多忙な月をすごしたりメインブログのほうに力をいれすぎててまったく更新できてませんでした
ひさしぶりの更新です すいません
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「沙良!?」
少し声が上ずった。
「おはよう」
静かに返事がかえってくる。
なぜ、ここに沙良が・・・?
でも、そのことを聞きだすことができない。なぜか聞いてはいけないような気がして・・
「これだよ『仁胡祭祀記』」
表紙の文字が消えかけて、とても何を書いてるか読み取れないほど古い書物
風化の影響で、ところどころ紙も破けてそうだった
「多分、見つけられないんじゃないかって思って・・・先に来てたんだよ」
沙良が笑う。でも、何かの違和感。とても冷ややかな笑い。マネキンのような笑み・・・
そこにまるで魂がこもっていないような、血液の流動がないような、そんな無機質な笑み
ぼくはただ無言で受け取ることしかできず、沙良の視線を避けるようにそそくさと椅子に座って書物を開いた
「じゃあ、私は帰るね」
「え?もう帰るの?」
「うん、、用事は済んだし、、、それに」
「それに?」
「私がいたら読みづらいとおもうから その書物」
「それってどういう・・」
「じゃ、また夕方に村でね」
ぼくの言葉を遮って、さっきとはまったく違う屈託のない笑顔でさよならを言った沙良は、振り返りもせずに足早に出て行ってしまった
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軽く1時間ほど読み進めた とりあえず江戸時代末期あたりか明治時代初めあたりの部分までは読めたと思う
正直、本当なのかと疑いたくなる内容
そして、本当にこんなことがおこなわれてきたのだろうか。。。
書かれていた内容をある程度わかりやすく自分なりに解釈した文章をノートに書いていく
かつて、仁胡村は人魚村と呼ばれていた
それ以前は名前もない村だった
飢饉の影響などで、常に食べるものが不足し口減らしなどがふつうにおこなわれていた村
そこにとある幼い女性が訪れる
女性の名は「沙良」
都より人々の救済のためにと、各地を回っているという
彼女は村人に野菜を与え、種を与え、畑を耕しもう一度農業を再興するよう助言した
沙良の活躍と施しによって、やがて村は少しずる疲弊した状態から脱出する
しかし、ある年の夏
大きな台風がきたことで、畑や田んぼは全滅
再び食料危機に陥った
沙良は再び都から野菜や種を送らせた
その頃から村人たちの中で、沙良の正体が何なのか、神仏なのか、魔物なのか さまざまな憶測を呼び始めた
そして三度目の飢饉の頃、沙良が18歳となる年
遂に村人へ施すための物資も尽きてしまった沙良は村人に提案する
「実は私は竜宮よりきた人魚なのです。人魚の肉は不老不死の効果があります。私をお食べなさい。そうすれば飢えに苦しむことはないでしょう。」
村人たちは驚愕した。さまざまな憶測をしていたものの、まさか人魚だったとは。。。と
最初、村人たちは沙良の申し出を断った
いくら人魚だと名乗られても、人間の姿をしている者の肉を喰らうなどできないと
しかし、村で10人目の餓死者がでて、新たな子供の口減らしがおこなわれたあたりから、村は二分する
沙良の申し出を受け、不老不死になってでも村で生きようとする者、村を出て新たな土地で生活をやり直そうとする者たちに
そして、沙良の申し出をうけるものは村に残り、去るものは陣戸町へと移った
陣戸町に移った者たちは、人間を喰らうというあさましい者たちが外にでないようにと、唯一町と村をつなぐ橋を落としてしまう
そのときより、村-人魚村とよばれるようになった村は世界から孤立した存在となった
沙良が18の誕生日を迎える日 生贄として彼女は自分を村人たちに与えることとなった
そのときに沙良は言葉を残す
「やがて、皆が不老不死となった後、必ず誰かが子を身篭ります。これは宿命なのです。そして必ず女児が生まれるでしょう。その女児には私と同じ名を与えなさい。そして、私と同じ年になる誕生日に同じように皆で喰らうのです。そうしなければ私の加護が消えます。不老不死のままいたいのなら、必ず、これから何度でもおきるその現象を体感しなさい。あなたがたに与えられた使命なのです。」
と。
その後、沙良は自らの胸を刃で突き、息絶えた
そして村人たちは血肉を少しずつ分け合い、食したという
その後、人魚村の者たちが死ぬことはなかった・・・
この書物を半分まで読み進んだあたりだが、ここまででずいぶんのことがわかった
しかし、本当なのだろうか・・・?
沙良という女性は必ず何度も生まれ出るということ
必ず生贄となってきたということ
そもそも本当に最初の沙良が人魚だったのかということ
あまりの内容にぼくは書物を途中で閉じてしまい、開ける気持ちになれなかった
しかし、本当に大事なことが書かれていたのはこの後だったことを、ぼくは今まだ気づかなかった。。。。
~つづく~