アクセンチュアが毎年編纂して発表する、「テクノロジービジョン」が今年も公開された。

 

 

この「テクノロジービジョン」は、アクセンチュアが世界のあらゆる企業を対象に、今後3年間に予想されるテクノロジーの変化をまとめたもので、毎年各業界から注目されるレポートである。

 

 

2018年度版では、大きく5つのトレンドが紹介されていた。

 

 

1、AIを市民に ビジネスや社会に恩恵をもたらすAIへの育成

2、仮想現実 距離の消滅

3、データの信憑性 信用が第一

4、摩擦ゼロ・ビジネス 大規模パートナーシップ構築のために

5、インターネット・オブ・シンキング インテリジェントな分散環境の創造

 

 

以下でそれぞれのトレンドを説明していく。

 

 

 

 

トレンド1
AIを「市民」に
ビジネスや社会に恩恵をもたらすAIへの育成
AI(人工知能)の可能性を最大限に活かすためには、その影響力を正しく認識することが重要である。AIが人間のパートナーとして急速な進化を続けることで、人々の仕事や暮らしにおけるAIとの接点が増え、その影響力も増していく。そして、人と真に協働できるAIを実現するには、AIにタスクを実施させるためのトレーニングをする、という発想では不十分になり、社会の一員として貢献できるよう「育てる」という発想に切り替えていく必要が生じてくる。

つまり、 AIに対する見方を変え、プログラムされたシステムとしてではなく、自ら学ぶシステムとしてとらえるのである。AIを育てることとは、決定や行動の理由を理解させることから、その決定や行動に伴う責任を引き受けることまで、人間を育成・教育するのと同じように多様な課題に取り組むことを意味する。そして、これからの企業リーダーは、AIが担うべき新たな役割や社会に与える影響を認識し、定義していくという課題に取り組むことになるだろう。

トレンド2
拡張現実
距離の消滅
没入型の体験が、情報や経験を得る方法や、人と人とのつながり方を変えつつある。仮想現実(VR)や拡張現実(AR)といった技術によって拡大された現実世界においては、時間や空間を超えた「移動」が可能になり、結果、物理的な距離が無くなろうとしている。

テクノロジーは本質的に、「距離」を最小化するために進化し、車輪からインターネットに至るまで、「ギャップをなくすこと」に寄与してきた。拡張現実によって没入型の体験が実現すると、この距離の問題が一挙に解消される。そして、没入型の体験が一般的になれば、最も重要な距離、すなわち企業の将来の理想形と今ある姿との距離もまた、無くなっていくことだろう。



トレンド3
データの信憑性
信用が第一
データはインテリジェント・エンタープライズにとっての生命線である。しかし不正確で恣意的に操作された情報は、企業の計画策定や経営、成長の基礎となるインサイトの有効性を脅かす。未検証データという新たな脆弱性にいかに対応するか。これは、あらゆる企業が直面する課題になってくる。様々な業界でデータ主導の自律的な意思決定が増えるにつれて、不良データがもたらす潜在的な危険性は、企業の存続を脅かすレベルにまで高まる。

データの正確さのために必要となるスキルやツールは、既に目の前にある。既存のデータサイエンスやサイバーセキュリティを活用し、企業は新たな「データ・インテリジェンス」を構築することができる。データの正確性が高まれば、企業は自社のインサイトやアプリケーションを信頼できるになり、その他の潜在的脅威に備えることができる。あらゆる企業にとって、真偽を見極め、競争力の源泉となるデータを確保することが新たな課題となるのである。

トレンド4
摩擦ゼロ・ビジネス
大規模パートナーシップ構築のために
テクノロジーが牽引するパートナーシップによって、企業は多くのエコシステムに加わり、急速に拡大することが可能になった。しかし、従来の経営システムは、こうした俊敏で急激な拡大に対応するようにできていない。イノベーションを進め、競争を勝ち抜くために重要な関係構築において、時代遅れのシステムが大きな障害になりつつある。

未来のマーケットリーダーになるために、大規模なパートナーシップ網の構築は不可欠である。そして、エコシステムによる成長を加速させるため、これからの企業は内部変革から取り組み始める必要がある。マイクロサービスをベースとするアーキテクチャーを基盤に、ブロックチェーンやスマートコントラクトといった技術が、大規模パートナーシップにおける迅速なビジネス展開を可能にする。
重要なことは、あらゆる市場に自社を開放できる体制を築くということである。

トレンド5
インターネット・オブ・シンキング
インテリジェントな分散環境の創造
ロボティクスや没入型体験、AI、コネクテッドデバイスなど、現実世界には一段と高度で洗練されたテクノロジーが登場している。しかし、既存の技術基盤ではこうしたシステムの本領を最大限発揮させることができない。昨日のアーキテクチャで明日の画期的なテクノロジーを構築することはできないのである。次世代テクノロジーのインテリジェンスを実現するために、企業はインフラを全面的に見直す必要がある。

企業は、社会の隅々に溶け込むために、自社の技術基盤を変革する必要がある。つまり、クラウドとエッジコンピューティングのバランスを見直し、ハードウェアを再考することである。こうした新たな取り組みによって、企業は、いかなる場においても次世代テクノロジーを活用したインテリジェントなアクションが取れるようになる。

 

 

 

 

参考:アクセンチュア 企業概要 https://investor.accenture.com/