JR西日本の「日勤教育」をめぐる27日の訴訟で、


請求額のうち30万円が認められた奈良電車区の運転士、


鍵谷稔さん(52)は12年前を、「神経がすり減っていく日々だった」と、振り返った。


きっかけは平成11年12月、乗務員訓練に2分ほど遅刻したことから始まる。


鍵谷さんが課された日勤教育の期間は、今回の訴訟の原告で最も長い約5カ月。


だが、「日数や達成目標などについて、事前に説明は一切なかった」という。


 上司らに取り囲まれ、「こんなアホはおらん。


下の下や」「頭も悪い、心も悪い」といった暴言を浴びせられた。


退職届の用紙を渡され、辞職も迫られた。


 なにより苦痛だったのは、「さらし者」にされたことだった。


同僚から丸見えの場所で、命じられるまま連日、就業規則をひたすら書き写した。


「先が見えない毎日だった」


 約5カ月後、「今度事故を起こしたら運転士を辞める」と宣言させられ、


日勤教育はようやく終わり、鍵谷さんは「日勤教育は精神的に追い込むだけ。


ミスの根本的な解消にはつながらない」と日勤教育を批判した。