プラス受信で「道は開ける」


 「いったいどこに連れていかれるのだろう」と思いつつ、上司と2人で社長の後をついていきました。


社長は途中で缶コーヒーを2本買い、さらに歩き続けました。


「2本も飲むのか、これは(クレームが)長くなるな」

と思いました。


トータル4~5分も歩いたころでしょうか、


やがて、空室でフローリングになっているワンルームマンション

(どうやら社長の副業らしい)に着きました。



上司と私はフローリング正座をして、社長と対峙するかたちに向き合いました。


上司からは事前に

「おまえはとにかくよけいなことはしゃべらず、俺とまったく同じことをするように」と言われていました。


そのときは

まったく同じこととはどういうことだ?とにかく言い訳がましいことはやめてきちんと謝罪をしよう」と思いました。



上司は突然


「〇〇さま、この度はまことに申し訳ございませんでした」と板張りの床に額(ひたい)をこすりつけて土下座を始めました。



それを見て、真横にいた私もあわてて
あとを追って正座のまま、額(ひたい)を床にこすりつけました。

いったい何秒くらいそうしていたでしょうか。


そこに先ほど社長が買った「2本の缶コーヒー」


スローモーションのようにすーっと床をすべってきて、


下げたままの私たちの額の少し前でピタッととまりました。



社長は厳しい声でしたが


「△△(こちらの社名)さん、まあ頭をあげて、コーヒーでも飲んでくださいよ」


と私たちに言いました。


私は頭を下げたまま、


(この缶コーヒーは)社長が自分で飲むのではなく、俺たちに飲ませるために買ったのか。


これはきっと解決する!社長には許す気持ちがある!



許さないのならコーヒーなんか買わないだろう」と


心の中で思いました。


お詫びをし、1時間ほどお話を伺い、その日は帰りました。


翌日、今度は正式に「アポ」を取って、改めて上司と2人でお詫びに出向きました。


その翌週、「ちょうど近くまで来ました」と言いわけしながら、私1人でもう1度お詫びに行きました。


その間「支払」はずっとストップされていました。



「事故になっても、ブラックリストに載ることになっても一切払うつもりはない」と宣言していた社長ですが、


その翌月、夫婦で私の会社にやってきました。


遅れている分を持参し、私に「今後の返済の割賦金の相談に乗ってください」と申し出されました。


私はすぐに上司の決裁を取り、社長の申し出に応じて差し上げました。


社長の借金全体からすれば大した減額効果ではなかったはずなのですが、


以降その社長は、完済するまでの間、


一度も返済を遅れることはありませんでした。



土下座での謝罪の誠意が通じたのでしょうか。


それとも元々は遅れている自分も悪いのだからと思われたのでしょうか。


当時「土下座までする必要があったのか」という社内の声の中、


いつもはかなり偉そうにしていたその上司の意外な一面に驚きつつも、


今でも、私自身はそれほど嫌な思い出にはなっていない事件でした。


プラス受信で「道は開ける」

サラリーマン「門前払いされる都度、喫茶店で待機して時間調整しましたよ」

にゃぽっ♪「毎回、戻るお店を変えて、付近の喫茶店4件全部制覇したらしいニャ」

西山経営労務事務所


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