また誰かが遠くで叫ぶ声が聞こえてきてる。
ほんとに毎回毎回誰なんだ?
ったく・・・呆れる・・・
そっちには行かないって言ってるだろ?
俺は忙しいんだっ!!
それどころじゃ・・・ないんだ・・・。
『そりゃ、色々あって大変だし辛いけど、
それなりにいいこともあるんだって。』
(俺・・・本当にそう思ってるのかな・・・)
だから、もう俺を呼ぶのはやめてくれよ。
今解決しなきゃならないことだけ考えていたいんだって!!
そっちに行ったら、俺はどうなっちゃうんだよ?
死ぬんじゃないのか??
俺は騙されないからな・・・・
毎晩見る夢がこんなのだって、現実が辛くたって、
そっちになんか行くもんか。
そう強く思ったら、また新しい夢が始まってた・・・・
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足を噛んだ。
誰だ?
ワニか・・・・それとも心に巣食う魔物か。
はっとした。
今度は腹を食われた。
胸かな・・・?
大きく穴を開けて、俺は何もなくなった。
空を見上げれば飛んでいく、大きくて真っ黒な鳥だけ。
水色の空を高く高く飛んでいった。
あれは幻だったのかなって思えるのは、非現実的だからだろうか。
でも、そこには本当に大きな黒い鳥は飛んでいたんだ。
誰も信じなくていい・・・・
でも、確かに君はそこにいたから。
魔法の言葉もここでは通用しないみたいだし、俺は俺が信じた言葉だけを
抱えて、その後ろ姿を探して彷徨うことにした。
不思議な色の涙を流しているのは誰なんだろう?
今、渦の中にいるけど、ナナ・・・君がいるからまだ幸せだって感じてる。
感じてるよ?・・・・なのに・・・・何故だか食われた穴は塞がらない。
なんで?
なんだろう・・・・
何が違うんだろう。
どこが違うんだろう。
そうやって毎日が過ぎてゆく・・・・
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言い争うように心の中はぐちゃぐちゃとしてた。
だけど、ソンジョンの言ってる意味が分からなくて頭に来る。
ソンジョン:「いつまでみんなここにいるの?こんな話いつまでしてても
仕方ないじゃん。」
リリィ:「何、勝手なこと言っといて怒ってるの?」
ソンジョン:「こいつが馬鹿だからだよ。」
リリィ:「あんたはシスコンか?」
ソンジョンはツンとして、そっぽを向いた。
ミョンス:「ソンヨルのことが心配だ・・・・。俺、病院に行ってくる!」
ナナがうんうんと頷く。
ソンジョン:「・・・・・・・・・・心配ならもっと早くいけよ。」
ごもっとな意見に、胸がザワついた・・・。
クルクルと変わる表情にこいつが怖くも感じる。
こいつは天使か・・・悪魔か。
リリィ:「ちょっとっ!さっきから変だよっ?何、怒ってるのよ・・・。」
ソンジョン:「こいつが・・・ミョンスが馬鹿だからだよ。記憶があってもなくても
根本的なとこは変わらないんじゃないの?だとしたら、これがこいつだ。
リリィ、僕には分かるんだよ。」
リリィ:「なんでも分かるならさっさとあいつらをどうにかしてよ。
ミンスが危険かもしれないんだから。」
ソンジョン:「ほんとだっ!危険かもしれないね。さっき、逃げ帰ったヤツが
ミョンスを怪我させた張本人に伝令してるみたい。」
ミョンス:「伝令?さっきのことを報告してるってこと?」
ソンジョン:「そうだよ・・・反撃開始するみたいだね。
まぁ、こっちからすれば逆恨みってヤツだけど。」
ミョンス:「待って・・・なんでそんなことが分かるの?
今までもそうだったから?」
ソンジョン:「・・・・・僕にはそう見えただけだよ。」
ミョンス:「見えたっ??見えたって・・・どういう事だよ。」
ソンジョン:「見えたから見えたって言ったんだ。
それ以上もこれ以下もないよ?」
クスクスと笑うソンジョンが憎たらしく見えるミョンス。
エスパーか・・・?
