債緑雑記
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一年近く前に紹介したゲーム、「星と雨とが交わる飲み屋」。
このゲームをプレイしたときから早稲田大学のサークル『MIS.W』に興味を持ち、公開されている作品を片っ端からプレイしたものでした。
そのMIS.Wから、もう一つ紹介したい作品があるので書いていこうと思います。


幼女探偵さくらちゃん

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公式サイト(MIS.W様)→こちら
ダウンロード先(Vector)→こちら


エロ要素なし・グロ要素多少あり
選択肢あり・エンディング分岐なし
プレイ時間 完全クリアまで2~3時間程度






◆プレイヤーが探偵になる?

このゲームが今までに紹介してきたゲームと異なる点は、実際にプレイヤーが謎を解くという点でしょう。
発生した事件に対して選択肢が与えられ、正しい選択肢を選ぶことができればクリアとなります。
とはいえ、失敗しても特にデメリットもなく、何度でも選択肢は選びなおせるので失敗に怯える必要はありません。
基本的に必要な情報は必ず提示されるため、一部の難しいクエスチョンを除いてはほぼ全部推理可能と言えるでしょう。
ちょっとした、本当に何気ない一言がヒントになっていたりと、さりげない伏線配置も楽しめます。


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犯人特定画面。
マウスカーソルを人物名に重ねると挙動が変化したりと、芸が細かい!


また、小さいストーリーをいくつも順番に読んでいくゲームだということもあって、長文を読まされるわけではないのでダレることなく楽しめます
長いストーリーだと中断したときにストーリー忘れることもありますからね...
第一話をプレイしてから一年後に第二話をプレイしても特に問題ないと思います。そうはいっても、楽しい作品なら長く放置することはあんまりないですけどねw
一度プレイしたエピソードをもう一度プレイすることも可能です。



◆「私が探偵だからです」

ゲームタイトルにもなっているキャラクター、さくら。

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自身を探偵と名乗るこの少女は全エピソードに登場し、語り手(プレイヤー)にヒントを与えたり、推理を手助けしてくれます。
この作品はエピソードによって異なる方がシナリオを執筆されているのですが、この少女の神々しさ、異様さ、非現実さは共通して描かれています。

丁寧な言葉遣いと育ちのよさそうな立ち振る舞いができ、高い推理力を持つ少女。
この少女の正体は一体何者なのでしょうか?
あまりにも特別視されているように見えるので、俺は脳内で『さくらちゃん=集団幻覚説』『さくらちゃん=成仏してない幽霊説』などを勝手に提唱していましたが、この説が正しいかどうかは置いておきます。

実際に最後までプレイしてみて、さくらちゃんの正体については納得しました。


ちなみに、この子を怒らせるような選択肢を選ぶと結構面白いですw



◆各エピソードの感想

エピソードによってシナリオ担当の方が違うので、第四話までのそれぞれのお話に関して感想を書いていきます。
ネタバレ成分はこのように伏せていくのでご安心ください。



第一話
一番最初のエピソードということで難易度は易しめ。
俺が一発で正解できたため、しっかり考えれば必ず答えが出る良問だと思えました。
推理やノベルゲームに慣れていない人にも親切なチュートリアルシナリオ。
冷凍芋虫さんの執筆なので、以前に紹介した星と雨とが交わる飲み屋を楽しめた方なら問題なく読み進めていけるでしょう。
なお、「諦めたらそこで諭吉終了だ」のセリフで笑いましたw


第二話
“幼馴染のあのキャラ”が媚びた(?)性格をしたように見えるのが「現実でこんな性格の人っているのかなぁ」と違和を隠せなかったものの、全体的に読みやすい文章で、難易度も程よい感じです。
ミスリードが多いのですがさくらちゃんがヒントを出してくれます。
最後のシーンで残った謎もきれいに解け、主人公が『あのセリフ』を言うのがグッときました。


第三話
明らかに他エピソードとは違い、抽象的な表現が多く、文章を理解するのが難しかったです。
第二話と比べると急激な難易度上昇でしょう。
難易度の高さは出題される問題も同様です。何度か熟考していますが、未だにどうしてアレが答えになるのかわからない・・・。
テーマも重く、第四話以降の殺伐さにプレイヤーを誘導していくエピソードでした。


