目が覚めると、地下室のバスルームに鎖で繋がれていたふたりの男。部屋の中央には自殺死体が横たわり、手にすることが出来たのは2本のノコギリ。ノコギリで鎖は切れない、切れるのは足だ。逃げるには相手を殺すこと。それは、生き残りをかけたゲームだった。
 一般人を誘拐し監禁しては殺害するシリアルキラーの、ゲームだった。いったい誰が、そして、ふたりにはどんな関係が。

 旋律の殺人ゲームだった。
この映画の出来には賛否、別れている。たくさんの伏線がちりばめられていて、筋を読み解く事が出来、質の高いミステリの様相を呈しているとか。息苦しくて、暗くて汚い画面で(主に古いバスルームの画面がメイン)不快だった。との意見。
 どう感じるのかは、観なくては判らない。
 引きつける魅力はあった。サイコ・スリラーとして成功した作品であろう。キャラクターの弱さがあり、謎に思う部分を感じたが、サラリとかわすのも、またそれなり。
 足を切ったシーンが不完全、と感じたが海外版ではノーカットであったそうだが、そのへんは見せ方がイマイチ。
 ラストはどんでん返しで終わるので、やられたと思った。
 女性には総じて評判悪いようである。ミステリを好まない人も、苦手なようである。
 だが、絶賛している人も少なくない。
 
 最高か、最悪か、極端な感想になる映画。
 久々に、本格ミステリを味わった感じで、私には楽しめた。全員にオススメをしないが、映画好きなら、観て自分で確かめよう。

 無名の新人監督ジェームズ・ワン。よく出来ました、◎あげる。

 

タイトル: SAW ソウ DTSエディション


 これなるキャット・ウーマンはバットマンのサイド・ストーリーである。主人公は『バットマン・リターンズ』でミシェル・ファイファーが演じたキャットウーマン。

 従順でシャイな女性が、巨大な化粧会社の陰謀に巻き込まれて命を落としてしまう。そこに現れたのは不思議な力を持つ猫『ミッドナイト』。彼女の力で主人公は猫の能力を持つ、キャットウーマンとして生き返る。孤高のダークヒロインの誕生である。夜な夜な黒の皮のボンディージファッションで、鞭をうならせ、都会の暗闇を駆け抜けてゆく…。

 主人公はハル・ベリーが奮闘していた。だが、これはもうけ役である。誰だって、この役ならある程度のかっこよさでヒロインになれる。誰でもCGたっぷりで、猫のしなやかな動きを手に入れる事ができるだろう。きっと誰でも良かった。
 誰でも良かったので、恋人役が。。。ハンサムではなかったです。
 悪役にシャロン・ストーンが扮しているが、迫力があったので、これは○。こんな役もやるのだと関心した。

 が、どうしてもB級です。暇があったら時間つぶしに観る映画です。飽きないけれど、感動もなく、後味もありません。これから観る人は、覚悟して観ましょう。
 キャット空中三回転には、沸きました(笑)
 B級映画好きの私にとっても、物足りない感じ。何かが足りない。ハル・ベリーの完璧ボディでも埋まらない何かが。

ワーナー・ホーム・ビデオ
キャットウーマン 特別版

 巷では、評判がイマイチ良くない作品だ。ネタバレするとか、使い古された手だとか。
 しかし私は純粋に楽しめた。妻に捨てられた、うらぶれた風体の作家をジョニー・デップが演じているのだが、どこか微笑ましい。自堕落なだらしない生活をしている、見るも無惨な中年男だが、そこはジョニー、腐っても鯛か…。カッコイイ。。作り上げた役ではなく、ほぼ素顔のジョニーが観られるので、ジョニーのファンには見逃せない。
 話は、これでもかと判りやすい伏線があるので、トリックは判りやすいのだが、そういうのもたまにはあって良いでしょう。ジョニーの一人舞台で、ジョニーくんがいっぱい。堪能しましょう。
 
 複雑怪奇なミステリーが多い昨今、あまり考えずに素直に観られる単純なミステリーは、かえって好ましいと思えました。
 原作はスティーブン・キングの短編だけれど、ウゥム…。キングには当たりハズレが多いね~。脚本や監督のせいもあるけれど…。
 ジョニー・デップが演じなければ駄作だったでしょう。