そんな疑問さえ浮かんでいた。
(ほんとにこいつは人の心をいらつかせる・・・
見透かされてるっていうか、おちょくられて腹が立つんだよな・・・。
一体、何を知ってんだ?何か知ってるからそれを偉そうに言うんだろう。
そうやってほくそ笑んで俺たちをからかうようにして楽しんでるとしか思えない。
ほんと最低なヤツ・・・。最低?俺・・・こいつにそう思ってたのか。
でも何でだろう・・・分からない。)
ナナ:「ミョンス・・・どうする?ミンスちゃんも心配だし、
ソンヨルの状態も気になるよね・・・。」
ミョンス:「うん・・・そうだな・・・。取り敢えずミンスにはLINEで
声かけてみるよ。今はソンヨルの怪我の具合が気になるから
病院へ行こう。」
ナナ:「うん・・・私も行くよ!」
ミョンス:「ナナ・・・ありがとう。」
二人が二人に背を向ける・・・・・・・・
締まる扉に最後の牙を剥こう。
突然、足元に地が無くなったかのように、落とされたのは・・・?
ダンッ!!
ソンジョン:「お前は何も分かってない・・・・。」
リリィ:「!!???」
ソンジョンは捕まえた野ねずみを拾い上げるかのようにリリィを掴み、
壁に打ち付けた。
リリィは驚くと同時に恐怖を抱いた・・・
今までにない顔をする兄、ソンジョンの行為を。
なんで・・・・なんでっ!?
なんでなのよっ?なんでっ!?
こんなことしなかったじゃん・・・・
私のこと勝手に探して、説教して、兄さんと呼べってうるさくて
よく笑って、私が大好きなくせに・・・
おかしいよ・・・こんなのおかしいってばっ!!
リリィ:「オッパ・・・やめて・・・どうしたっていうの?」
ソンジョン:「このままじゃ・・・お前は全て忘れられてしまうのが・・・・
見てられないんだよ・・・・。あいつが目を覚ましたとき、お前のことだけ
忘れるだろう・・・。何故、ここでさえ素直になれないんだよ・・・。」
リリィ:「オッパ・・・?何を言ってるの?わっ・・・私もソンヨルが心配だから・・・
びょっ・・・病院に行かなきゃ。オッパも一緒にっ・・・。」
その言葉にソンジョンは背を向けて、首を振った。
リリィ:「オッパ・・・。」
ソンジョン:「やめてよ・・・僕は・・・オッパなんかじゃないんだから。」
リリィ:「えっ・・・・だっ、だってオッパが言ったんじゃないっ!!私を探したって!!
血なんか関係ないってっ!!それにっ・・・」
ソンジョン:「違うって言ってるだろっ!!?何度も言わせるなよっ!!」
リリィ:「オッパ・・・・・・・。」
リリィが泣いている。
僕のせいだ。
分かってる。
リリィはそのまま、僕から離れて飛び出していった・・・。
ソンジョン:「リリィ・・・。僕はね・・・僕は・・・。」
違う・・・違うんだよリリィ・・・・
夢は・・・いつか夢に還るから・・・。
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俺とナナは、急ぎ足でソンヨルの元へ向かった。
頭の中は依然として整理がつかないままだけど・・・
記憶をなくして目覚めてからは、胸にポッカリと穴の空いたままで、
何1つ埋まった気がしないのは何故だろう?
ナナが嘘を付いてたといっても、俺は許せた。
俺の気持ちを分かってくれて、支えてくれたのはナナだったから・・・
それでも、穴が埋まらない。
どうしてだ?
こんなにも早足だってのに、瞳があちこち移動して定まらない。
自分の目玉が迷子になっているのをナナは気づいているのかな?
それをどう思ってるのかな・・・・
これで俺の何かが分かるかな・・・?
聞いてみたいのに聞くことができないのはなんでだろう?
変に怖い気がする。
すると、急に目の前に工事中の看板が現れた。
ナナ:「ミョンスッ!危ないっっ!!」
ナナが服を引っ張った。
ミョンス:「フゥ~~~・・・・目に入らなかった・・・。」
どうかしてる。
こんなにも目の前にあったのに気がつかないなんて。
ナナ:「大丈夫?」
ナナが心配そうに俺を見上げてる。
俺は少し口端をあげて返事をした。
ミョンス:「うん、大丈夫だよ。」
ナナ:「ならいいけど・・・。ソンヨルのこと・・・心配だね・・・
それにしても、どうして怪我してるの隠してたんだろうね?
