「日本沈没」など都市文明を風刺した作品や未来学の提唱、
万国博覧会のプロデュースなど幅広く活躍した作家の小松左京
(こまつ・さきょう、本名・小松実=こまつ・みのる80歳)さんが肺炎のため
大阪府箕面市の病院で26日、死去した。
葬儀は親族のみで済ませた。お別れの会などは未定との事。
1931年1月、大阪市生まれ。京都大学文学部イタリア文学科卒。
在学中、高橋和巳(故人)らと同人誌に参加。卒業後、経済誌の記者や時局漫才の
放送台本作家などを経て、61年「SFマガジン」の第1回コンテストで、
「地には平和を」が入賞しデビュー。
64年に長編小説「日本アパッチ族」で、大阪・砲兵工廠(こうしょう)跡から
鉄を盗む話を通して戦後日本の貧しかった日常や社会的な問題を
庶民性を盛り込みながら描き、注目された。
以来、一貫して「人類と文明」をテーマに作品を書き続け、
73年の「日本沈没」で日本推理作家協会賞、85年に「首都消失」で日本SF大賞を受賞した。
70年の日本万国博覧会(大阪万博)や90年の「国際花と緑の博覧会」もプロデュースした。
2000年に斬新なSF小説などを対象にした「小松左京賞」を設立。
ここ数年、体力が落ち長く座るのも困難になっていたようで今月8日に発熱し入院、
26日に急変したという。心からご冥福を祈りたい。
