こんばんは♪
最近読んでいた本、
「大人の流儀/伊集院 静さん」を読み終えました。

「大人ならどう考え、どう振る舞うのだろう」
まず、ボクの伊集院さんに対するイメージは・・・
頑固者であり、変わった人(笑)
それゆえ、独特さや濃さが妙にオモシロい。
また・・・
「なんだコノヤロー!文句あるか!?」
みたいな感じもスキです(笑)
(あくまでもボクのイメージですが・・・)
そういう世界観がふんだんに表現されていますが、
どことなく・・・
池波正太郎さんの「男の作法」にも通じるな。
と、感じていました。
さて、中でも印象的だったトコロは、この部分。

「下町の大人にはこれがある」
ココには、こう書いてあります。(抜粋です)
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(湯島)天神下の交差点の斜向かいにある
鮨屋「K八鮨」に寄ることにした。
カウンターに客はなく、若い店主の前に座った。
握りを一人前とビールを注文し、
「ぽつぽつ握ってくれますか」
と一人酒をやっていると店主が訊いた。
「出張のお帰りですか」
「いや、女房の見舞いでね」
「病院はこの辺りで」
「四国だ」
「そりゃ遠くまで・・・。お淋しいですね。旦那さんも」
-あっ、そうか、淋しいのかナ。
一人前の握りでビール2本、日本酒を3本やった。
頃合いだと勘定を頼むと、驚くほど安かった。
「酒は3本だよ。計算は大丈夫かね。」
「はい。間違いございません。」
私が立ち上がると、店主は素早くカウンターを出て
外まで見送り、こう言った。
「旦那さん、旦那さんも身体に気を付けて下さいまし」
私は思わず相手の顔を見た。
歳は私よりふた回りくらい若い。
実のある言葉を耳にして、下町にはこれがあるのだと思った。
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その後・・・
このときのお礼を言うためにもう一度訪れたそうですが、
定休日のため閉まっていたそうです。
う~ん。
ボクも深川という下町で生まれ育ちましたから、
こういう粋な計らいというか、
心遣いがなんだか懐かしく、また心地良くも感じます。
というのは・・・
「割に合うとか合わない」とか、
「これをすることは損だ得だ」とか、そういう基準じゃなく・・・
「まぁ相手さんが喜ぶんなら、それでイイじゃねぇか!」
とし・・・
相手もまた「ありがたいことだ!」と意気に感じて
温かさを自然と返してくれる。
そういう繋がりが、プライベートであっても商売であっても
日常でしたのでね。
(もちろん、下町に限らず日本人の良いトコロであります。)
ところが・・・
「いまはたいぶ変わってきたなぁ。」
と、世の中全体への印象をもっています。
その時代、その時代による
風潮や文化、常識があることから、
単なる「比較」はナンセンスだ。とは思いますが・・・
「良い日本文化が薄まっているのでは?」
と、感じてしまうこと自体、淋しい限りです。
たとえば・・・
鮨屋の店主がこういう粋な計らいをしてくれたら
どう感じるだろう?
あるいは・・・
だれかが思いやりのあることをしてくれたら
どうだろう?
「ありがとう!」、「おかげさまで!」
と、お礼を言ったり感謝をするどころか・・・
「そんなの当たり前」と、いわんばかりの態度をとってみたり、
「打算か?」と勘ぐってみたりする。
それにピンと気づく相手は
「なんて失礼な人なんだ」と、なってしまい、
本当はないハズの溝みたいなモノが生まれてしまう。
つまり・・・
ビジネスシーンにしても、プライベートなシーンにしても
「本来あるべき姿から離れてしまっているのではないか?」
と、思ったりするのです。
(もちろん、すべてがそうなっている。という意味ではありません。)
では、なんでそうなってしまったんだろう?
と、想像してみると・・・
少しでもブレーキを踏んだら
「ギュッ」と前につんのめるような
乗りにくいクルマと似たような感覚かな。
ヘンにキッチリしてて
遊びというか、ゆとりがない世の中になっているんじゃ?
そういう影響を受けているんじゃないか?
と、思ったりします。
ただ・・・ボクたち日本人は・・・
「相手にとって良し。」とするならば、
良い意味でアバウトな文化で良かったんじゃないか。
・・・と、思うのです。
あくまでもたとえばですけど・・・
女性用トイレが長い行列をつくっているとき、
ごちゃごちゃ意味不明なことを言いながら
男性用トイレに入ってくる、おばちゃん。
これはルールとしてはダメですけど
「まぁ、しょうがねぇなぁ~」となるワケです。
ただ・・・
「ココは男性用トイレだからダメですよ!」
と、口うるさく言うような世の中になっている部分もあるじゃないか?
と、思ったりするのです。
「旦那さん、旦那さんも身体に気を付けて下さいまし」
その言動に対して・・・
「あたたかさを貰ったな」と感じ、後日、お礼だけでも言いに行く。
こういう「本来あるべき姿」は不変であってほしいものですね。
そういうボクもまた・・・
「おろそかにしちゃいけないな」
と、あらためて感じていた次第です。