なんか、ミョンスが可哀想・・・言ってくれてもいいのに。」
ミョンス:「理由なんかないんだよ・・・きっと。あいつはそういうやつなんだよね、昔から・・・。」
ナナ:「ソンヨルのこと、思い出したのっ?」
ミョンス:「えっ?・・・いや・・・なんとなくそう思っただけwでも、
そういえばそうだよね・・・なんでそんなこと思ったんだろ。」
ナナ:「きっと仲が良かったからそう思ったんじゃないかな。」
ミョンス:「ん、そうかもね。ありがと、ナナ・・・行こっ?」
ナナ:「うん、そうだねっ!」
ナナは肩に掛けたハンドバッグを掛け直し、先に歩き出す。
俺はそれをひと呼吸おいてから歩き出した。
ソンヨルの病室に着くと、ソンヨルは眠っていた。
ミョンス:「はぁ~・・・良かった。眠ってるみたいだ・・・。」
カタンッ・・・
二人は静かに病室に入り、壁にもたれかけてあったイスを開いて腰掛ける。
二人で向かい合うように座り、ソンヨルを眺める。
今思えば何故この位置だったのだろう・・・
一瞬あれっ?って思ったけど、俺はそのまま何も言わずに
ソンヨルの手を握り締めた。
ミョンス:「ソンヨラ・・・ごめん・・・・でも、少しづつ思い出してきてるような気がするんだ。
怪我してること言わないなんてお前らしいよ・・・。
おまっ・・どんだけ俺のこと好きなんだよっwww」
ナナ:「・・・・・・・・・。」
笑ったミョンスと目が合うと、ナナは真顔のままミョンスを眺め返した。
ミョンス:「ナナ?」
ナナ:「んっ?」
ミョンス:「どうした・・・。」
ナナ:「何が?」
ミョンス:「いや・・・何でもない。そういえばリリィたちも来るのかな?」
コンコンッ・・・
ミョンス:「あ、はいっ。」
入ってきたのは店長だった。
店長:「ミョンス、来てたのか。」
ミョンス:「あ、はい。今さっき着いたところです。ソンヨルの様子は
どうでしたか・・・?」
店長:「ん、まぁ、大したことはないよ。安静にしてれば生活に問題も
さほど無いみたいだけど、ちょっとバイトは控えてもらおうかな。」
ミョンス:「そうですね・・・こんな体で俺の代わりにやってたなんて。」
店長:「ミョンス・・・お前記憶なくしてるんだってな。」
ミョンス:「はい・・・すみません。長く休んでしまって何もかも忘れてしまってて。」
店長:「何も謝る必要はないだろ。仕方ないんだからな。何か、・・・最近は変わった
ことはなかったのか?少しは思い出せた?」
ミョンス:「少し・・・断片的ではありますが、思い出した部分もあります。」
ナナが振り向いた・・・・。
俺は瞬間、気づかないフリをした。
店長:「そうか・・・ソンヨル・・・こいつよく仕事こなしてたな。」
ミョンス:「はい・・・力仕事はあまりなかったとは思いますが、立ってるだけでも
かなりきつかっただろうなって思います。」
店長:「そうだな・・・怪我してるの背中だし、お辞儀するのも辛かっただろう・・・。」
(あれっ?待って。なんか煙が・・・・モヤ?
店長が話すたびに霧みたいなのが見えた気がする・・・
それか俺が視線を変えた時のような気もするし・・・。疲れてるのかな?)
ミョンスは試しにあちこち振り向いたり、顔をあげたりしてみた。
(店長・・・・?)
次に顔を上げると、そこには店長ではなく、ミンスと男が立っていた。
地響きが俺の中だけで聞こえてきた。
ゴウゴウと音を立てて、揺れ動く音。
その音は腹の中から這い出てくるような物凄い音を立てていた。
雷も鳴っているように聞こえる。
それとも大地が割れた音か・・・・?
とても辛く長い日々を感じたような感覚に襲われて恐怖で
胸の中を埋め尽くしていく。
『こいつだっ!!!』
ミョンス:「お前っ・・・・あの時の・・・。」
男:「覚えてたんだ・・・・?記憶がないって聞いたけど。」
ミョンス:「うるせぇ・・・・今、お前の顔だけ思い出したんだよ。」
男:「へぇ・・・それはありがたいねッw」
ミョンス:「ミンスを放せよ。」
男:「なんで?」
ミョンス:「俺の妹だ。」
男:「俺のものだけど・・・?」
ミョンス:「っざけんなっ!!」
ガタタンッ!!
ソンヨルが横たわるベッドにぶつかって動いてしまう。
ミョンス:「はっ!!」
男:「起こすなよぉ~・・・こいつまで記憶なくしたらどうすんだ?
