「嫌い」
その一言が僕の心を抉った。
わかっていたことなのに、な。
ずっと、感じていたことなのに。
君が発した言葉に、心が悲鳴をあげた。

「なんてね、冗談だよ」
そして君は笑う。
傷付いた僕を嘲笑うかのように。
泣きたくなるくらいに綺麗な笑顔で。

「傷付いた?」
うん、とっても。
けれど、涙は流れない。
言葉を発したのが君だったからかもしれないね。

「好き、より嫌いの方がお似合いね」
そうかもしれないね。
なんせ、君が嫌う僕だから。
「好き」より「嫌い」の方があっている。

「反論しないの?」
しないよ。
出来ないんじゃなくて、しないのさ。
悔しそうな顔をしている君が、そこに居た。

「何か、悔しいわ」
そうかい?
それならば僕は愉快だと言おう。
「悔しい」と繰り返す君に、僕は微笑む。

あぁ、もう時間だ。僕は行くよ。
君との思い出を携えて。
泣きそうな、半笑いの君に。
「ばいばい」と笑顔を僕は君に向けて。

「さようなら」

小さく呟いた言葉は風にとけていった。



前作同様、無断転載は禁止です。
今でも君を想うよ
どんなに離れていても。

季節がどんどん過ぎていって
一巡り、二巡りして
また、あの季節がやってきた

君と初めて会った春、二人で夏祭りに行った夏
本について話した秋、雪にはしゃいだ冬

そして、互いに泣いた春

沢山の出来事があったよね
笑って、泣いて、喧嘩して怒って
その度に君も私もくるくると表情を変えて
最後は「ごめんね」って仲直りをしたね

私の名前を呼ぶ声も、「好きだよ」も
「ありがとう」も、「ごめんね」も
君から貰ったいくつもの言葉は
頭から離れてくれないよ

忘れたいのに、もう傍に居ないのに。
君が今見ているのは「私」じゃ、ないのに。

どんなに離れていても、君の心が遠くても
私は此処に居るよ

「    」

君に向けた最後の言葉は
優しく吹く風に包まれて
空に舞った


今でも君が

久し振りに、作りました。
色付きのところがタイトルになります。
無断転載などはしないでください。