☆☆☆Be Unregulated☆☆☆
ここへ来るのもずいぶん
久しぶりの気がするなあ
おれはそう思いながら
雑居ビルの角の裏口みたいな
感じがしてるのに
妙に浮いてる分厚い黒ワクの
ガラス扉の見える路地裏の道で
立ち止まってしまった
近づくつもりは
なかったんだがなぁ
横目で洒落た横文字の
ステッカーの貼られた
ウインドーの窓枠に1列に
並べられた燃えないゴミ
というかママの
コレクションだという
ふれこみの
現地でないと手に入らない
めずらしい洋酒の空き瓶を
飾っているというもので
店の中では潔癖性の自分には
近づくことすら不快なゴミなのに
ウインドーを照らすオレンジの
クリップライトの光の中では
ささくれた心を落ち着かせてくれる
どこか懐かしい気分にさせて
店の扉の向こうへ誘う
不思議な瓶たちを
ちらっと見て
瓶たちの聴こえる
はずのない呼び込みの声に
引き込まれるように
この田舎街に一店しかない
ゲイバーに何度目かは
わからなくなっているが
足を踏み入れてしまった
まだ宵の口で開店したばかりの
バーのカウンターでは
客がほとんど寄り付かないのに
やる気満々のドギツイ化粧に
失敗しているとしか思えない
白塗り顔が見ていられない
ママが大型犬が飛びつくみたいに
「いらっ」
と、とても嬉しそう言いかけて
自分のことに気づくと
「なんだ、あんたなの」
と急に興味を無くして
なげやりに言うものだから
さすがにムッとして
「悪いかよ」
と言い返す
返す口で間髪入れずにママが
「カルーアミルクとか
グラスホッパーは
しんでも作らないわよ!!
あんなお子ちゃまの
ジュースなんか恥ずかしくて
客に出せないわ
ジンジャーエールも
もちろんミルクもね!」
と噛みつくみたいに
刺々しく言い出すものだから
かなり不愉快な気分に
なってしまった
厨房の頃に初めて来たときに
甘いグラスホッパーという
カクテルが飲みたいと
言っただけでママが
とんでもなく
怒りだして
叩き出されてしばらく
近くに来ただけで
怒鳴りつけに店から
飛び出してくるくらい
嫌がられたんだよな
まだ根に持ってるし
シツケーの!!
おれは飲みたい気分だったので
騒ぐママを無視してカウンターの
隅っこのお気にの場所に陣取って
ママの頭が冷えてお冷やが
出てくるのをボロのいつか
アマゾンで買ってもらった
アナログの安物ウオッチを
それとなく眺めて待っていた
そのうち怒るのに
疲れたらしいママが
「いつものカシスでいいわよね」
「あんた金魚みたいって
馴染みの子から皮肉られても
めげずにガブ飲みしてたしねぇ」
と昔話をし始めたので
ヒマ潰しのいい相手になると
踏んだおれは適当に
話を合わせることにした
というかそれが目的で
こんな人が寄りつかない
場所に来てる訳だけれどもな
「 て言うかさ、
何でこの店の酒は安物な訳?
アルコールの臭いも
ほとんどしてねー
水でかさ増しして
金儲けしてるの丸わかりの
不良品ばっか出しやがってよ
いっぺんクリスマスイブに
馴染みの連中と飲まされた
高価いとかいうシャンパンなんか
ただのコンビニの甘すぎ
ピーチサイダーだわ
サワーなんぞ全種類
色の着いてるだけのただの水
以外の何物でもねーぞ!!
恥を知れよババア!!
しんで来い!! 」
「あら心外ねぇー!
通報されたいの?
マッポ大嫌いのあんたが
捕まるとこ考えるだけで
酒が進むわーwww
あんたが異常なくらい
酒に強いだけでしょ!
テキーラ飲みなさいよ
テキーラ!
飲み過ぎで捕まって
ブタ箱で2、3日寝てるだけで
ホンモノの漢になれるわよー
オススメするわ!
