みなさん、お久しぶりです!ブライアンです。

前回と前々回でご紹介したAllan HoldsworthPercy Jonesは、自分にとってFavourite Musicianの2大巨頭です。

さて、そうなると次はだれを紹介するか。悩みに悩みました…

自分はカンタベリー・ミュージックと呼ばれるイギリスの片田舎出身のミュージシャンが形成する音楽シーンが好きです。世界的に見ても、国や民族としてのアイデンティティーを音楽性にしているミュージシャンは数限りなくいますが、ひとつの国の一地方(しかも中心地ではない)のミュージシャンが、音楽性において特異なものを持つ現象は、カンタベリー以外にはないように思います。「カンタベリー」という確固たる音楽の種類があると言っても過言ではないでしょう。「何がそう感じさせるのか」よく分りませんが、Caravan, Soft Machine, Matching Mole, Egg, Hatfield & The North などのバンドが持つ、クールなのに人間味があり、靄がかかったような湿った感触でありながら繊細で緻密な音楽に心を魅かれます。

その中でも特に好きなプレイヤーがAlan Gowenです。古くはJamie MuirAllan Holdsworthなどと活動し、アフロ・ロック・グループのAssagaiにも参加していましたが、何といってもその存在感を示したのは、GilgameshNational Healthという二つのグループへの参加です。Dave StewartEgg, Hatfield & The North, Bruford他)と深い交流がありましたが、そのキーボード・プレイは好対照。オルガンを多用するにDave Stewart対して、エレピやシンセをメインにしているAlanのプレイは、Daveよりもジャズ寄りでクールな印象ですが、リード・プレイやコンポジションにおいて抜群のセンスを持っています。Gilgameshの曲やNational HealthBrujo、BrufordのHell's Bells(Daveとの共作)はまさに名曲です。彼は残念ながら1981年の5月17日に白血病で亡くなりますが、彼の死後にDaveを中心としたNational Healthのメンバーが彼の遺した曲を再録し、「D.S. AL CODA」として発表しました。このアルバムも名曲ぞろいで、つくづく惜しい人を亡くしたと実感しました。Daveがその後の活躍によって光の存在になったことを考えれば、Alanは影の存在のまま亡くなった不遇の人と言えるかもしれません。