 ジョニーくんには、次回作『ネバーランド』でアカデミー賞か?との声もあるので、期待しましょう。

タイトル: シークレット・ウインドウ コレクターズ・エディション

 監督マイケル・マン、観なくては、と行ってきた。
 「ヒート」「インサイダー」「アリ」「ラスト・オブ・モヒカン」と代表作、話題作が多いが、私にとってはTVシリーズ「マイアミ・バイス」の人である。大好きな監督さん。
 主演のトム・クルーズは別に好きではないが、はずせない映画なので観てきた。今回のトムは銀髪に白髪まじり、無精髭をはやした殺し屋のヴィンセント。いままでにない役どころである。
 ヴィンセントが多額のチップと引き替えに、一晩タクシーを借り切るのだが、そのタクシードライバーがマックス(ジェイミー・フォックス)。12年、ごく平凡な日々を送ってきたドライバー。巻き添えにあったドライバーと殺し屋を乗せて、ロサンゼルスの夜の街を走って行く。。。
 スタイリッシュと呼ばれていたがなるほど、綺麗だった。今まで観た映画のシーンとは、まるで違うロサンゼルスが見えた。そこは監督の腕だろう。
 トム・クルーズがなんとも、良かった。走り方、銃の扱い方、どれもがスマートで役になりきっていた。
 フォックスは流されていたのが、追いつめられた所で強くなり、だんだんと別の顔を見せる。うまい。
 面白かった。楽しめた。独特な街の光が残像として、観たあとも残った。スタイリッシュでスピード感があり、少しだけほのぼのもできる、ちょっと不思議な映画だった。マイケル・マンらしい味である。名作「マイアミ・バイス」を思い出した。

パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
コラテラル スペシャル・コレクターズ・エディション


 アラン・パーカー監督が贈る青春映画。

 鳥に憧れ、鳥のように空を飛ぶことを願うバーディ(マシュー・モディーン)は、ベトナム戦争の最前線で精神を蝕まれてしまい、精神病院にいた。バーディは空を見上げ、鳥になることを夢見ていた。そこに親友のアル(ニコラス・ケイジ)もまたベトナム戦争で重症を負い、訪ねてきた。ある意味で、バーディを見捨てて戦場に行ってしまったアルには、罪悪感がある。アルはバーディの心を取り戻せるか…。
 アルは賢明にバーディに話しかける。バーディは意味を理解していないように上の空だ。必死なアル。そしてバーディは…。
 是非2度、3度と観て欲しい。初回は苦しい。切なく、胸がつぶされそうに思える。ラストまでの衝撃は、堪らないものがある。
 だが、2度目は全く違う印象を受ける。笑えるのだ。3度目もまた違う受け取り方をしてしまう。何度観ても新鮮な不思議な映画だ。 是非!

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

バーディ

 これに9年もかけたのね。。。私としては、漫画家の大友克洋さんが好きなので、そっちに力を入れて欲しいのだが、アニメ制作にはまってしまったのね。
 漫画の連載の時も落とさずに連載が続くか話題になったものだが、アニメも、遅い…。大友さ~ん! 

 一言で言うと、漫画らしいアニメであった。
 たとえば実写で撮ってから絵コンテに書き起こすといった手法をもちいていたDisneyや、映画的視点を持ち、それを越えたカメラアングルで描く宮崎アニメとは、一線をかくす。あくまでも、アニメ的なアニメだった。丁寧に作り上げた職人技のようでもあった。日本アニメ、ここにあり。
 が、しかし…。
 AKIRAほどのインパクトはなかった。それは、18世紀のイギリスが舞台だからだろうか。個人的な好みだろう。
 メカ好きや、男の子にとっては、たまらないのかも。
 くすんだ風景や、書き込んだメカニック、迫力です。是非、大きなスクリーンで観て欲しい。
 あ~、やっと観た。スッキリ。

 でも、物足りない。消化不良である。おおともさ~ん…

 

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スチームボーイ スターターキット
バンダイビジュアル
スチームボーイ 通常版


