魁皇がまた負けた。千代の富士が持つ史上最多の通算1045勝へあと1勝の
大関・魁皇は東小結・豪栄道に寄り切られて連敗。
残念だがタイ記録はまたお預けとなった。
これが生みの苦しみなのか。魁皇がなすすべなく豪栄道に寄り切られた。
「下半身に力が入らない」。
初日に続くわずか4秒7での黒星に言葉も湿る。
「周りがああだこうだ言うから疲れる」あと1つの足踏み。
珍しくいら立つ38歳の言葉に1勝の重さがにじみ出ていた。
1045勝への挑戦が始まった初日。被災地の岩手県大槌町の大槌中相撲部も
全国中学相撲選手権の岩手県予選を戦っていた。
4月21日。魁皇は友綱部屋の被災地慰問で大槌町を訪問。
中学の相撲部員に、教師のように稽古から日常生活に至るまでの心構えを説いた。
3月11日の津波で町の大半を失った。
相撲部は駒林規也監督(享年41歳)が犠牲になり約1か月も稽古ができなかったようで、
大きなハンデを背負いながら小原拓也主将が無差別級で優勝。
同じ3年生の岩間弘将さんも75キロ以下級で優勝し
8月の両国国技館での全国大会出場を決めた。
3か月前。魁皇は部員全員に「どんな状況でも前に出ることが一番」と説いた。
小原主将の母・知恵子さんは「魁皇関の言葉を思い出して
子どもたちは全力を出すことだけを考えていました」と明かした。
通常開催に戻った今場所はNHKの中継が再開。
「部活で生中継は見られませんがニュースで見ています。なんとか記録を達成してほしいです」と
知恵子さんはコメントを残している。
3日目は鶴竜戦。初日から3連敗は大関昇進後4度あるが、すべて途中休場している。
「しっかり力を出すことだけを考えているが思ったより足が出ない」。
激しい腰痛が襲う。「どんな状況でも前に出る」。
中学生に贈った言葉を今こそ自身が示す時だ。
