・お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 勝間和代著
前回に続いて今回も勝間和代氏の著書を読んでみました。
お金は銀行に預けるな→ んじゃ全部買い物に使っていいのか?(笑) といったことではなく
「銀行に預けても増えないので投資をしましょう」という事の基本的事象を綴った本です。
小生の職業は銀行員(リテール担当)です。ですので、この本から自分自身に何か新しい知識を得た
というような事はありませんでしたが、この本はタイトル通り、特に団塊世代の方や金融知識がない方に
ぜひ読んでいただきたい。それは今の銀行の現場にいる小生だからわかることです。
みなさんも銀行員や金融商品販売担当者とのやり取りで以下のような事はありませんか?
①投資信託などの販売において顧客側が「自分はわからないので○○さんのお勧めの商品でいいよ」
②手数料について無関心
③売れ筋の商品に魅力を感じてしまう。 等々
言い出したら切りがありませんが、言いたいことは「顧客側の金融知識が少なすぎる」ことです。
理由は本書にも記載されておりますが「金融教育の欠乏」これにつきます。
確かに小学生、中学生、高校生と「お金」についての勉強は受けた記憶がありません。
(小生が26歳ですから、もっと年上のかたも受けてないのは当然かと)
金融知識がないために上記①ようなことが発生してしまいます。聞こえはいいかもしれませんが、言葉を
選ばず言い換えてしまうと「あなた(販売担当員)の成績につながる商品を買ってあげる」
こんなところでしょうか。 もちろん、販売担当者の中には顧客の属性をしっかりと把握(投資スタイル等)
した上で、提案してくれる方もいますが、特に誰が受けるかわからない銀行窓口では注意が必要です。
②についても注意が必要です(①と関連します)。最近はバランス型(1つのファンドに株式、債券が混合
されている投資信託)を購入される方がたくさんいますが、バランス型の投資信託の手数料はインデックス
型などと違い、非常に高いです。ネット経由で購入すればノーロードのファンドもありますから
モーニングスター (HP http://www.morningstar.co.jp/
)などで購入前に入念に調べましょう。
③については皆さんご存知の「グローバルソブリン」がその代表例かと。
確かに人気が出る→そのファンドで儲かっている人が多い→さらに口コミで資金がファンドに入る
→資金流入で上昇トレンドを続けることができる。 このような一説は考えられますが限界があります。
グロソブの動きについては本書に具体例として記載されていますので、そちらにお任せしますが、
大切なことは人気や噂に流されず、基本を忠実に分散投資していくことが大切かつ増やすコツです。
2007年8月に発生したサブプライムローン問題が発端となった日本株式市場の下落によって多くの方が
今は含み損状態になっていると思います。窓口にきて「もうダメだと思うので解約してほしい」など1年前に
ファンドを購入した方が来店される時があります。投資は「自己責任」が大原則なので解約したければ
解約を受け付けますが、小生はつくづく「日本人は高い時に買って、安い時に売るのが大得意な民族ですね」
と考えています。仕方ないのです。だって金融知識が備わっていない方が多いのですから。。
だから、銀行員や証券マンに頼らずに自分で「金融リテラシー」を蓄えてほしいと切に願って本書をお勧め
いたします。