第四話
内部の情報が外部にもれるシュレディンガー箱という面白い発想に唸らされました。
謎解きの難易度も程よく、文章もサクサク読み進められます。
しかしシナリオは第三話にも増して殺伐としていき、発生する事件もありふれた日常から非現実的なものへと転調していきます。
最後は箱を閉じるようにきれいにシナリオが収束し、見事な悲劇だと思いました。




◆感想・個人的評価
プレイヤーに考えさせるというゲーム要素が楽しい。ゲームオーバーもないためのびのびと推理を楽しめる。
タイトル画面や、その後のメニュー画面などの動作が凄い!とんでもない手間がかかっていることは想像に難くありません。
〇間違った選択肢を選んだときのさくらちゃんとの会話も面白い。
〇立ち絵が可愛らしく、丁寧なタッチで描かれている。キャラクターはそれぞれ異なる個性を示しており、登場人物をごっちゃにしにくい。
×第五話にて、死亡した人物が立ち絵で登場するのは違和感を感じた。
△背景画像の使いまわしがかなり多い。例として、個人の寝室の画像を3つのエピソードで使いまわすなど。ゲームのファイルサイズの関係上、背景画像を削らざるをえなかった可能性もあるかもしれませんが・・・
×「既に暗くなっている」などと描写されているシーンで明るい背景画像を使っていることと、「うす明るい」と描写されているシーンで暗い背景画像を使っているのに違和感を覚えた。
〇BGMのボリュームや文字の表示速度だけでなく、メッセージウインドウの透明度なども自由に設定できる。
×シナリオ選択画面にて、『再選択!』の意味がよく理解できなかった。『犯人特定シーンから始める』のような説明があると親切だったように思う。
□赤い文字で冷徹に出てくる『見渡したくらいじゃ何も分からない』という言葉の意味は一体・・・
◎全曲オリジナル曲。いずれも質の高いBGMで、個人的にはタイトル画面のBGM(♪思惑の始まり)に感銘を受けた。







スクリーンショットや文章など、作者様から削除や加筆・修正の要望がありましたら迅速に対応致します。
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ということで、おすすめゲームをレビューしていきます。
最近はどんどん気温が上がって暑くなってきていますので、ホラーゲームをご紹介!


3ROOMS

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作者サイト様→こちら
ダウンロード先→こちら


エロ要素微量あり・グロ要素かなり強し!
選択肢あり・エンディングは12種類
プレイ時間 完全クリアまで2~3時間程度






◆2ROOMS


主人公の木下隆夫(きのした たかお)は、真っ暗な部屋で目覚めます。
アパートで寝たはずの自分がなぜ冷たい床の上で眠っていたのか?
ライターの明かりを頼りに何も無い部屋を調べてみると、『白いドア』『虹色のドア』を見つけられました。
白いドアは施錠されて開きません。
しかし、虹色のドアの向こうには恋人の宏子(ひろこ)が同じように閉じ込められており、彼女は虹色のドアを開いて二人は抱きしめ合いました。
虹色の部屋には不思議なオブジェクトと、そして、『赤いドア』が。


二人がこの密室から脱出するために行動するところからゲームが始まります。


◆異質な舞台設計


主人公は恋人と一緒に探索を始めるわけですが、虹色の部屋は異質な内装で彩られています。
床・壁・天井が虹色で塗られ、巨大な木のオブジェクトが部屋を威圧し、不気味な人形(タイトル画面のあの人形)まで置かれているのです。
一方で黒い部屋はなんにもない部屋で、ライターを使わないとろくに動けません。
この冒頭のシーンではプレイヤーがいくつか選べる選択肢があるわけですが、ほとんどどれを選んでも一本道です。
やがて、宏子は虹色の扉に挟まれていたメモに気がつきます。

説明するまでもなく、君たちをここに監禁した。
この場に部屋は三つしかない。白いドアと赤いドア。そのどちらかが、外に通じている。

(本文中より引用)


このメモを発見してからプレイヤーの出番です。
主人公の行動を選択して虹色の部屋を探索できるようになります。

しかし、全ての選択肢を選んだからといって必ず全エンディングが回収できるわけではありません。
ただ選択肢を選ぶだけではなく、しっかりと考えないとほぼ半数のエンディングが回収できませんでした。
逆に言いますと、しっかり考えれば全エンディングの到達は可能です。


