3月11日の東日本大震災から2カ月余りが経過したが、


度重なる余震に加え、根室沖など、今回の震源地から遠く離れた地域でも地震が散発しており、


全国各地で改めて大地震への警戒感が強くなっている。


北大理学研究院地震火山研究観測センターの谷岡勇市郎センター長(地震観測研究分野教授)に


今回の東日本大震災が地震学にもたらした教訓、今後の発生の可能性などについて聞いた。

-今回の東日本大震災で地震予知にどのような影響があったのか。


 実は多くの地震学者は今回のようなマグニチュード(M)9もの


巨大地震が起きるとは思っていなかったという。


宮城県沖では1978年にM8クラスの地震が起きているが、


同様のクラスの地震については、おおむね30~40年周期に発生しているため、


そろそろではないかという見方は強かったようだ。


 今回の地震は津波堆積物調査の結果などから、869年に東北沖で発生した


貞観地震に匹敵するといわれる。


貞観地震は宮城県多賀城市で1000人が溺死したと記録が残されており、


陸地が隆起して松島ができたという言い伝えもある。


 このような巨大地震は30~40年の周期ではなく、周期がないか、


もしくは周期が長いために予測がきわめて難しい。


直前予知は確かに難しいが、長期予知は可能だと多くの学者が取り組んできたが、


長期予測もそう簡単ではないということが、東日本大震災の教訓で分かった。