指を指される事にムカつく。

 

言い方にムカつく。

 

態度にムカつく。

 

いろいろな日々の出来事に僕らの心の中は渦を巻く。

 

渦は少しずつ広がっていき、ブラックホールのように感情を吸っていく。

 

抵抗して、爆発するか。

 

飲み込まれるて、無になるか。

 

他人の胸の中の渦を広げる側になるか。

 

被害者でいるか。

 

僕は自分と話をしなければならない。

 

「君がムカつくのはなんで?」

 

「だって、指を人に刺されるのは誰だってムカつくだろ?」

 

「そうかもしれない」

 

「それに言い方や態度次第で嫌な気分にもなると思わない?」

 

「うん。でも言い方や態度、指をさす、刺さないでムカつくのがなぜか、ちゃんと考えてみるべきだと思う」

 

僕の中で小人が動き出す。

 

「君がムカつく相手の行動、これは本能的にムカつくのかな? それとも理由があってムカついているのかな?」

 

「本能、、、もあるかもしれないけど、多分、理由があると思う。 言い方や態度を気を付けろと教わってきたし、やっちゃいけないマナー違反をしないように生きているからね。きっと、それをされたら嫌でしょ、と教わってきたからだと思うよ」

 

「それをされたら嫌でしょ、と言われるうちに、そう感じるべきだと君は思ったんだね」

 

「それが悪いことみたいに言うなよ。 そう感じるようになったから、うまく生きれているんだから」

 

「そう、そこだよ。人の感情や人格っていうのはね、自分の人生経験によって形成されるものなんだ。 君がムカつく行動をした人々。彼らは君とは根本的に感じ方が違う人たちなんだよ」

 

「経験が違うから? いやだって、それだって常識のないのは彼らじゃないか?」

 

「そうかもしれない。君の言うとおりさ。でも考えてみてよ。彼らはそれが悪いことだとは思っていない。少なくとも君ほどにはね。 彼らはただ、君に悪い態度をとり、言い方をし、指を指しただけなんだよ。

その生き方で彼らはうまく行ってきたんだ。 」

 

「だから、合わせろと?」

 

「君が模倣することはない。多と上手くやってく為には君の感じ方のほうがいい。 僕が言いたいのは彼等は「ただ」そうしたということさ。 君は不利益を被り、ムカついたらどうする?」

 

「別に、相当なことじゃなきゃ我慢するけど」

 

「なるほどね。それが君にとって少なくとも上手く行っていると思っているやり方なのさ。彼等はその時、指を指しながら、悪い態度できつい言い方をするんだろうけど、彼等にとって、それがうまくいく人生だったということなのさ」

 

「つまり、経験によって形成される人生において、彼等の考え方、感じ方とぶつかったときは、諦めろってこと?」

 

「端的に言えばそのとおりさ。いちいちムカついてもしょうがないだろう。 経験によって形成されるに過ぎない単純行動に一々ムカついていたら、君の中は良くない感情でいっぱいになってしまうよ。 第一、彼等はそれを少なくとも君ほどに悪いと思ってはいない。 だから、そこを省いて見ればよいところもあるかもしれないのに、悪いと思う部分に固執することでその人の長所も見えなくなってしまう。 いいかい、きみがこれからの人生、上手くやっていきたいなら覚えておくことさ。 人は単に経験と身体的特徴によって形成される生き物なんだよ。 人の行動は動物的単純行動と人間的特殊行動に分類できる。動物的単純行動とは無意識的に出てしまう態度や行動のことさ。 この部分に固執するようでは一生人を上手く理解できないものだよ」

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僕の中には小人が住んでいる。

 

ムカつくことがあると大きな隕石が生まれ、僕の中にあるブラックホールに飛び込んでいく。そのたびに渦は広がり続ける。

 

小人は隕石に飛びつき、カンカンと削ってくれる。

 

生き方の上手い人は小人ではなく、巨人を住まわせていて、ぶん殴って終わりだ。 

 

僕は小人と共に、こうやって、自分の中で納得させて、せっせと石を削るしかないのだ。