年上のスタッフには音楽業界でもがいている人がいた。
当時の事件がきっかけで、告白され、特に何も考えず付き合ったが
数年後別れた。
もう一人男性のスタッフがいたが、女性スタッフの結婚式に律儀に出たり
口調はつっけんどんだがやさしい人がいた。
実際当時の事件に直接関わり助けてくれた人が彼だった。
だいぶ彼も脅されたようだが、(結構若かったはずなのに)怖気ずくこともなく
今は一部上場の企業で役職を持っている。
彼は特に関わりのなかった私にも時々連絡をくれた。
「元気?」
とそれだけの内容だったが、
「元気だよ」
とそれだけの返事をしていた。
何度か再会をしてみたものの、5.6年ぶりのお互いの顔に気づくはずもなく
初対面のような感じでそっけなく食事をした。
特に特殊な感情はお互いに無かったので、特になにもなかった。
喫茶店での雰囲気はまだ幼さが残る少年であったし、きっと私もまだ化粧もうまくできない少女だっただろう。
お互いに年をとったね、と話したりした。
いつだったか結婚を目前とした私は、恋愛のときめきを感じることはなくなっていたが
背もずいぶん高くなって、凛々しくなってしまった彼に
「ああ、大人になるってこんなことなのかな」
と、なんとなく思った。