チーフトレーナー前波です。

 

今日は運動時における水分摂取の主な目的を考えたいと思います。

 

『運動シーンによって摂取方法や摂取するものを変えたほうがいいって知っていましたか?』

 

水分摂取の重要性は周知されていますが、いつどんな飲み物をどんな目的で摂取しているでしょうか。

『なんでもいいから飲むは大間違い!!』

です。

これは健康を害するだけでなく、命の危険にも近づきます。

今日は、水分摂取の目的についての私の考えを書きたいと思います。

 

水分摂取の目的は大きく分けて2つ。

 

①失われたエネルギーを補給する。

②カラダを冷やす。

 

に分類します。

①は特に重要で、何をどのタイミングで補給するかで効果は変わります。②はパフォーマンスに大きく影響しますね。

運動を基準に考えます。

 

【運動前】の水分摂取の目的は、

 

・体温の急上昇を防ぎ、発汗による体力消耗を押さえる

 

にあると考えます。

カラダを動かし始めると、熱を生み出し体温を上げます。その急激に上がる体温を下げるために発汗が起こります。

体温が急激に上昇するのを防ぎ、体力の消耗を抑える効果に期待します。

発汗機能は体温調節に重要な役割を担います。

汗をかかないようにするのではなく、汗を積極的にかいて発汗機能を正常に維持するようにしましょう。

 

運動前に摂取するものは、15℃以下に冷やした飲み物がおススメです。運動前の発汗の90%が水分です。補給には、ミネラルウオーターやミネラルの入った麦茶、アイソトニック飲料がおススメです。

 

では【運動中】はどうでしょう。

運動中の水分摂取の目的は、

 

・体温の上昇による体力消耗を防ぐ

・失われた電解質を補う

 

にあると考えます。

運動中に失われた電解質を補うために水分摂取をしますが、いわゆる『がぶ飲み』は危険です。

飲んだものがすべて均等に吸収されるわけではありません。摂取の仕方を誤ると吸収力に影響します。

運動中、短時間にトイレに行く子はがぶ飲み傾向にありませんか?このような子は摂取方法の観察が必要です。

定期的、こまめに摂取することがおススメです。

私は水分摂取も技術だと考えます。自分の身体にあったタイミングを知ることも競技力向上につながります。

それを教えることもジュニア教育と考えています。

 

摂取する飲み物は、種目や運動負荷量・環境状態・体調によって異なります。

失われた電解質を補うための補給ですから、このタイミングではミネラルフォーターだけの飲水は危険です。

スポーツドリンクでもそれぞれ特色があります。競技特性(運動時間・運動様式・外的環境など)と発汗の状態に合わせて選ぶことをおススメします。

 

最後に【運動後】の水分摂取です。

このタイミングでの目的は、

 

・失われた電解質を補う

・体重損失量を補う

 

にあると考えます。

カラダを正常な状態に戻すことです。

よく、運動直後に『体重が減った!』という方がいますが、これはおそらく脱水による減少でしょう。

それが数日続くなら、脱水が数日続いているという可能性があります。とても危険です。

私たちトレーナーは、運動時または運動後の体重減少をコントロールします。体重に対する体液の減少を2%以内に抑えるようにコントロールします。

この2%を超えると脱水に近づきます。身体へのダメージが大きくなり、次の試合でのパフォーマンスが低下する恐れが出てきます。

たくさん運動して汗をかいた後の体重を測ってみてください。

もし運動前よりも2%以上の体液が減少していたら、適切な水分摂取を行いましょう。

とはいえ一気に2%分を補給するのは非効率なうえ、危険も伴います。

大切なのは、適切な水分摂取によって体調を維持することです。

運動時の補給は、電解質飲料がいいでしょうね。

さらにはBCAAやタンパク質の配合された飲み物は、リカバリーをアシストしてくれます。

 

 

このように、水分摂取の目的を理解すると、何をどのようなタイミングで摂取するのかが見えてきます。

つまり『なんでもいいから飲む!』は誤りですよという話でした。

 

コンディショニングトレーナー

前波卓也