マルバネクワガタは本土のオオクワガタやノコギリクワガタなどと異なり、マットを団子状に固めてその中に蛹室を作成します。これが俗にいう繭玉です。繭玉本体はボトルやケースからは見えない位置に作成することが多いのですが、作成したというサインはボトルやケースの側面や底面から確認することができます。


 

今回はマルバネクワガタの繭玉作成サインの解説、ボトルタイプとケースタイプでの見え方の違いと例を書いていきます。

 

 

 

・繭玉作成サイン

 

繭玉作成のサインは大まかに2つあります。

 

1つ目はマットの変色です。先述した通りマルバネクワガタの幼虫は糞や体液を用いてマットを楕円形状に固めて繭玉を作成します。その際に押し固められたマットが腐敗し明るい茶色に変色します。水分多めの状態でも少なめの状態でも周囲のマットと比べて明らかに色が違うため分かりやすいです。ただし、マットの状態や個体の作成状況によって変色が確認できない場合もあるため注意が必要です。またこれはマットの水分量が多い場合でも起こることがあるため、確認したい場合はマットの水分量に注意してください。

 

2つめは容器内の隙間です。先にも書いた通りマットを固めて繭玉を作成するため多くのマットを使用することになります。繭玉を作成するマットを1ヵ所に集めるために移動を繰り返すことで坑道状の隙間が作り出されます。この坑道は幼虫が摂食する際に周りのマットを固めて作成するものとは違い、容器の広範囲にわたって隙間ができます。マットの変色が確認できない場合でも、この坑道状の隙間が容器全体に広がっているのを確認できれば、繭玉を作成している可能性が高いです。

 

・ボトルタイプとケースタイプの違い

 

ボトルタイプの場合はほとんどの個体が容器側面に繭玉を作成するためマットの変色具合が分かりやすいです。また、側面や底面から中の様子を観察できる場合があります。ガラスビンだと特に見やすいです。中の様子が確認できる場合、繭玉作成~蛹化・羽化までの期間が正確に知ることができ、他の個体の繭割のタイミングを計りやすくなります。一方容器面積が狭いため、繭玉作成用の坑道か摂食のための坑道かといった隙間による判断は難しいです。また水分が抜けにくく、水分量の多いマットだと変色しやすくなるためそちらでの判断も難しくなります。

 

ケースタイプの場合は中の様子を確認できることはほとんどありません。マットの変色具合については、はっきり見えることもあれば、まばらに見えることもあるなどボトルタイプに比べてはっきりしない場合が多いです。一方容器面積が広いため、繭玉作成用の坑道と摂食のための坑道との違いが出やすく、隙間での判別は容易です。

 

※これらはあくまでも私の主観です。

 

・ボトルタイプ 繭玉作成サイン見え方の例

 

・ガラスビン側面にできた繭玉作成のサイン. マットが明るい茶色に変色している.

 

・ガラスビン側面から確認できた隙間(青丸部分).

 

・ガラスビン側面から繭玉作成を確認できた例. 中央に見えるオレンジ色は幼虫の頭部.

 

 

・ケースタイプ 繭玉作成サイン見え方の例

 

・プラケース底面から見えた繭玉作成サイン. マットの変色が確認できる(青丸部分).

・プラケース側面から確認できた隙間(青丸部分). ケースタイプではこの坑道状の隙間が分かりやすい.

・ケース内上から繭玉作成を確認できた例. .

・上記のケースから取り出した繭玉.

 

・種による違いについて

 

ヤエマルの場合は繭玉作成サインが両方出やすく容易に判断できますが、チャマルの場合はマットの変色によるサインが出にくい印象です。実際に繭玉を取り出した際も容器内の隙間で判断しました。しかしこれは集団飼育を行っていたことによるものと考えているため、個別飼育でどうなるのかは今後観察していきます。

 

 

 

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以上が私の繭玉作成サインの判断方法です。

あくまで私が経験したものを書いているだけなので100%正しいとは言えませんが参考程度に思っていただければ幸いです。

この判別方法はマルバネクワガタだけでなく、飼育方法が類似するネブトクワガタやツヤクワガタでも応用が利きますので、それらの種を飼育している方は是非参考にしてみてください。