26日、公正取引委員会の犯則審査部は自動車や家電製品など
多くの機械の回転部分に使われる「ベアリング」と呼ばれる部品の販売を巡り
価格カルテルを結んだ疑いが強まったとして、刑事告発を大手メーカー4社を
家宅捜索(強制調査)した。
同部による捜索は3年半ぶりで、新たな刑事事件に発展する可能性が出てきたという。
関係者によると、捜索先は、日本精工(東京都品川区)
▽NTN(大阪市)▽ジェイテクト(名古屋市)▽不二越(富山市)--の本社や
営業所など約20カ所で、ベアリングの国内市場規模は10年度で約4500億円で、
8割以上のシェアを4社で占めている。
4社は遅くとも04年から5回にわたり協議し一斉に値上げした疑いがあるとの事。
各社の営業担当の取締役が集まり値上げの方針を決め、
その後部長らが集まって値上げ幅を決定。
製造業者など大口の顧客向けの価格を数%引き上げることで合意したほか、
卸売業者など小口向けでも千数百種類に上るベアリングを販売する際、
取引の目安に使う定価表の価格を数%高に改定することで合意したとみられている。
ベアリングは摩擦抵抗を少なくして回転する軸を支える部品で、
エンジンやモーター、など回転運動部に必ず使われる。
新幹線や飛行機、産業機械から掃除機や洗濯機にも使われ、
年間の国内の販売個数は20億~30億個になるという。
公取委は大手企業が組織的にカルテルを結んでいた疑いが強く悪質だとして、
行政処分を目指す調査ではなく刑事責任を追及する犯則審査部による調査が必要と判断した様だ。
ベアリングの販売を巡っては73年にも日本精工など4社が価格カルテルを結んだとして、
独禁法違反で排除勧告を受けている。
