この生き物は、主にカレーとプロレスと富野由悠季で構成されています

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気まぐれに更新。
現状、多分プロレスネタ多め。

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2021年10月12日のDDT後楽園大会がかつての「胡散臭さ」と現在の「試合のクオリティ」が融合した素晴らしい大会だったんですけど、特にダークマッチ2試合目、ヨシヒコvs平田一喜戦が「vsヨシヒコ」の最高傑作と言っていい程の一戦だったのですよ。
まだ見ていない方はDDT公式youtubeチャンネルで第1試合まで無料で見られますので、まずそちらを見て頂くとして。
https://youtu.be/faEk1aiuL4o

それを踏まえた上で、であるからこそ未だに配信化・映像ソフト化されていない「vsヨシヒコ」のマスターピースと個人的に思っている、2010年8月3日ビアガーデンプロレスに於ける「ヨシヒコvs石井慧介」の素晴らしさを改めて語り継がなければいけないのではないかという謎の使命感から、当時のmixi日記からの感想を転載いたします。

それではどうぞ。

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ヨシヒコというレスラーをご存知だろうか。

DDTプロレスリングに所属し、軽量な体躯から飛び技などの空中殺法を得意としつつ、グラウンドテクニックにも秀で、打撃の応酬にも臆しないハートを持ち、時にはその小柄からは想像もできない程の力技で重量級の相手を投げる事も出来、関節技への耐久力やスタミナにも長けている。
その実力からKO-D無差別級及びタッグ選手権への挑戦歴もあり、過去の試合のいずれもが白熱した好試合として、ファンからの支持も厚い、ある意味で今、理想に最も近いレスラーである。

そんなヨシヒコに、メインでベルトHxH(ハンターxハンター)の同門でもある石井慧介が挑んだ、8.3新木場ビアガーデンプロレス。
試合は序盤のグラウンドでの地味な展開から、中盤〜後半までの途切れる事の無い一進一退の攻防や、場外戦での危険な大技の応酬に、会場は常時大歓声。
フィニッシュは終盤の石井の大技ラッシュを耐え凌いだヨシヒコが、輪廻転生(デジャヴからの高速ウラカン・ラナ)でピン。

それまでチャレンジャーとしての「追う立場」が多かったヨシヒコだったが、おそらくシングルでは初となる自身よりキャリア・実績ともに劣る後輩が相手という事も有って、どういう試合展開になるかが楽しみでもあり同時に不安でもあったが、石井の危険な技をほぼ全て受け切った上での勝利、また負けはしたが石井の想像を上回る頑張りもあり、「神試合」とまで呼ばれた飯伏vsヨシヒコ戦に勝るとも劣らない名勝負となったと、個人的には思う。
こうした石井を始めとする若手選手の台頭に対して、今後キャリアの上で「追われる立場」となる事も多いだろうヨシヒコの試金石としては、実に素晴らしい試合内容だった。

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えーと、本来ならプヲタ的にこっから先は書いちゃいけない事なんだろうなぁと解かりつつ、昨日のヨシヒコvs石井ちゃんの試合を観てどうしても書かずにはいられなかったので書いてしまいます。

ヨシヒコの正体は「ダッチワイフ」です。
つまりリング上では「レスラーが空気の入った人形を相手に技をかけたりかけられたりしている」という事になりますな。
どうだろう、この字面にした時のどうしようもないバカバカしさ。
ここだけを切り取ってみれば、プロレスを揶揄する人にとっての格好の餌と言えなくもありません。
ただし、実際にプロレスラーがヨシヒコと戦った場合、そのレスラーの技量(主にプロレス脳的な意味で)によって、「それ以上」になるのです。もちろん「それ以下」にも。
ぶっちゃけた話、勝敗だけに限って言えば、ヨシヒコに「勝利する」事は非常に簡単です。
なぜなら相手はこちらが何もしなければ本当に「何もしてこない」のですから。
でもそれではプロレスの「勝敗」は成立しても、「試合」は成立しないのです。
ヨシヒコと戦うレスラーには、「自分の実力」とは別に「ヨシヒコとしての実力」も要求されるという、ある意味究極の風車の理論を体現しなければいけないわけですよ。
当然相手が人形なんで、ヨシヒコの動きには色々と制約が多い(自立が出来ない、ロープに振っても戻ってこない、など等)訳ですが、そのヨシヒコが「人形」である事を時には感じさせず時には利用し、如何にしてプロレスとしてのムーヴを組み立てるかが、対戦相手としてのプロレス脳の見せ所となってくるわけです。

昨日の石井ちゃんの試合で印象的だったのは、まずその「人形相手だからできる事」と「人形相手なのにできる事」のバランスが絶妙だった事。
特に終盤で魅せたヨシヒコを空中に放り投げてからのフライングニールキックは、自立できない・ロープに振れないヨシヒコ相手への強烈な打撃ムーヴとしての、ひとつの答えだと思います。
あとこれはよく考えるとすごい事なんだけれども、ヨシヒコ>石井ちゃんという「格の違い」を試合の中で感じる事ができた事。
飛びつきウラカンや一瞬の丸め込み以外での、説得力抜群のヨシヒコのフィニッシュって、恐らく今回が初めてじゃなかろうか。
日記の上半分で書いた、飯伏vsヨシヒコ戦に勝るとも劣らないという感想は、大げさでも何でもなく本心からの想いです。
むしろ以前までのヨシヒコ戦で多かった「後ろの人」の介入が殆ど無かったのも含めて、プロレスの試合としての完成度で言うならば上回ってるかもってくらい。
なによりこの対ヨシヒコ戦という難易度S級のプロレス問題集に、ひとつの「模範解答」を示したレスラーが、デビューから若干2年という事実。

石井慧介、恐るべし。