KDDI研究所は、1Gbpsの高速通信を実現した赤外線通信技術を開発したと発表した。同技術は、「EFIR(Extremely Fast Infrared communication)」という名称で、2009年3月にかけて標準化仕様の検討が進められる予定。

 「EFIR」は、従来の4Mbps程度の赤外線通信技術と比較して、約250倍の高速通信を実現した赤外線通信インターフェイス。KDDI研究所で行なわれた実験では、このインターフェイスを装着した携帯電話 とパソコンとの間で1Gbpsのワイヤレス通信を実現した。

 これまでの赤外線通信技術では、データの送受信にIrSimpleで約4Mbpsとなっていた。「EFIR」を使うと、携帯音楽プレーヤー用のCDアルバム1枚分の楽曲データ(約120MB)を約1秒で送ることができるという。

 「EFIR」では、従来の赤外線通信技術と同様に半導体光素子による通信が可能で、光源としてこれまでの発光ダイオードに代わり、半導体レーザーが採用されている。半導体レーザーを採用することで、高速なデータ転送をしやすい環境を実現しているという。

 また、レーザーが人間の目へ照射された場合の安全性を高めるため、半導体レーザーには赤外線で適用されてきた0.8μm帯の波長ではなく、 1.3μm帯を使用している。この波長は人間の目には見えず、弱い光出力でも通信できるように光受信素子が最適化されている。データ転送用のメモリには、 高速転送に対応したメモリとデータを常時保存する揮発性メモリを組み合わせ、安定した高速データ転送を実現しているという。

 なお、実験用システムは、EFIR機器間の通信距離を約5cmで最適化したという。レーザーを使用しているため、ビームの角度や強さを強めれば より遠くへ飛ばすことも可能だが、距離が遠くなればレーザーポインターの光の点を合わせるような困難な作業を強いられる。KDDI研究所では近接無線通信 を想定し、赤外線通信技術の標準化を行なうIrDAに対して「EFIR」の標準化を提案したとのこと。これを受けてIrDAでは、2007年12月に 「EFIR」の標準化検討グループが設置された。

 赤外線通信技術では、IrDAの通信プロトコルを見直して高速通信を実現したIrSimpleのほか、16Mbpsのデータ送受信が可能な 「VFIR」、100Mbpsを実現した「UFIR」といった規格が存在する。しかし、変調方式の違いなどから「VFIR」と「UFIR」の対応機器はほ とんど登場してない状況だ。

 「EFIR」では光源に半導体レーザーを採用するため、これまでの赤外線通信モジュールとはハードウェアは異なるが、下位互換性も含めて標準化の仕様が検討される見込み。