◆ホラー要素について


オープニングでも「怖がりな人はプレイしないように」といった趣旨の注意が出ますが、警告の通りめちゃくちゃ怖いです。
ネタバレになるのでかなり曖昧な書き方をしますが、プレイヤーをビビらせる演出が満載。俺は少なくとも三回ビビりました。


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怖い画像やBGMは確かにビビりますが、本当に恐ろしいのは『犯人』の正体を知った後。
主人公と恋人を閉じ込めた犯人とはルートによっては対峙するわけですが、凄まじく怖い!
作者様の絵のセンスが光ります。
「一番怖いのは人間だ」という言葉がありますが、まさにその通り。
犯人の狂気が作中のあちこちに転がっていました。


個人的に一番ぞわっと来たのはDEATH END10。
このエンドを回収するのはゲームの終盤だと思いますが、ダウンロードしたらぜひ探してみてください。
作者様の文章にぐいぐい引き寄せられますよ。



◆グラフィック

人物・背景ともに雰囲気にマッチしています。
ネタバレ防止のため載せませんが、ホラーシーンもグロシーンもおぞましい雰囲気が出ています。


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全ての背景がイラストで構成されており、インパクトのある立ち絵もプレイヤーを引き込みますね。
視覚効果はゲームに限らずあらゆる分野で重要な情報源ですから、「宏子がどのような外見をした人物なのか」、「部屋の中はどのような内装になっているのか」などの情報が直感的に得られました。

つまり、怖いグラフィックもダイレクトにプレイヤーに襲い掛かってくるわけですが・・・

この作品をプレイするならば油断しないようにお気をつけ下さい。
びびりますよ。


◆どうあがいても絶望?

取り扱い説明書(ReadMe)に記載されていることを引用します。

このゲームはホラーゲームですので、恐ろしい終わり方をしているものこそが、価値のあるエンドとなります。基本的に、ハッピーエンドはありません。

>>基本的に、ハッピーエンドはありません。

もしも俺が主人公の隆夫の立場だったら「END01」もしくは「DEATH END7」がまだマシな境遇だと思うしょうねー・・・。
あるいは、「END02」で最後にあの選択をせずさっさと外に出て生存するのが理想的かと思います。
とはいえ、どのエンディングも絶望ばかりです。
死ぬか殺されるかぐらいの違いしかありゃしねえ!


ちなみに、俺が初プレイ時に到達したエンディングは「DEATH END4」でした。
我ながらこのエンディングに到達したのは俺らしいというかなんというか・・・



◆感想・個人的評価
◎絶望・恐怖・激痛などの表現が非常に巧みで、ホラー作品としてのみならず文学的なセンスを感じられる。
〇難読漢字などに読みがな(ルビ)が載せられていてサクサク読める。
×作者様のこの作品に対するこだわりならば文句は言えないが、セーブができないのは極めて不便
⇒ただし、途中からコンティニューできるコマンドが用意されているサポートシステムが有。
×選択肢が表示される直前の0.4秒程度のウェイトがわずらわしく感じる。
〇オリジナルBGMが雰囲気に調和している。精神的に不安定になりそうなメロディーが特徴的。
〇グラフィックが雰囲気に調和している。
〇×DEATH END6がとても怖くて魅力的なENDなのだが、あまりにも非現実である。






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きっと正しいゲームの作り方

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公式サイト→こちら
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・・・

エロ要素なし・グロ要素なし
選択肢なし・シナリオ分岐なし(?)
プレイ時間5~10分程度


では久しぶりにノベルゲーム紹介シリーズをやろうと思います。
今回はゲームを作る人にとって有用な作品の紹介です。
いや、絵でも小説でも、勉強でも仕事でも、様々な分野において参考になる作品だったと思います。


◆説教系ゲーム?

