東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた岩手県大槌町で、


経営する生花店も自宅も流された女性が、残った倉庫の片隅で仮営業を続けているという。


8日の母の日を前に、供花に混じってカーネーションの注文が増えているようだ。


 「小松生花店」に女児の手を引く女性が訪れた。


白いユリに黄色い菊……。


注文を聞いた小松美恵子さん(60)が「津波で誰か亡くなったの」と尋ねると、


女性は「娘。この子の母親よ」と力無く答え、ピンクのカーネーションを加えてほしいと注文してきた。


 別の女性客は「夢に出て来た母親が泣いていた」と


仏壇用の花にカーネーションを足してと頼んできた。

 3月24日に営業を一部再開した店で、売れるのはお供え用ばかり。


4月末に子どもの誕生日用の花が売れたぐらいだ。


震災四十九日用の在庫が売り切れたらいったん店を閉めるつもりだという。


「花を楽しめる心の余裕が生まれるのはいつだろう……」とつぶやいた。