design
どれ程の己を費やし辿りついた物が真実なのか
どれ程の己を費やし辿り着いた物を社会が受け入れたことか
しかし社会が受け入れた華やかである物は
逃れることのない苦悩や絶望に裏付けされ
積み上げられた生命の代償
また真実の上澄みでしかない
真に創造の意味を知る者が苦悩や絶望の中で
苦しんで居ないとは思わない
一族に生まれた苦しさを受け止めながら
生きていることだろう
しかしそれは真実を知った代価なのでは無いか
絶望や苦悩の果てにしか未来や希望などあり得ない
その代価を支払った者のみが真実の未来や希望を
手にするのではないか
真実とはあまりに儚い
未来や希望もまたともに儚い
それは多くの者にとって真実などと言う陳腐な言葉が
それほどの意味を持ち得ないからであり
言葉が持つ意味に価値を見出だせないからであると
しかしその儚い夢や希望が導く真実
造られ創造される未来にこそ
価値があることをまた多くの者が知っている
私たちもまた知っているのではないか
残念ながら私は選ばれし一族の一員としては生まれなかった
しかしそれでも私は真実の持つ意味を知っている
知りたいと渇望して止まないでいる

矛盾
1+1=2。と子供の時に習ってから、
学び育ち生きるなかで1+1は∞(無限)の
可能性を秘めている事を学び知った。
しかし1+1が100や1000と
成るときそこには98ないし998の
矛盾などが隠れている場合がある。
E=mc2
今、なにを思うのか。
文明とは、文化とは、
私たちに課せられた使命とは。
脱獄
「独りかい、?」
不意の問い掛けに私は気負いを隠せぬまま
「あっ、はい、、、」
と答えてしまっていた。
タバコと赤ワインの入ったプラスチックの
グラスを片手に、一人のビジネスマンが
人懐っこい笑顔で私を見下ろしている。
まだ慣れぬ独り旅の入口であることは
話さずとも彼等には見透かされていたらしい。
彼は他愛もない話をしつつ私を和ませ、
ついでに自分の自己紹介と彼らに最低限
必要と思われる私の情報を聞き出し
推測の裏付けを済ませ、私を大人な空間へと
招き入れてくれていた。
彼の巧妙な話術に加え体育会育ちの私は
目上の人々には定評があり、また会話に慣れもしていた、
そんな私たちが会話にリズムを得るのに
そう時間はかからず、私たちの会話が周囲に点在する、
時間を持て余しがちな彼等、の関心を引くにも
多くの時間を必要とすることはなかった。
5、6ヵ国語が同時に飛び交い脳内で瞬時に
母国語に翻訳され言葉が交わされていく、
言語、文化の壁を越えたリアルな
コミュニケーションが私を含む此処に存在している。
ビジネスマン、旅行客、多用な乗客たちが
多様な都合でこの便に乗り合わせ、
同じ時を持て余し此処に集まり言葉を交わしている。
数ヶ月前まで高校に通い、数週前に大学の入学式を
済ませたばかりの私にはとても遠く思えたに違いない。
私は良くこんなことを考えていた。
私たちにとって高校の学生証は何をしても許される、
子供である最後の免罪符の様な物だと、
夜遊びを覚え流行りの服を着こみ、ディスコ等で
大人な風を装おい生意気に振る舞おうとも所詮、
生徒は親や学校の保護下で手厚く守られ
社会的責任を果たせはしない。
生徒から学生に成った今、私は何かをしたら
許されない責任を背負った。
それと同時に私は「liberal」で存ることも
容される権利をやっと手にしたのだと。
学生に成ったら。生徒ではなくなったら。
十代の内に。私は必ず「旅に出なくてはならない。」
私が思い続けていたこと、終わることの無い旅
私のミッドナイト・エクスプレスの始まりである。

*ミッドナイト・エクスプレス。
トルコの刑務所で脱獄を意味する隠語
沢木耕太郎書の深夜特急より