皆さんは『説教系ゲーム』といえるゲームをプレイしたことがありますか?
説教系ゲームというのは俺が勝手に作った用語ですが、なんとなく意味はわかると思います。

・作者の主張を大多数に伝える作品
・一部の心無い人々を非難する作品
・一般観衆を誘導することを目的とした作品


などなど。
今回紹介する「きっと正しいゲームの作り方」は一般観衆を誘導することを目的とした作品だと思いますね。
(俺が勝手にそう思ってるだけなので、作者さんが同じことを考えているとは限りませんが)

こういうジャンルは賛否両論であるように思われます。
「自分の意識が変わった」「作者の言いたいことに共感できた」と賛成する意見がある一方、「くだらない説教は聴きたくない」「こういうことを表現したいならゲームである必要はないだろう」と反対する意見があるので。
俺個人の意見としては、「楽しけりゃどんなゲームでもいいんじゃね?」って感じですが。

ただ、俺はこの作品がすごく良いと感じました。
作者さんにお礼のメールを送りたいくらいです(連絡先がわからない・・・)。


◆クリエイターの悪魔

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主人公(名称変更可能)がゲームを完成したところから物語が始まります。
ようやく完成した作品に喜ぶ主人公。
どんな分野であれ、長く時間をかけてきたものが成されるのは喜ばしいことです。

しかし、主人公が部屋を立ち去ったとき、『悪魔』が部屋に現れる。


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悪魔は『とある事実』を教えた後、主人公の作品の非を責めていきます。
主人公は『とある事実』に勝つため、完成した作品にさらに労力をかけ、作品の質を高めようとする・・・

また、悪魔はこうも言います。
「三番に悪いゲームは妥協されたもの」
「二番に悪いゲームはバグの多いもの」
「一番に悪いゲームは完成していない作品」

と。

これに疑問の余地はないと思います。
妥協も、バグも、未完成も、作品としての質を落とす要因ですから。
俺が現在作っているRPGだって、完成しない限りはゲームと呼べないでしょう。


◆呪わしいアドバンテージ

最後、悪魔は主人公とプレイヤーに『とある事実』に基づいた『アドバンテージ』を与え、このカットイン演出が現れます。


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クリエーターよ呪われろ!


この呪いの正体は、実際にプレイして確かめてほしいと思います。
俺にとって、この呪いは今後の人生できっと役に立つであろうアドバンテージになりました。


・・・


◆感想・個人的評価
〇×ゲーム内容はプレイヤーによって賛否両論の激しいものである。
〇文章が読みやすい。難解な用語、抽象的な言い回しはほとんどない。
×若干、トゲのある部分は気に障る可能性がある。
〇ゲーム自体は非常に短いものの、作者さんの主張はシンプルで分かりやすく伝わってくる。
〇BGMと立ち絵の使い方に違和感はない。
△「RPGツクール」「3分ゲーコンテスト」を知らない人には少し理解しにくい部分があるかもしれない。
×この作品とは関係ないが、このゲームの続編・続々編にあたるゲームは難解で理解するのが難しかった。
□一本道ルートではなく、とある特殊な操作をするとイベントが発生するゲーム要素があるらしいが、発見できず。どういうイベントが発生するんだろうか?


・・・


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Merry X'mas you, for your closed world, and you...


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・・・


エロ要素あり・グロ要素あり
一本道ノベル・選択肢あり・シナリオ分岐なし
プレイ時間四時間程度


以前から「ノベルゲー紹介シリーズをやるなら絶対に紹介したい」と思っていた作品です。
この作品を高校生三年生の貧相なボキャブラリーで表現するならば

難解。

三回プレイしてようやく内容が理解できました。
もしかしたら、理解できたと錯覚しているだけなのかもしれませんが・・・
このゲームをプレイする人は覚悟してから臨んだほうがいいと思います。
難易度の高さは俺史上最高を更新。


・・・


◆閉鎖的な舞台

簡単に言うと、「二次元世界に突然放り込まれたらどうなるかを真剣に考えたみた」とでも言いましょうか。
ジャンルとしては「メタメタフィクション」と呼ぶのが自分では一番しっくり来ます。

(作者様ブログより引用)

俺がゲームを紹介するシリーズなのに、ゲームの内容を作者様のブログから取ってくるのは自分でもどうかと思いましたが、こればかしは『理解したかどうかも疑わしい観客』よりも『舞台の製作者』が用意した紹介文のほうが誤解が少ないと思ったので記載しました。

『二次元世界に突然放り込まれたら』。
そう、まさにエロゲやギャルゲの中の世界です。
俺の友人にも二次元世界を望む者は数多くいます。

しかし、主人公は三次元の住人。二次元の住人と相容れるわけがない。
あまりにも理不尽で、グロテスクな二次元という舞台設計。
ヒロイン達は『範疇内の』言葉ならば反応を示しますが、主人公の話す『範疇外の』言葉にはプログラム通りの言葉を返すのみ。

