世界各国にいる邦人をテロなどの危機から守る密命を与えられた
外交官・黒田康作の活躍を描く『アンダルシア 女神の報復』に主演した織田裕二が、
自身が演じる黒田は未曽有(みぞう)の国難に直面している
今の日本にこそいてほしい理想の人物なのではないかという熱い思いを語った。
本作では、パリを訪れていた外交官・黒田康作(織田)が、
スペイン北部の小国アンドラで発生した日本人投資家の射殺事件の調査を命じられ、
遺体の第一発見者で銀行員の新藤(黒木メイサ)、
事件の担当者でインターポール捜査官の神足(伊藤英明)と共に
事件の真相に迫っていくサスペンスドラマだ。
織田が黒田を演じるのは今回が4度目だが、
最新作ではより人間味が増したキャラクターとして登場している。
自らに危険が迫るときでさえ、「国のトップに言われてもノーを貫き通せる、
一本筋を通してしまう男ですよね」という従来の基本的な性格はそのままに、
新藤や神足の心の傷を気遣い、親身になって思いやる優しい一面も見せている。
「神足役の伊藤君に、『黒田って、優しいですよね』と言われたけれど(笑)、
僕自身も黒田を見ていて、今の日本にいてほしい男だなあと思うときがあります。
大事な局面で国の代表として外交を成功させるには、
強い信念や愛情がないと無理だと思う。
そういう意味でも、黒田のキャラクターには僕らの願望が込められているのかもしれないですよね」と
織田自身も黒田へのあこがれを隠さない。
また、本作はスペインを始め、空前の規模で海外ロケが敢行され、
オールスターキャストが繰り広げる豪華絢爛(けんらん)なサスペンス超大作だが、
本作の完成前、撮影中に大震災が発生。
織田自身にも迷いが生まれたことを告白している。
「今回の撮影中に大震災が起こったけれど、悩み考えた末に、
やっぱりこういう作品でメッセージを出していく、元気を出してもらうことこそが、
僕たちにとってはベストの方法で、自分たちにしかできないことだなと思えたんです」と
被災地へ思いをはせながらも、自分の持ち場で全力で戦うことの重要性に気付いたという。
何よりも映画というのは、そして今回の『アンダルシア 女神の報復』は、
「後味が暗くないところがいいですよね。
確かに苦いことは苦いけれど、それこそエスプレッソに砂糖を入れて飲むスタイルに
似ているというか、底のほうに砂糖が溜まっているから、ビターなだけじゃなくて
スイートな味わいも待っている。でも甘すぎず、後味はすっきりしている、
この感じがすごくいいなあと思いました」。
映画『アンダルシア 女神の報復』は6月25日全国公開。
