日立製作所が今年度中にテレビの自社生産から撤退する方向で


検討していることが明らかとなった。


今後は台湾など海外のEMS(電子機器の


受託生産会社)に生産委託する見通しだという。


 同社は電力機器など社会インフラ事業への注力を明確にしているほか、


国内のテレビ需要は市場縮小が見込まれているため、


自社生産から撤退し事業の軽量化を図るようだ。


 日立は岐阜県美濃加茂市の工場でテレビ生産を行っているが、


今年度中にも終了する見通しだ。


「Wooo」ブランドのテレビの販売や新製品の技術開発は継続し、


テレビ工場は他の製品の生産に切り替え、生産に従事する


約300人の従業員の雇用も維持する方針だ。


 日立のテレビ販売は2010年度に約200万台で、


2000万台以上の販売実績があるソニーなど国内の他メーカーに比べ


規模は大きく見劣りする。


また日立がテレビ販売の4分の3を依存する国内市場は、


今年7月のアナログ放送終了に伴う買い替え需要の落ち込みで、


10年度に2570万台(日立調べ)だった需要が11年度には1100万台に、


12年度には700万台に激減する見通し。


需要縮小に伴う採算悪化に備える狙いで、


1956年以来続けてきたテレビの自社生産を打ち切る考えだ。