私には本気で好きになって、忘れられない人がいる。
最初に思ったのは、
この人、少し似ているな、ということだった。
言葉の多さじゃなくて、
間の取り方や反応の仕方、
うまく説明できない部分まで、似ていた。
人への気遣いの仕方。
相手の立場を考えながら動くこと。
仕事への姿勢。
自分がどう動けば効率がいいか考えられること。
考えすぎて、少し言葉につまるところ。
自己犠牲で、休憩時間を削ってしまうところ。
静かな佇まい、静かなオーラ。
深い内側の部分。
彼は気づいていたのだろうか。
⸻
けれども、
好きなものは、ひとつも重なっていなかった。
ゲームの話も、音楽の話も、
私の好きなものにはあまり興味を示さなかった。
何より、私が大好きな魚介類を、
彼は食べられなかった。
代わりに彼が好きだったのは、
飲み食いすることだった。
友達と飲みに行くこと。
お祭りの屋台。
料理をする時間。
それは彼にとって、
人と関わる楽しさそのものだった。
でも私は、
そこに強い欲があるわけじゃなかった。
⸻
それでも、少しでも近づきたくて、
やめていたお酒を、また飲むようになった。
飲めば、ちゃんと美味しい。
同じものを楽しめることが、少し嬉しかった。
でも、飲んだあと、
少しだけつらくなる。
その感覚が、どこかこの関係に似ていると思った。
⸻
似ていると思ったのは、きっと間違いじゃなかった。
ただ、似ていたのは
好きなものではなく、
もっと深いところだった。
だからこそ、
一緒に楽しめるものは見つからなかった。
⸻
うまくいかないことも、
なんとなくわかっていた。
それでも、どうしても、惹かれてしまった。
理由なんて、なかった。
⸻
ただ、思う。
同じものを好きでも、続くとは限らない。
深いところが似ていても、一緒にいられるとは限らない。
違いは、補い合えることもある。
でも、無理をしてしまうなら、それは少し違う。
⸻
理想の関係とは、
一緒にいて自然な自分でいられること。
合わせる努力をしなくても、心地よい距離があること。
相手の世界に触れられるけど、押し付けられない。
私の世界も、ちゃんと受け止めてもらえる。
いつか、巡り会えたら
と思う。