見知らぬ町 いなか道

 

曲がり角  ローズマリー

 

真夏の陽射し むせぶ香り 

 

懐かしさに目を閉じる

 

乾いた赤土…

 

蔦かご……

 

すり鉢……

 

ローズマリー……

 

瞳は……あお……お空のあお

 

ママ?…ママ?… 

 

え?誰?

 

思い出したね……

 

え?何を?

 

思い出したね…

 

え?記憶?

 

誰の記憶? いつの記憶?

 

….  …

 

むせぶ香りに目を開く

 

東京のはずれ 見知らぬ町

 

夏の始まり ローズマリー

 

 

 

 

きょうは お日さま だね


お空も あお だね


桜の木 なくなったね


いいえ…


ほら、いつでもあるよ 桜の木


ピンクでなくても 桜の木


緑の葉陰 憩う 子ら


あおい お空


きらきらお日さま


かみさま きょうも ありがとう


小さな 祈り


初夏の庭



    

東京

わずかな 湿度

紫陽花とラベンダー

ともにやって来て

5度目の6月が巡り来た

梅雨の代名詞 紫陽花

故郷は乾燥した大地 ラベンダー

「狭い場所で一緒の育成は無理だね」

花屋のおじさんの言葉を笑うように

今年も二人 並んでる

緑 蒼 紫

奇跡の共演

命の競演

爽やかな春が過ぎ

うだる暑さの前

優しい湿風がつつむ

束の間 6月

東京 箱庭


せっけん みず  くうき 

 

おまじない

 

しゃぼんだま ひとつ

 

てのひらに 生まれた

 

そっと 息 

 

ふわ ふわ ふわ 

 

窓辺に 漂う

 

こっちへおいで 出ておいで…


風にさそわれ 飛んでいく

 

虹をうつして 飛んでいく

 

風をまとって 飛んでいく

 

光にむかって 飛んでいく

 

どこまでも どこまでも

 

ばいばい またね


いってらっしゃい またいつか