マジでね! 」
コイツ口が減らねえなぁ
一発殴ってやろうか
とかも思ったが
傷害で検挙されるのは
お断りなのでここは
グッとこらえてだな
ああ、マシンガントークで
気がつかなかったのはワリィ
あやまるって!!
放置プレイじゃねーって?
すまんすまん!
説明しとくとだな
このゲイバーは
この街でもウワサに
なるくらい
札付きのワルから
放置虐待児まで
行き場のない連中の
ヒマ潰しの遊び場所に
なってる善くない場所でよ
未成年者の飲酒喫煙は
もちろん後ろ暗いブツまで
何でもござれのとんでもなく
ヤバい場所なのさ
見た目は超がつくくらいの
明るい照明で目立ってる上に
路地裏から完璧に浮いてる
小洒落たバーだってのによ
お前も見た目にダマされる
ようなバカはすんじゃねえぞ
おおっとママがなんか言ってる
「 酒で満足できそうにない
あんたに親切で言っとくけど
大通りにあるナントカっていう
バールには近づくんじゃないわよ
忠告しとくけどあそこ大きくて
明るくて清潔だけど実は
老け専の発展場なのよ
よく平日の真っ昼間から
貸し切りになってるでしょ?
おかしいと思わなかったの
それだけじゃないの
集まってイタしてる
ジジイどもが
そろいもそろって
RASH代わりに
"ヒナタくん"
と関わってて
老け専の若い子が
ムリ強いされたらしいの
その子の話?
そのあと聞かないわねぇ 」
「 あんたもやるんなら
草程度にしときよ!
逆に身体に良いらしいしね 」
背筋が寒くなるような話を
よくもまあしれっと言えるな
嫌がらせに違いねえなこれは
あああ、なんのことか
わかんねえらしいな
ちっとばかし長くなるけど
説明してやろうか
かまわないんだな
じゃあ話してやるよ
ヒナタっていうのは
かなり前にTVで夜中に
誰に見せたくて流してたのかも
わかんねえガキどもの全寮制学校の
ちょっとSFじみたくだらねえふざけ合いを
流しっぱにするアニメでよ
主人公の遊び相手の元野球少年の
ナンパな長髪のガキのことなんだが
ラスト近くの話の中で
ストレスで完璧につぶされちまって
ワルい連中から白い粉をすすめられる
そういうガキどもの教育上差しつかえのある
原作者の正気を疑いたくなるような
回想シーンがあるんだけどよ
よっぽどコアなファン以外に
こんなクソ退屈なアニメの
ストーリーを注意して観るような
物好きは一般人のおカタい連中には
まずもって居ねーだろうから
白い粉のことを"ヒナタ"って
遠回しに言ってるんだよ
はたから聴いてりゃ
厄介者の悪口言ってる
そんくらいにしか聴こえねえから
すんげえ都合がいいんだよ
こんな呼び方考えた奴
誰だか知らねえけど
頭が下がるぜ腹黒過ぎてよぉ
とにかく
このままだと
ヤベえ方向に
転がってって
余計なストレス
しょい込まされそうだから
話の腰を折っててきとうに
そらさなくちゃな
どうするよおい
「 あらそう言えばあんた
最近見かけなかったけど
どこで何してたわけ?
たしか高校卒業してすぐ
親子の縁切られて
トレーナー1枚で家を
放り出されたんだった
わよねぇw 」
チッ!
よりによって身の上話に
持ってかれるとはな
先手を打たれたなこれは
これも嫌がらせだな
間違いなく!
「 うるせえな!
極悪人のくせに保護者ズラかよ
聴いても面白くも何ともないぜ
顔を何度か見た程度の
同級生どもをてきとうに
言いくるめて寝泊まり
してただけだよ
ワルいのか! 」
さすがに険悪な感じになった
おれをそれとなく
ひじでこづいて
話をそらしてしまえと
知らせてくれたのに気づいて
話を別の方向にふってみる
おれだったけど
「 ところで
なあ!ママ!
最初に来たときから
気になってたんだけども
この統失崩れのエセ占い師
まんまの店の名前
変えるつもりはねーのかよ 」
「 イヤねえ!
これでも気に入ってるのよ?