 なぜか気になるスパイダーマン。子供の頃から好きだった。スマートなヒーローではなく、情けないほど悩むヒーローで変わっていた。日本では、平井和正さん原作で池上遼一さん画で漫画化になっていた。それも悩むヒーローでした。
 密かにグッズを集めていました。で、一作目も映画館に行って観ました。"o(-_-;*) ウゥム…。自分でも、行くか迷うのだが、引かれてしまう。この気持ちはなんだ。
 スパイダーマン、今回も悩んでますね~。苦悩の人です。相変わらず。ついに正体がばれました。だが、そこからまたお話が始まるようで、3作目の予告のような終わり方をしていましたな。まあ、アメリカでは評判が良いので問題なく次作がさっさと作られる事でしょう。あのガールフレンド役の彼女、どっしても美人に思えないのは、私だけ?
 楽しいとか面白いって事を抜いて、習慣で観てしまったような気がしています。

 観た感想。。。「観た」。。
 。。。千円だから、いいか~。

 

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
スパイダーマンTM 2


 はっきり言って不満の残る映画だった。ある事故をきっかけに3組の男女の人生が絡み合って行く話だが。時間軸がバラバラになって構成されている。複雑な構成が良いと言うが、わけがわからん。疲れるだけ。
 古くから有る手法で、こういう構成でもスマートに作ってある映画も多いのだが。途中でうんざりしてしまった。もっとスパッと作れと言いたい。出演者が良いだけに、惜しい気がした。
 死んだら21グラム軽くなる。それは魂の重さ。ってテーマも今更って気がする。
 期待が大きかっただけに気が抜けたのだろうか。凄く体調の良いときにじっくり観るべき映画だろう。でも…。私には面白いとは、思えないのだった。もっとどうにか仕様がありそうな気がして…。

 昔のドラマ『刑事コジャック』で、このように現在と過去が混在している回があった。あの時は画面の切り替わりが見事だった。再放送で大人になってから観た時は舌を巻いた。スゴイと思った。今の映画って、昔のドラマ並?

 

東北新社
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 ピーター・ウィアー監督は『ザ・ラスト・ウェーブ』の頃から注目している好きな監督。大ヒットした映画も多いけれど、一風変わったこだわりのある作品を作り続けている。

 この映画は、日本では一部で酷評されている。そういう人は原作や歴史物に興味がないのではないかと思う。映画の楽しみ方そのものも、違うのだろう。
 私は充分楽しめた。ピター・ウィアーらしい光の使い方で、絵画のように映像を美しく見せている。迫力のある戦闘シーン。男たちの格好良さ、荒れる大海原、ガラパゴスの大自然、素晴らしい映像だった。昔の気品ある凛々しい軍人たちの姿もすごい。少年であっても、軍人。片腕を切り落とされ、更に雄々しく戦うのだ。あの時代のすさまじい戦いを見事に再現してみせている。感動した。
 大胆であり、繊細な処もある、監督らしい映画だった。

 最後なんだか、泣けましたぞ。



ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
マスター・アンド・コマンダー
タイトル: ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 特別版
 シリーズとしてではなく、単体でも面白かった。
 主人公達がティーン・エイジャーになって成長し、演技力が増したのも力強いのだが、今回はドラマの展開が早かった。新たな登場人物も魅力的だった。
 原作のように人物紹介と物語の説明に重きがあった前作までと雰囲気が違う。楽しいだけのファミリードラマではなく、ハリーのダークな部分も出ていて人間味が増している。見応えがあった。
 それにしても、ハーマイオニーは、カッコイイ。あの年頃の女の子は男子より、大人びてくるのだが、しっかり者で強い。そして、美人だ~。今回はファッションでも自己主張していたね。
 ロンは相変わらずだ。とぼけていて、それでいて重要な所を握っていて。良い友達だ。
 監督が替わってどうなるかと思っていたけど、なかなかでした。
 原作はますます、重く厚くなって行く。次作はどうなるんだろう? 映画化をするとき、ある程度のエピソードは省略されるのは仕方のないことだ。監督や脚本次第。
 映画が原作と全く同じイメージになることはない。そこを原作をなぞって近づけるか、別の物として魅力を作り出す事が出来るか。そこは監督の腕次第。原作を越えたイメージを、この作品は生み出す事に成功したようだ。
 私はやっと、ハリー・ポッターの魅力を知ることが出来た。