日本人ではなくなったからなのか、日本という国から少し距離を置いた中田氏が、
今後日本サッカー界に直接的に関わる可能性(日本のクラブチームの監督や日本代表監督など)はかなり低いとは思いますが、中田氏を見てサッカーを始めた世代がいま日本のサッカー界を牽引すべき世代になりつつあります。
中田氏と本田選手の対談を見ていると、本田選手が、子供の頃からの憧れの人と初めて会って、話が出来る喜びが溢れていて、すごく目をキラキラとさせた少年のようで、見ているこっちもなんだかうれしい気持ちになりました。
彼が対談の中で本田選手に対する事や今の日本代表に対する意見を聞いて、彼の物の考え方、見方はまさに今の日本代表に欠けている部分であって、そこを改めない限り、これ以上世界との差は縮まらないだろうと痛感しました。
今の日本代表は競合国相手にも0-1や0-0の良い試合はするが、3-4や4-5などの試合は絶対に出来ない・・・・・・・・。
日本は練習だけなら世界でもトップクラスだが、それを試合で使う使い方を知らない・・・・・・・・・。
これらの言葉を重く受け止め、今後の日本サッカーを発展させてもらいたい・・・・・・・・。
これからも中田氏の活動を見守っていき、また刺激にしたいと思います。
中田氏って言ってるけど自分より年下やけど・・・・・・・・・・・・。