眠気とともに電車を降りた。

 

ふらつきながら自転車にまたがって帰路に着く。

 

春の夜風が海の匂いをこんなところまで届けるとは思わなかったけど、

なんだか嫌な気分にはならなかった。

 

 

2週間前に彼と別れた時から変わっていく様で私は変わっていなかった。

あれからどんどん早送りに時が過ぎている様なスローモーションで動画に飛び込んでしまったみたい。

 

私に中にポッカリと開いた大きな穴とそこにいる喪失感を連れて、自宅に向けて自転車を漕ぐ。

 

なんだか帰りたくないなぁ

 

自宅の前をそのまま通り過ぎて流れるままに自転車を漕ぐ。

 

 

何をしているのかもわからないまま彼に電話しようかと悩むが

結局のところ関係の悪化しか招かないこと、彼の声が聞けたらと一喜一憂していた。

 

会いたい、声が聞きたい、抱きしめたいせめて挨拶だけでも

 

なんて考えてみても意味がなかった。

 

 

夜は見知った街でさえも別人にする。

午後9時頃、そんな雰囲気が好きでまた自転車を漕ぐ。

 

そうだ、好きなものを買ってこれを文字に起こそう

 

そう考えるとなんだかさっきまで憂鬱だった帰路が楽しみに変わって行った。

家の近くのコンビニで好きなお菓子と間違って買ったカフェオレを手に入れて

私は今度は真っ直ぐ帰路についた。