玄関の解錠をしてくれた看護師さんが、呼ばなくていいのに父を呼んできた。
入院して10日ほどだが、食事はちゃんと摂っているんだろうし薬も効いているのかまあ普通だった。
ソーシャルワーカーさんが来て最近の状況を話す。
薬も変わったので、最初の何日かよりは落ち着いてきたが、まだ家には帰りたいようですと。
--そうかも知れないけどお断りです。
ソ「お父さんは観察力がすごいですね」
今まで看護師がナースステーションの鍵を開けるのを見ていて一緒に入ってくるような人はいなかった。面会者が帰る時に玄関の鍵を開けるが、その時にも一緒に外に出ようとする、と。
--自分の利益になりそうなことは何でもしますから、何卒お気を付けて。
そこには20人くらいの入院者がいたが、ずっと叫んでいる人やひたすら歩いている人や、なんか凄くおしゃれなおばあちゃんなどがいて、気になって仕方ない。
父は父なりの楽しみを見つけたらしく、ずっと叫んでいる人の事を「あれは、飯を食えば静かになるんだ」などと言う。
そういうのが覚えていられるのは、家にいたときより少し改善されたのかも知れない。
でも、早く帰りたい。
「じゃ、帰るね」と言って姉と席を立つと、今荷物を持ってくるから待ってろ、と。
私「いや、じいちゃんは入院してるんだから帰れないよ」
といって、ナースセンターの看護師さんに解錠を頼んだ。
父がどんな顔をしていたのか知らないがさっさと病棟を後にした。
帰りの車の中で姉と「お父さんは観察力がすごいですね」の話しになった。
私なら”じいちゃんならやるよな"と思って気をつけるけど、他の人はやらないんだね、と言ったら、姉が「あ、今同じこと言おうと思った!」と。
お互いに付き合いが長いので、大体父に関することは共通している。