岡山大や東京大などのグループが中国からの輸入に頼る希少金属
(レアメタル)の一種「アンチモン」の鉱床を、鹿児島湾の海底で発見した。
埋蔵量は、国内の年間販売量の180年分と推定される。
しかし、強い毒性によって採掘の際に海洋汚染が生じる恐れがあるため、
実際に採掘するには新たな技術の開発が必要だという。
鉱床が見つかったのは、2003年に気象庁が「活火山」に指定した
若尊(わかみこ)カルデラの一部で、桜島の北東約5キロの鹿児島湾内にあり、
約2万5千年前に大噴火した姶良(あいら)カルデラの主要火口だという。
07年に約200度の熱水噴出孔を発見した山中寿朗・岡山大准教授(地球化学)らが、
付近の鉱物を調べていた。
鉱床は、水深約200メートルの海底に、厚さ5メートルで
直径1.5キロの円状に広がっていて、エックス線の調査で平均約6%含まれていることがわかり、
全量は約90万トンになると推定している。
昨年の国内販売量は約5千トンなので、計算すると180年分がまかなえる事になる。
中国では含有量約0.5%の岩石から抽出しているといい、
鹿児島湾の鉱床の方が効率よく取り出せるという。
しかし、アンチモンにはヒ素と同じ毒性があるため、海砂利と同じような方法で
採掘すると海中に拡散する恐れがあるという。
体内に蓄積した魚介類を通し人体にも害を及ぼしかねないので、
山中准教授は「海洋汚染を防ぎながら海底から取り出す技術を開発できれば、
自給が可能になる」と話している。
