パッと頭に思いついたのでかいてみました。初めてなので、添削校閲アドバイス等ありましましたらぜひよろしくお願いします。
揺れるポニーテール、揺れるスカート、揺れる君の艶やかな瞳。
天使の君が、僕に笑った。
ーーー放課後、部活生の声が響くグラウンドを横目に僕は今日の献立を考えながら歩いていた。最近また暑くなってきたから、そうめんにしようかな。なんて考えていた時、背中に暑さと湿度を感じた。きみだ。パッと後ろを振り返ると、長身の君が僕の背中に顔を押し付けていた。
「あついよ、汗もかいてるから」
僕がそういうと君は僕の背中にもっと強く顔を押し付けてきた。
「いいの、あつくて、落ち着くから」
なんて、君が言うから僕はそのまま歩き続けた。歩きづらくてたまらなかったけど、それよりも背中に感じる君の息遣いや湿度が好きで振り払うことができなかった。校門を過ぎたあたりでやっと
「はぁ!!あっつい!!!!!」
と言いながら君は僕の体から離れた。夏の風が背中にこもっていた熱をさらう。
「そりゃね、君が僕にくっついてきたんじゃないか。」
「えへへ、でもくっつきたかったんだもん」
君はそう無邪気に笑い、歩幅を合わせて僕の横を歩く。僕のより大きい君の影に視線を落とす。ゆらゆら揺れる影すらも、君らしくて思わず笑ってしまう。僕がなんで笑ってるかも知らないのに、君もつられて笑い出す。そんな君がどうしようもなく可愛く思えた。
そして君はいつも好きな人の話をする。どんなところが好きだとか、今日は何回目があったとか、、僕はわざとそっけない返事をする。すると君はいつも「好きな人がいるって素敵なんだよ、世界がキラキラするの」と心底楽しそうに僕に言う。僕の知る限りではそんなに素敵なものではないんだけどな、なんて心の中で返事をしながら、少し歩幅を広げてみる。
10メートル先の交差点。君は右に、僕は左に曲がる。だから僕は歩幅を小さくする。すると君もあわせて歩幅を縮める。あと5メートル。君が僕の方を見る。僕も視線を合わせる。君の額を湿らせる汗。あと3メートル。君が手をあげて、
「じゃあね、さくら、また明日!」
と手を振る。僕も手を振り返す。額の汗がツっと滴る。0メートル。君はくるっと僕に背を向け帰っていく。君のスカートがふわりと揺れる。僕はただどんどん小さくなる背中を見つめていた。君はこちらを振り返ることなく、まっすぐ進んでいく。ピンと伸びた背筋に短い影の君が次の角を曲がるまで見つめる。君はきっと僕がいつもこうしてることを知らない。でも、君のそんなところも好きなんだ。
僕はやっと自分の家の方に向かって歩き出す。君のことを考えながら。
風がざぁっと僕のスカートを揺らした。やっぱり、そんなに素敵なもんじゃないよ。