原発の是非を問うた作品「パエトーン」を、電子書籍の形で無料公開している。


福島の原発事故直後、ネット上で話題になったのがきっかけで、


漫画家の山岸凉子さんが、先月25日に公開したという。


 チェルノブイリ事故から2年後の1988年に発表し、ギリシャ神話に出てくる


高慢な少年パエトーンは、太陽神の日輪の馬車を暴走させ、


あわや地球を焼き尽くしそうになってしまう。


 作品はこのパエトーンを、原子力を制御できると信じる人間に重ねて描いたもの。


さらに原発の仕組みや日本の原発分布、日本で事故が起きた場合の影響などを、図入りで説明している。

 公開した潮出版社によると、福島の事故直後、


ネット上で「まさにパエトーンの状態だ」と話題になり、山岸さんに知らせると、


「ぜひ無料公開したい」と返事があったという。


 山岸さんは原発について本で学び、チェルノブイリ事故後、


「今、日本で起きてもおかしくない」と危機感を覚えたという。


 「原発は、ひとたび事故が起きれば人間の力で制御できないほどのエネルギーを持つ。


メリットに対するリスクが大きすぎ、25年前と危険は少しも変わっていない。


原発について、一人でも多くの人に考えてもらいたい」と話している。