また・・・お前のせいでw」
ミョンス:「何言ってんだよ・・・。」
ミンスは微動だに動かない。
まるで感情を失った人形のようだ・・・
男:「ミンスは、俺のものになったって言ってんだよ。
だからさぁ・・・ナナ、お前はもう用済みねっ?w」
ミョンス:「あっははははっwwwお前こそ頭おかしくなったのかよ?
ナナは俺の彼女だよ?何、言っちゃってんの?ソンジョンの
名前は知ってるだろ?」
男:「あ?」
ミョンス:「だからソンジョンだよっ!お前からナナを引き剥がした
お前にとったら憎いヤツじゃねーの?」
ミョンスは笑いながらおちょくるように男に言った。
だってナナが言ってたんだ。
ソンジョンが上手くやってくれたって・・・・
でも、なんなんだ?こいつの反応は・・・。
男:「ギャハハハハっwwwwナナがっ??お前のっ??wwwwwww
マジうけるっっwwwナナ・・・いつからだよ?w」
ナナ:「知らないよ、そんなのっ!」
男:「ナナっwwwいつからお前はそんなっwww」
腹を抱えて笑うことか?
コイツは本当におかしいらしい・・・
ナナに裏切られた男の結末ってやつか。
こっちが笑いそうになるわ・・・・。
そう思った時、病室のドアに目がいった。
そこには人差し指を口元に充てているリリィの姿があった。
リリィ?どうして・・・・
あ、ソンヨルの様子を見に来たのか。
何を伺ってるんだろう・・・・。
ギシッ!
男:「いてっ!!誰だっ!!」
リリィ:「ミョンス・・・もう時間がないかもしれないの・・・。」
ミョンス:「時間っ??なっ・・・なんの時間?」
男:「まぁ~たお前かよ。ったく懲りねぇやつ・・・。」
リリィ:「それはこっちのセリフよ。お前みたいな雑魚、本来なら一瞬で
叩き潰すけど、ミョンスがいるからそうしないだけ。
あんたも私が誰かわかってないね。」
男:「お前が誰かって?知るかよそんなんw」
ソンジョン:「ジャジャーンッ♪僕もいまぁーすっ^^
あらら・・・リリィも自分が誰か思い出したのかなっ?♥」
ミョンス:「リリィもっ?・・・ってどういう・・・。」
男:「あーうるさいのが来た。」
ソンジョン:「なんだよぉ~うるさくなんかないだろぉ~?
だって退屈なんだもん・・・楽しくいこうよっねっ?」
男:「気持ち悪っ・・・。」
ソンジョン:「わぁ~ひっどーいっ!!じゃ・・・リリィ、始末して。」
ミョンス:「なんだよ急に・・・・。」
ソンジョンの表情の変化についていけないミョンスは、
また混乱するばかりだ。
リリィ:「ソンヨルが危ない・・・。」
ミョンス:「え?」
そう言うからベッドを見たけど、ソンヨルはちゃんと横になってる。
リリィが男を後ろから捉えている・・・
その男はミンスにナイフを向けている。
そのナイフを持つ手をリリィは片手で押さえているのだ。
そんなに力があるの?
すごいな・・・リリィは。
ただ漠然と思った。
リリィ:「ミョンス・・・私を信じて聞いて欲しいの。」
ミョンス:「・・・・・。」
俺は唾を飲み込んで頷いた。
リリィ:「私の腕を掴んで、そのままこいつを刺しなさい・・・。」
ミョンス:「なっ・・・何言ってんの?そんなことできるわけ・・・。」
リリィ:「やるのよっ!!時間がないんだってばっ!!
あんたいつまでここにいる気っ??忘れたのっ!?本当に・・・
私を忘れたのっ!!?」
ミョンス:「なっ・・・どういう事?わかんないよっ!!」
ソンジョン:「ん~・・・難しい?こうするんだよ。」
サクッ・・・・
ツー・・・・
ミョンス:「っっはぁっ!!」
ソンジョンはミンスの首にナイフを刺した。
流れていく血を見る間もないうちに、引き抜いてそのままナナへと刺した。
ミョンス:「あ゛ぁっ!!うわぁあああああああああっっ!!!!!」
リリィ:「ミョンスっ!!早く、この男を刺すのよっ!!」
男は笑ってる・・・・
なんだよこれ。
何故・・・・?
なんでこんな惨劇が目の前で・・・・
ミンスは俺の・・・・
俺の妹なんだぞっ?
それにナナまで・・・
ナナ・・・・・が、消えた。
『消えた。』