ロック歌手のダイアモンドユカイ(49)。現在は1児の父で、


11月には双子も生まれる予定だが、6月にブログで無精子症であることをカミングアウトした。


このたび自らの半生と、壮絶な不妊治療を行い、妻とともに闘った日々を


綴った著書『タネナシ。』(講談社、1470円)を出版した。


「実は前から話すべきかどうか、ものすごく葛藤してたんですよ。でも今回の震災で、


命の尊さについてすごく考えさせられた。


瓦礫の中で救われた命のニュースなどを見ると、逆に俺も勇気づけられて。


そんな中、妻が双子を授かった。


 最近俺の周囲をはじめ、不妊治療中の人や子供が欲しくてもできない人の多さに驚いていたので、


俺の経験を話すことで、その人たちを勇気づけられたらと。


そして何となく行動しそびれている人たちに、前に進むきっかけにしてもらえたらと思ってね」と話す。


 この本は単なる無精子症の告白本ではない。


彼が本当に伝えたかったのは無精子症の発覚から始まったさまざまな問題を、


夫婦がどう乗り越えたかの絆の話だという。


だからこそ、本には伝説のロックバンドのボーカルとして活躍し、解散後、


人気が凋落した時期も毎日違う女性と夜を過ごしていた当時のことも赤裸々に描かれている。


 ある意味“オス”として自信があった彼が、無精子症を知ったときはどれほどショックだっただろう。


「正直、医師から『あなたの精子はゼロでした』といわれたときは、頭が真っ白になった。


俺は男を売り物にしてたし、ロック歌手として上から目線の物言いをし、


自分はジャングルを駆ける豹か虎だと思ってたのね。


なのに鏡を見せられたら、猫だった。そのぐらいの衝撃で、男としての自己が崩れ去ったね。


その後、俺は男として欠陥品でもうだめだとか、


いろんな思いが走馬灯のように駆け巡ったよ」と語っている。