『彼女たちは、人間ではない』。

おぞましいな、と思いました。
二次元は三次元の立場から見るから美しいのであって、実際に二次元に足を運ぶことを考えてみると・・・
恐ろしい。


だけど、主人公は決して危機に立たされているわけではないはず。
狂った空間でも衣食住がある。・・・と思っていたんですが。
主人公は学校から家に帰れない。永遠に。
ゆえに学校で衣食住を確保せねばならず、生命活動における危機に立たされるわけです。


そんな中、まーきという登場人物が序盤から出てきます。
明らかに『シナリオ通り』の発言をする他五名のヒロイン達と違い、ちゃんと主人公と会話し、“まともな”応答をしてくれるキャラです。
最後までプレイしてみても、敵なのか味方なのか、三次元の住人なのか二次元の住人なのかハッキリとした解は自分では見つけられませんでしたが・・・

『主人公が学校から帰れない理由』はまーきの言葉をそのまま出すのが一番はっきりするでしょう。


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「背景画像が用意されていないからよ」



◆転調

タイトルがクリスマスの単語を含んでいるように、このゲームはクリスマスがキーセンテンスとなっています。
オープニングの後、物語がスタートするのは12月11日。クリスマスの約二週間前ですね。
どうでもいいけど12月11日は俺の誕生日なのだ。みんな祝ってね☆
物語序盤でもヒロインから「クリスマスパーティをやろうよ」と話題が出てきます。


しかし、そのクリスマスという『転調』は主人公にとって恐れることの一つ。
物語はクリスマスに向けて動き出していきます。
ゆえに、クリスマス当日になんらかのイベントが発生すると考えるのが妥当。

そのイベントを消化したらどうなるんでしょうか。
主人公は二次元から元の世界へ帰れる?
それとも、物語は終了して主人公の存在も『終了』する?
まさか、永遠に物語の続きは紡がれず、時間は停止したまま?

クリスマス、それは主人公にとっての『ハッピーエンド』になるのか?

クリスマスという概念を排除しても、やはり主人公にやってくるのは二週間の冬休み
学校から出られない主人公は衣食住の全てを学校に頼るしかありません。
制服は汗のかかない冬ならばある程度もちますし、保健室のベッドでも休息はとれます。

けれども、食事だけは冬休みになると供給されなくなる!

お弁当を作ってくれるヒロインは登校せず、また、売店も閉まってしまうのですから。
二週間も水だけでは生きられません。
この食糧問題も、主人公はかなり悩まされることになります。



◆なぜ?

「なぜ俺はこんな世界にいるんだ」。
主人公はこの疑問にもぶつかることになります。


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まーきとも世界の構造について会話を重ねます。


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「なぜ?」と疑問し自己矛盾に溺れるのは、主人公だけでなく、プレイヤーの我々も同じことです。
主人公、もとい作者さんは二次元世界の矛盾をとことん貫いていきます。
なぜ、決まりきったパターンが定石になるのか。
なぜ、キャラクターのデザインはこういうことになるのか。
なぜ、この世界に**などの面倒な要素は存在しないのか。司法機関は?
なぜ、ヒロイン達は無条件でフラグを立てようとしてくるのか。

なぜ、俺は出られないのか。



◆二次元の住人

作者さんがわざとやったそうですが、キャラクターデザインはかなり崩壊しています。
まさに『禍々しい』。
現実的にはとても考えられない“魅力的な”キャラクターばかりです。


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また、作者さんのブログでは絵も公開されています。
物凄くお上手な絵ばかりで驚きました。
お絵かき趣味のある人は見に行って見るといいかもしれません。


閑話休題。
作中でも何度か語られますが、『ヒロイン達は人間なのか?』という疑問にもぶち当たります。
まーきは普通ですが、それ以外のキャラクターはかなり狂ったデザインで描かれています。
骨格?脳の容量?目の大きさ?制服のデザインが謎?顔が同じ?髪型は付け外し可能なただのパーツ?

