私が毎日、本気で
彼の死ばかりを願ったからなのか?

人をモノのように
利用しようとしたからなのか?



そんな浅ましい私に
バチが当たったんだと思った。




私は彼に愛情を感じることはできなかったし、
必要性も感じていなかったけど、
でも、こちらで立ち上げた店のスタッフがいる。

ホテルから引き抜き、
笑顔でよく頑張ってくれている子や
家族がいるスタッフだっていた。



彼らのために、
彼を死なせる事は絶対にできない、
どうにかして彼の命を繋がなければ・・
そう、思った。




彼の病気は、

” 大動脈乖離 ” だった。

何としても国外での治療が必要・・

だけど
彼の場合、
心臓に非常に近い箇所で発症しており
飛行機などの気圧の変化で
既に脆くなった大動脈壁の内層(内壁)が更に裂けてしまう可能性があり
それで死亡する恐れがあった。

それを回避するには、ヘリ搬送しかない。


日本までのヘリ搬送費・・2千万円(当時)
そんな金額出せるはずもなかった。


ダメもとで彼の継父へも連絡してみるが、
やはり断られた。