公正取引委員会は20日、自動車メーカーに販売する車の部品を巡り


カルテルを結び受注調整を繰り返していた疑いが強まったとして、


独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いでデンソー(愛知県刈谷市)や


三菱電機(東京都千代田区)などメーカー7社を立ち入り検査した。


 関係者によると立ち入り先は他に▽日立製作所の子会社、


日立オートモティブシステムズ(千代田区)▽カルソニックカンセイ(さいたま市)


▽ミツバ(群馬県桐生市)▽デンソーの子会社、アスモ(静岡県湖西市)--など。


カルテルの対象となる部品は▽ラジエーターと電動ファンの冷却装置


▽ワイパー▽スターター▽オルタネーターと呼ばれる自動車用発電機--の計4品目だ。


 遅くとも各社は04年ごろから、ホンダや三菱自動車など自動車メーカーが


モデルチェンジする際に実施した4品目のコンペで、事前に協議して


受注予定者を決めていた疑いがある。


受注を分け合うほか、コストダウンを要求する自動車メーカーに対し、


見積もり価格を調整して価格の低落を防ごうとしたとみられる。


4品目はそれぞれ年約300億~400億円の市場規模だという。


 自動車メーカーに対する部品販売を巡っては「ワイヤーハーネス」と呼ばれる


車用の電線でもメーカーが同様にカルテルを結んでいたなどとして、


公取委のほか米国や欧州連合(EU)など海外の当局も昨年2月に調査を開始。


米当局の調査対象にはデンソーの米子会社も含まれていて、


公取委は今年6月、矢崎総業(東京都港区)など電線メーカー3社に


計約130億円の課徴金納付を命じる方針を固め、各社に事前通知を行った。


 デンソーや三菱電機などは「立ち入り検査は事実で、全面的に協力する」とコメントを残している。