彼女たちの外見にも主人公は苦しみます。
人は人を人と認めるから人は人と認められる。ならば、彼女達は人なのか・・・



一方、スクリーンショットからもわかるように、背景の絵はヒロインの立ち絵と対極的にかなり丁寧でお上手です。
全てトレースして描かれたらしいです。
すっげえなあ・・・どれだけ手間をかけたんでしょうか。
ノベルゲームは写真だけでなく絵も使えるので、自由度はかなり広いツールだと思いますね。



◆難題

冒頭でも述べましたが、このゲーム、非常に難易度が高いです。


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難解な専門用語、表現、使いまくりです。
こりゃ語彙力が強くなるなあ。
文章力の高さも素晴らしい。
四時間近く文章を読んでいても、誤字脱字の類は見つかりませんでした。

ガムテームってガムテープの誤字じゃね?と思いましたが、ググってみたらガムテームっていう品物は現実に存在していた・・・恥かくとこだったぜ・・・)

わからない単語をいちいち辞書で調べたり、ググってたりしたんですけど、数えてみたら23個でした。
わからない単語が23個出てきました。
わからない単語が23個出てきました。

こりゃすげえ。
文系のみんなには是非プレイしてほしい作品だ。



◆感想・個人的評価
◎×内容が非常に難しく噛みごたえがある。人によってはかなり楽しめるが、人によっては序盤でやる気が失せるかもしれない。自分は前者だった。
〇二次元世界の矛盾を膨大なテキストで突いていくさまが面白い。
△結局のところ、主人公がメリクリの世界に来た理由が明かされていない。
〇文章のカットインがいい。哲学者の言葉を表示したり、日付をパッと表示させたりゆっくり表示させたり、雰囲気に調和している。
〇画像のカットインもいい。わずか数秒の演出ために一枚絵を描く根性に拍手!
×効果音の打撃音がなんだか可愛らしく、雰囲気に合ってない気がする。
×化学・物理学の知識がない人には不親切かもしれない(光学異性体、熱化学エネルギー、力学的エネルギーなどの用語がポンポン出る)
〇既に述べたが、背景画像の質が高い。昼間だけでなく、夕焼け・夜間のグラフィックにかけた労力もお見事。
◎12月19日(金)に発生するイベントが最高!!ネタバレになるから書けないのが残念。
◎×12月24日(水)にて、まーきとの会話が特に難解だった。人によっては楽しめるだろうが、自分は後者だった。



最後になりますが、この作品の紹介においては管理人(債緑)の主観的観測がほとんどです。
プレイしてみて「債緑が言ってるのと違うじゃねーか!!」と思うものがあるかもしれません。
とはいえ、実際にやってみて噛みごたえある作品だったので、ぜひ皆さんにオススメしたいです。
もう一ヵ月半も経てばクリスマスだ。タイムリーじゃないですか?


余談ですが、このゲームを最初にプレイしたのがちょうど一年前。
確か自分の誕生日の3~4日前でした。
今年のクリスマスは受験戦争でブッ潰れそうですが、きっとクリスマス後に『ハッピーエンド』が訪れることを信じて頑張ろうと思います。


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さて、記念すべき第一回目の紹介コーナーです。
今回紹介するノベルゲームは「星と雨とが交わる飲み屋」。
読みごたえだけでなく、推理することも楽しめば遊びごたえもある作品です。

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エロ要素ほとんどなし・グロ要素ほとんどなし
一本道ノベル・選択肢分岐なし
プレイ時間は個人差あり ただ読み進めるだけなら2~3時間程度


大学の文芸サークルに所属している五人(雨宮、法月、日笠、築地、星野)の登場人物たちによる、飲み屋でのエピソード。
同じ出来事を五人の視点からそれぞれ順番に読むことになります。
とはいえ、それぞれの人物から得られる情報・心境はかなり異なるので、五回連続で同じ話を読まされても飽きにくいと思います。
一人のエピソードはだいたい30分もあれば読み終わる程度の長さなので、いっぺんに全部読んでも、一人ずつ小分けに読んでもいいんじゃないでしょうか。


◆このノベルゲームだけの要素とは?

