第15弾 すきなものの話 東野圭吾さんの作品



昔から推理小説が好きで、小学生の頃から江戸川乱歩や赤川次郎さんの本をよく読んでいました。


中学から某私立の男子校に進学、他に興味がいって、あまり本を読まなくなりました。


高校の頃は遊び呆けていて、読むといったらマンガくらい・・・・・・・。


大学になってから少し落ち着き、また本を読むようになったのですが、小説よりはエッセイや専門書が多くなっていました。


社会人になり、仕事に慣れてきた頃からか、少し現実での生活に疲れてきたからなのか、無性に小説が読みたくなり、色んな方の本を読み始めました。


その中でも山崎豊子さん、石田衣良さん、乙一さん、伊坂幸太郎さん、ダン・ブラウンさんの本がとても面白く、文庫で出ているほとんどの本を読みましたが、

『好きな作家を誰か一人挙げてください』

と言われたら、おそらく東野圭吾さんを挙げるでしょう。


もともと推理小説が得意な作家さんで、最近で言うと『ガリレオ』なんかは福山雅治さん主演でドラマ・映画化されたのでご存知の方も多いでしょう。


サスペンス・推理物でも『分身』・『変身』・『むかし僕が死んだ家』・『ゲームの名は誘拐』・『同級生』などなど、面白いものが多いです。


東野さんはとても文章が上手く、描写もとても分かり易い。普段あまり活字を読まない人でもすんなりと読めると思います。そして、文章や表現がとても上手いので物語の中の人物やシーンがイメージしやすいので、読み進めていくうちにどんどんのめりこんでいってしまう所も東野作品の魅力の一つでしょう。


しかし東野さんの真骨頂は、サスペンスや推理要素を含みながら、人間のもつ悲哀や愛情、恐ろしいまでの本能、物事の本質・倫理観などを鋭くえぐり、問題提起をしている部分であると思います。


サスペンス物でいうと『白夜行』・『幻夜』・『使命と魂のリミット』・『さまよう刃』、

ヒューマンドラマ系でいうと『秘密』・『手紙』・『時生』・『赤い指』などは、東野さんの持ち味が存分に発揮された名作だと思います。


特に 『秘密』・『手紙』・『時生』 は、涙なくして読めない感動巨編であり、ぜひ皆さんにお薦めしたい作品でもあります。


ちなみに『秘密』は広末涼子さん主演で映画化されており、『手紙』は山田孝之さん、玉山鉄二さん、沢尻エリカさん出演で映画化されています。『時生』は国分太一さんと櫻井 翔さんが主演で、NHK総合テレビ“夜ドラ”にてドラマ化されていてDVD化されています。


私としては映像で見るより本を読んだ方が面白いと思います。


以下、簡単なあらすじを載せておきますので、気になった方はだまされたと思って一度読んでみてください。


『秘密』


妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まった。映画「秘密」の原作であり、98年度のベストミステリーとして話題をさらった長篇、ついに文庫化。


『手紙』

強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く…。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き切り、感動を呼んだ不朽の名作。



『時生』

不治の病を患う息子に最期のときが訪れつつあるとき、宮本拓実は妻に、二十年以上前に出会った少年との想い出を語りはじめる。どうしようもない若者だった拓実は、「トキオ」と名乗る少年と共に、謎を残して消えた恋人・千鶴の行方を追った―。過去、現在、未来が交錯するベストセラー作家の集大成作品。



つい最近文庫で出た『使命と魂のリミット』を読み終わったところですが、世の中で起こっている様々な事件にも、ニュースや新聞などでは分からない、深い事情があるんだろうなあと考えさせられる作品でした。


自分だけでなく、みんな多かれ少なかれ不安や悩み、怒りや哀しみを持ちながら生きているんだという事を実感させられる、そしてそんな中でも一生懸命生きなければと思わせてくれる東野圭吾さんの作品が、大好きです。