長いこと放置だったので、忘れている方も多いと思われますがwww
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『おめでとうございます。あなたは42人目の転生者です。』
天使が言った。
漆黒の中仄白く輝く、声の主である少女のことが、夕姫には天使にしか見えなかった。
「ねぇ、待ってよ。転生って何なの?」
少女が序々に消えてゆくので、夕姫は焦って尋ねた。しかし少女は何も答えずに、微笑みながら遂には完全に消えてしまった。
尋ねた言葉は虚空に消えて、夕姫の意識も再び暗転していった。
目を開けると、目の前に茶色い天井が見えた。天井が目の前にあるとは妙な話だが、事実だから仕方ない。
ここは、どこだろう?
ぼやけた思考で夕姫は必死に考えた。家ではない。家の天井はこんな風に茶色くも、低い位置にもない。
とりあえず身を起こそうとして、がつんっと思い切り頭を天井に打ち付けた。
「う、うぅぅ~。。」
たまらず呻き声が漏れる。思ったより天井が低かったようだ。いつもの感覚で起きようとして思い切り打ちつけたので、むちゃくちゃ痛い。
目に涙が滲んだ。が、そのおかげで鮮明に思考が切り開かれた。
ごわごわした生地のシーツが肌に触れている。どうやら、薄いタオルケットをかぶってベッドの上で横になっていたらしい。自分の服装は見覚えのない淡い黄色のワンピース。
一瞬でここまで把握した夕姫は、それからやっとあることに思い至った。
あれ……?そういえば私死んだんじゃなかったっけ?
今更ながらその事実に気付く。
そう。確か私は舞莉紗と一緒に自殺して、裏路地に横たわっている筈で、じゃあ今いるここは天国……の筈。。。
「って舞莉紗?舞莉紗もここにいるの??」
訳が分からないもののとりあえず天国の筈だと結論付けたが、舞莉紗が見当たらない。
そろそろとベッドから降りて周りを見渡しても、舞莉紗はどこにもいなかった。
夕姫のいる部屋はとても小さかった。
小さな窓が一つ。屋根裏部屋だろうか。天井は、部屋のまん中辺りはそこそこの高さがあるのだが、両端になると本当に低くなっていて、さっき頭を打ったのはどうやらベッドが部屋の隅にあったせいだったようだ。
そしてちょうど窓の反対側の床に、四角い穴と下につながる梯子。
「起きた?」
突然、床にあいた穴からぬっと頭が出てきた。
「だ、誰?」
「誰って言われても。この家兼店の主人つーかあんたの姉っつーか。」
「え、あの、ここはどこですか?というか私に姉はいないんですけど。」
「えー、そんなこと言われてもなー。まぁそんなことより外、見た方がいいよ。今日はお姫様のパレードだから。見逃す手はないっしょ。」
じゃ、早く降りてきなよ。
そう言い残して頭の主――姉を自称する赤毛の少女―――はさっさと下に降りていってしまった。
そんなこと言われても、、、是非ともそっくりそのまま返したい。
『おめでとうございます――転生者、です――――。』
ふいに声が蘇った。
「訳が分からないよ。」
仕方ないので夕姫はポツリと呟いてみた。
いや、だからといって何が変わるでもないのだが……。
と、にわかに外が騒がしくなった。
窓に駆け寄りいっぱいに開ける。この部屋は大通りに面していた。
家という家から人が出てきているようだ。通りは中央を開けて人でいっぱいになり、立ち並ぶ家々はまだ人を吐き出していた。
人々は、大通りの遥か奥に見える城に注目しているらしい。
からーんらーん
突然鐘の音が響いた。それと共に城門が開け放たれるのが小さく見え、更に小さく人の一団が見えた。
眼下の人々がどっと湧く。
数分後、一団は遂に夕姫のいる窓の目の前にやってきていた。
大勢の兵士にとりかこまれた、優美なフォルムの馬車がしずしずと街道を行く。その純白の馬車は大きな窓がついており、車高がとても高かった。だから夕姫がいる二階からでも、馬車の中をチラリと覗き見ることができた。
馬車の中の姫様らしき人が見えたとき、夕姫ははっと息をのんだ。それから目を凝らして、じっと馬車の中を見つめる。
「舞莉紗……?」
そこにいたのは、退屈そうに目を伏せているお姫様。
見間違えようもない。
舞莉紗だった。