私は何も分からないまま一騎に連れ出され、外に出た。外には、たくさんの家があり、すぐそこには海も見えた。私は、じっと海を見つめた。あの海の上で、私は戦っていた。戦いがなくなって嬉しいような、みんなと会えなくて寂しいような、複雑な気分だった。何も言わず海を見ていたため、一騎が不思議そうに
「ヴェルは海が好きなのか?」
と訪ねてきた。好き、というよりあそこが私の居場所とも言えるだろう。あの上で戦っていたのだし、ずっと戦いが居場所だったのだから。しかし、はっきりとそう言えるわけでもないため、頷いた。すると一騎は私の心を読んだのか
「...もしかして、お前も戦いだけが居場所だったのか?」
と図星のことを聞いてきた。
「うん...。あの海の上で...みんなと戦っていたから...」
私は俯きながら言った。一騎は私のこと察したのか、「みんな」については聞かなかった。
一騎と出会って数時間、私は中学校に案内された。どうやら転校生として、この学校に入るらしい。しかも私から教育費はもらわない、とまで言ってくれた。私はその行為に甘え、中学校に入った。
「今日から新しいとお友達の、ヴェールヌイさんです。」
担任の先生がそういって、私の顔を見た。
「ヴェールヌイだ...よろしく」
私も簡潔な自己紹介をし、指定された席に座った。私の席は、窓際の一番後ろだ。隣には褐色の色をした少年が座っていて、私をじっと見ていた。
「...なに?」
私がその視線に気づくと、少年は
「君...どこから来たの?」
と言った。確かにどこから来たのか、は説明していない。実際目覚めた場所は見慣れない場所だったし、その前までは海の底にいたのだ。その前だってソ連にいた。この事を言っても信じてはくれないだろう。私は
「言う必要がある?」
と冷たく言い放った。少年は、少しだけ落ち込み、何も言わず前を向いた。...私の中学校生活、どうなることやら...。
学校が終わり、みんなは下校するが私は一人教室に残っていた。この島に連れてこられたのはいいが、宿がない。外で野宿するなら、ここに泊まった方が安全だと判断したからだ。そう考えながら、窓の外に映る海を一人見つめていたら、教室に誰かが入ってきた。私は気づいたが、敢えて無視をし、ただ外を見つめた。
「お前、何をしている?」
女性の声だった。私が振り替えると、赤い髪をした、女性が呆れたように私を見ていた。
「下校時刻は過ぎているぞ。早く帰宅しな」
と言った。私は何も言わず俯く。宿がない、なんて言えるはずもない。すると彼女は何を思ったのか突然、私の腕を掴んで、移動した。
「すまない、お前の事は一騎から話は聞いていた。お前は私の家に来い」
一騎。彼が彼女に話をしたのだろうか。彼女の家に向かう途中、警報が鳴った。
「奴ら...こんな時に!」
彼女は私を置いて、走り出した。私は訳も分からないまま、彼女を追いかけたが、追いかけてる途中、とても大きな石棺があった。その石棺に呼ばれている気がして、私は近づく。石棺の近くに階段があり、そこを降りた。暗く、狭い道を3分程度歩いた。そこで、私は大きな機械が鎖に繋がれている姿を見てしまった。...その機械に手を置くと、置いた手が緑の結晶で包まれた。驚き、すぐに手を離したら、結晶は砕け散った。あの結晶は、金色の怪物が、私に何かをやった時とまったく同じだった。手を置いた機械の近くに、橋がある。そこを渡ると、機会の胸部辺りに辿り着いた。近づくと自動で胸部が開いた。
入ってはいけない
頭では理解している。しかし、この機械に呼ばれているのだ。何も考えず、私はその機械の胸部に入った。胸部の中は暗く、変なものばかり置いてあった。椅子らしきものに座り、ズボンのポケットのようなところに手を入れた瞬間
「うっ...!?...あぁぁぁああぁああっ!!!」
両肩、両足の太股の内側、腰に激痛が走った。今まで感じたことがないほどの痛みだった。すると周りが明るくなり、さっきまでの石棺の背景が見える。私はこの機械を、石棺からバレないように出した。
「ソロモンに応答、スフィンクス型と断定」
「第二第三ヴェルシールド展開」
「ファフナー部隊、出撃!」
アルヴィスの指令部には、いろいろな声が飛び交っていた。指示を出す一騎の父、史彦はただファフナ部隊を見守りながら、指示を出していた。するとCDCに座っていた女性が
「真壁指令!マークセラフが起動しています!!」
「何だと!?」
近くにいた一騎も驚いた。マークセラフ...アルヴィス最強のファフナーで、その性能や火力は、ザインやニヒトを上回る人類軍が作ったザルヴァートルモデルのファフナー。。しかし、ザインやニヒトと同じく、コアの摘出作業をするため、封印されていた。その封印が解かれた?一体誰が?まさか... 一騎は嫌な予感がした。そして、まだ誰も知らなかった。一騎が予想した予感が、的中してしまうことを。
続く