元々占い師を雇って
フォーチュンバーにする
つもりだったし
愛着があるから変える
つもりなんてないわよ!
言っとくけど、
どっかのラノベのヒロインの別名を
パクった訳じゃないからね!
存在すら知らなかったし
ラノベに興味なんて
まったくなかったんだから!
だいたいあれって英語名でしょ!
それにお高くとまったしょんべん臭い
ちやほやされてるだけの小娘の使う
ゲームキャラの名前を使う訳が
ないじゃないのさ!
バカにするのもたいがいにおし! 」
ついにヒスッたか、、、
こうなったら逃げるしかねえぞ
このババア何人のしたか
わかんねえくらい武勇伝持ってる
とんでもねえ奴だから
とっとと逃げっぞ!
おれはそばでおいてけぼりにされて
なにが起きたのかもわからない
ほんの数分間の口ゲンカから
コイツをひっぱりだすために
白い高価い布みたいな
きれいで細いうでを
つい力まかせにつかんでしまって
重い扉を体当たりでもするように
乱暴に開けると
真冬の寒さがまだ
しっかり残っている
暗くなり始めた
青一色の狭くて
汚い路地裏の道を
ふたりでかけて行った
ーーー 了 ーーー
《キャプション》
皆さん始めまして。
自分はpixivにて活動している
一介の物書きです。
あまりにも大変そうな
友人のためにこの文章を
贈ったのですけれど
まるで最初から頭の中に
在ったように苦もなく
書けてしまったという
不思議な文章でしたが
本当にどうもすみません!
題材にしたアニメ化もされた
人気のラノベ作品にも原作者の方にも
ファンの方々にさえも
申し訳が立たない扱いを
文章中でしましたが
悪意は在りません。
むしろファンです。
毎週TV放送を楽しみに
していましたので
重ねてお詫びいたします。
ええと、文章を書いた自分が
とんでもなく悪い人に思えますが
まったくそんなことはありません。
題材にしているバーの外観については
自分の生家のある地元市街地の
外縁部の繁華街のとある
小さな交差点の角に
窓から時おり覗き観るマスターが
気難しく見えるため気になるのに
とても入れそうにない
実在しているバーから
そのまま使わせて
いただきました。
関係者の方々には
ラノベの流用の件ともども
つつしんでお詫びいたします。
文章中のもっとも倫理的に
差し障りがある部分の伝聞
それについてもまったくほぼ
そのまま聴いたウワサ話で
近畿地方のある大都市で一人暮らしを
数年間続けていた間に1度だけ
少ない所持金をそっくり使って
有名繁華街の中央辺りの古いけれど
有名らしい喫茶店に
本格チャイを生まれて初めて
飲みに行った時に
昼下がりのランチ時から
外れて人が少なくなった
薄暗い店内照明の中で
けっこうはっきりと
聴こえる声で交わされる
男性二人のものらしい
とぎれとぎれの会話から
その界わいのとある
小さなバールのことらしい
悪いウワサなのが
すぐにわかる話を
聴いてしまって
初めて飲む本格
スパイス入りのチャイが
手持ちのほぼ全金額をはたいたのに
とうてい口に合わないもの
だったことにとても傷ついた上に
金銭的に制限された孤独過ぎる
生活を続けていて精神的に参っていた
自分にはこの悪いウワサ話がひどく
気になってしまい話に出てくる
老け専の若い男性と自分のイメージを
重ねてしまったらしく
その後何度か実際にその場に
居たかのようなリアルな悪夢を
見てしまい単純にも
感情移入してしまう
自分はなんとピュアな
文学少年めいているんだろうと
我ながらかなり
恥ずかしくなって
しまったという
エピソードが
中心となってこの文章が
思いがけず出来上がって
しまいました。
読んだ方の目にはどう映るのか
気になりますがあえて聞かない
ことにします。
それでは。
またいつか、どこかで。
人の記憶に
残存する作品を
遺したい
日出獅子 拝
※参考作品
◇ 麻枝准 /「Angel Beats!」
◇ 合鴨ひろゆき / 「アクセルワールド」