試験の手応えは正直あった。
それでもこれまで何度も期待を裏切られてきただけに、合格するという確信は持てなかった。
ダメだったら弘前に出願。
でも弘前もダメだったらどうする?
来年も続けるか?
続けたからって合格する保証はない。
辞めて大人しく薬剤師としてそこそこの生活を楽しんだ方が幸せなんじゃないか?
そろそろ潮時か…?
親も内心自分の受験を快く思っていないこともわかっている。
ありがたいことに、職場では自分を評価してもらえていた。
このまま就職すると言えば喜んでもらえる。
受験をやめても、困る人は誰もいない。
自分の中にモヤモヤは残るかもしれないが、時間が解決してくれるだろう。
長くてもあと1年。
それで医師になるという思いに決着をつけよう。
そんなことを思いながら過ごしていた。
10月末。雨が降っていた。
前日は0時までの仕事で、いつもなら10時頃まで寝ている。
それでも気持ちの昂りからか、明け方の6時ぐらいに目覚めた。
勉強も手につかず、ソワソワしながら発表を待った。
10時。発表の時。
ホームページに合格発表のリンクを確認。
鼓動が速くなってくる。
リンクをクリック。
ディスプレイに数字の羅列が満たされた。
自分の番号が、そこにはあった。
歓喜。声にならない声が上がった。
まだ最初の一般受験をしていた頃、ある講師が言っていたことをふと思い出した。
「人生で最も嬉しかったのは、自分のプロポーズに相手が頷いた瞬間と、大学の合格発表掲示板の中に自分の番号を見つけた瞬間だった」
講師の言葉は間違っていなかった。
新しいスタート地点に立てた喜びを、生涯忘れることはないだろう。