もう4年が経つのか…

僕の奥さんは急性白血病で4年前に死んだ、妊娠していた。どうしても産みたいと言い治療を遅らせた、僕は子どもは良くなってからでも産めるじゃないかと言って反対したが奥さんの意思は強かった。

5ヶ月後元気な赤ちゃんを産んだ、二人で喜んだけど、奥さんはもう死期が迫っていた。

「私が死んでもこの子がいる限り私の命は続いているのよ」と言うと静かに息を引き取った。

最近「なんで僕にママはいないの」と息子が言ってくる。初めは戸惑ったが今はこう言っている「ママはいなくなんかないよ鏡を見てごらん鏡に写った顔を見てごらんそこにママがいるから」息子は奥さんにそっくりだからね。

すると息子は「ママ、ママ……」と言って泣いていた、僕もいっしょに泣いた。そうして息子をギュッと抱いてキスをした。



今日、買い物から帰る途中、高校生に声をかけられた、なにか困っているようだったからその若者の話を聞いてみる事にした。

彼はこう言った「おじいさんは僕位の歳の時将来何になりたいとかありましたか?」って
ワシが若かった頃は物も無いし仕事も無いしだから「僕の若い頃は仕事を選ぶなんて出来なかったんじゃよ、本当は画家になりたかったけど時代が時代だからな!お金持ちの生まれていたらななんて考えたりもしたもんじゃよ。」

若者は言う「じゃあ僕は恵まれているんですね?ありがとうございます!!僕の夢はCGクリエイターなんです倍率が高くって諦めようと思っていたんです、でもおじいさんの話しを聞いたら勇気が出ました。ありがとうございます!!」

「CGクリエイターって何かわからないけど続けていれば夢は掴めるよ!僕も二科展に出品して絵を書き続けているんだよ佳選は取った事があるくらいだが長くやり続けていればきっと報われるから」
「ありがとうございます専門学校に進む事にします」

頑張れ若者よ!
来たよ、ついに来たよ噂の『イルカの酒屋』大通りから細道に入ってさらに狭い路地に入って奥から2番目のドアを開けるとそこには『イルカの酒屋』が。

先輩が言ってたんだ『イルカの酒屋』には超美人のママがいるって、でも先輩は行った事がないらしい…僕は見つけたよ!中に入ると薄暗くお客さんもまばらで流行ってはいない感じ僕はカウンターに座った。

奥からママらしき人が現れて注文をとる。ママは銀河鉄道999のメーテルのような美人だった、予想以上に美人だったからいつもならビールを頼むのだが「お任せで」と言ってしまった。

出てきたのはジントニックのようだが少し華やかな感じのするカクテルだった。

緊張をまぎらわす為にママに質問攻撃をした「ママは結婚しているの?」ママは「ご想像にお任せします」と何を質問してもそんな答え、でも「僕と付き合ってくれますか?」と聞くと「あなたが私より大人になったらね」

これはいけると思い「ママの想う大人の定義は?」と聞くと「なんに対しても怒らない人」………

怒らないって難しいな2時間ほど呑んで最後にママに「このお店の名前の由来は?」って聞いたら

「イルカって群れで生きているでしょうだからお客さんにいっぱい来てもらいたいからと思ってつけたんだけどダメねこんな立地じゃ、でもお馴染みさんが今日も来てくれるからそれでいいのかって思っているの、あなたも常連さんになってくれるでしょう?」

こんなん言われたら通うでしょう!?今度は先輩も連れて来ようっと!