ファンタジーというわけではありませんが、この作品、かなり違います
普通の小説には存在しない世界のルール、五人が持っているそれぞれの目的、『退場』という謎の言葉、最終的な崩壊
この世界のルールを知っているのは誰?
それは単数なのか複数なのか?
そもそも、世界のルールは存在しているのか?
2~3人分のエピソードを読めば、このゲームの楽しみ方が少し理解できてくると思います。


◆推理

このように、この作品の醍醐味は推理することにあると思います。
雨宮、法月、日笠、築地、星野たちの視点から得た情報をプレイヤーが組み立てていく。
これからこのゲームをプレイする人に申し上げておきますと、

プロローグ、雨宮、法月、日笠のエピソード:出題
築地、おまけ:ヒント
星野:解答
エピローグ:完全解答

といった感じでしょうか。
ただ読むだけなら普通に読み進めればいいと思いますが、本気で推理するなら参考程度にどうぞ。


ちなみに、自分のしてみた推理もネタバレにならない程度に書いておきます。
五人のエピソードは順番に読まされることになるので、好きな人から読むことはできません。
そして、作中ではやけにクールな雰囲気で『何か知ってそう』な築地星野
何か重要な情報がこの2人のエピソードで語られるんじゃないか、と勝手に予測したうえで読み進めていました。
この推測が正しいのかどうかは伏せておきましょう。

他には
・登場人物たちのそれぞれ持っている目的は達成されるのか?されないのか?条件は分岐するのか?
・この飲み屋だけが有する世界のルールはあるのか?あるとしたら、それは何か?
・『あのアイテム』の意味は?『あの作品』は?
・**視点だけで見られるあのキャラクターは誰?
・**と**視点だけで見られるあの事件は一体どういう意味?

・鳥やっこく鍋は食べられるのか?

などなど、脳内で色々と考えながらプレイしていました。
もちろんこれについても正しいかどうかは伏せておきます。
あと、鳥やっこく鍋が食べたくなりました。


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◆感想・個人的評価

文章が非常に読みやすい。かつ、一般人に理解されにくい難解な表現・言い回しは少ない。
同じ出来事を別視点から読むというスタンスが面白い。たとえば、「法月の書いた小説が却下された」という事実は変わらないが、その事実に対してのそれぞれの登場人物の心理描写が異なる点が面白かった。
×とはいえ、変化するのは一人称視点の心理描写だけで、セリフは毎度変わらないので、五回も同じセリフを読まされることになるのは少し苦痛だった。
〇焼き鳥の用語や、お通しの知識など情報源がはっきりしている。
〇立ち絵が五人それぞれちゃんと異なる個性を示していて、登場人物を記憶しやすい。登場人物をごっちゃにしにくい。
△ただ、物語の語り手の立ち絵だけは出ないため、一人目の語り手である雨宮が星野に**することを目的としていることに最初は「ファッ!?」と感じた。しかし、ノベルゲームでは語り手の立ち絵が出ないことは珍しいことではないので、プレイヤーがちゃんと読解力を持っていれば問題ない。
システム面に工夫が感じられる。登場人物ごと、時間帯ごとに好きなエピソードを読めるため、未読のエピソードは先送りできないが、既読のエピソードは好きな所から読める。要するに、ところどころでセーブをしておく必要がない。
△築地のエピソードが終わったあと、星野エピソードが解禁されずにいきなり「おまけ」に飛ぶのだが、「エピローグ」の右側に「おまけ」が配置されているのは少し違和感を持った。
△公式サイトでこのゲームのタイトルが「星と雨とが交わる世界」となっているが、ゲームファイルは「星と雨とが交わる飲み屋」となっている。どっちが正しい名称なのだろうか?どっちも正しい?
〇素材サイトで配布しているBGMもあるが、オリジナルBGMもある。良質なBGMが多い。
◎特にエンディングはムービー・BGMとも俺脳内史上最強のクオリティの高さ。もうエンディングは10回以上見てる


おお・・・なんかダラダラ書きすぎた。読みにくかったらスイマセン。


土曜日でも日曜日でも、一日あれば最初から最後までプレイできる作品だと思うので、優雅な休日に1プレイしてみてはいかがでしょう?
ちなみに、ツイッターではシナリオを担当した冷凍芋虫さんとお互いにフォローしています。
彼のお話によると「エンディングムービーを制作した人は現在プロとして活躍している」とのこと。
さすがMIS.Wだ・・・なにせ早稲田大学のサークルなんだもの。
俺のような勉強してないクソバカ野郎とは違うぜ。

今後も機会があれば、MIS.Wのノベルゲームをいくつか紹介したいなと思います。
そんな紹介できるような能力が自分にあるかはまだ未知数ですが・・・


・・・


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