この1年、宇和島JCの指針として掲げさせて頂いた理事長所信を読み返すと改めていろんな事が思い出されます。
メンバーのみんなよくやってくれました!ありがとう(T▽T)
― 2014年度 宇和島JCスローガン ―

第60理事長 山本 太一

公益社団法人宇和島青年会議所は、創立60周年という新たな節目を迎えます。これもひとえに諸先輩方、そして私たちを支え続けて頂いた関係諸団体の皆様のおかげと心より感謝申し上げます。この節目という年を私たちが行ってきた活動をしっかりと再確認する良い機会とし、これまで以上に、地域に愛され、必要とされる団体となるべく真摯に活動して参ります。
【はじめに】
幕末・明治期を担う多くの「人材」を育て、新しい日本の夜明けを開いた吉田松陰。その言葉に「山は樹を以って茂り、国は人を以って盛なり。」とあります。それは「すべては「人」で決まる。人をつくり、人を育てよ。人を励まし、人を伸ばせ。この地道な積み重ねこそが、時代を変え歴史を動かすのだ。」というものです。当時、私達の住む宇和島も、伊達宗城候、児島惟謙、穂積陳重、大村益次郎(長州藩)など明治時代の核となる多くの人材を育成・輩出しました。交通難所であり情報を得ることも困難であった当時からグローバルな視野をもちこの地方から大局を見据え命懸けで行動していたのだと改めて自らを律する想いです。
基本理念で記した「一樹百穫」とは、「人を育てることは大きな利益をもたらす。また大計を成し遂げるには人材を育成しなければならない。」という意味で、春秋時代の斉の宰相・管仲の教えです。いうまでもなく、「ひとづくり」の大切さを諭したものです。日本は、古来より、多様な文化を輸入し、独自の文学、文化を開花させ、江戸時代には、寺子屋が盛んになるなど、民間レベルでも「人材育成」が盛んに行われてきました。こうした、「人材育成」があったからこそ、明治維新、第二次世界大戦後の荒廃の時代から幾度も奇跡的な復興を遂げてきたのです。
現在の我が国は、バブル崩壊とともに成長は止まり、長期にわたる景気の低迷、少子高齢化、安全保障問題に加え、先の東日本大震災、原子力発電所事故の発生。さらには、無責任、無関心、利己主義等の心の荒廃と、まさに「亡国の兆し」も色濃く見られ、私達の地域も例外ではなく希望の見えない閉塞感が蔓延し、第二次大戦の敗戦時にも比すべき国家の危機といっても過言ではない状況です。私達は、このような混沌とした時代に如何に立ち向かっていけばよいのでしょうか。
私は、この混沌とした状況を切り拓くためには、地域・国の確かな未来を創る確かな「人材」を如何に育成するかにかかっていると考えます。先人達がそうしてきたように、今こそ、「人材育成」の重要性を再確認し、十年、百年先に繋がる地道かつ「確かな一歩」を踏み出すことが不可欠な状況となっているのです。
【人材育成こそ青年会議所の本分】
私たち青年会議所は、責任世代と呼ばれる青年が集い、地域社会や企業の真のリーダーとなることを志し、自らを修練し、互いを磨き合うことで育成を果たす場であると考えます。そして、その育成のために「明るい豊かな社会」を目標として掲げ、「積極的な変革を創造し開拓するために能動的に活動できる機会を提供する」という使命を「人類への奉仕が人生最善の仕事である」という価値観のもとに運動を起こすべく活動していると理解しています。
私自身、2003年1月、宇和島青年会議所に入会しました。当初は例会と委員会だけ出席すればいいだろう、青年会議所についても自己満足の集団くらいにしか考えていませんでした。しかし、地域のため、組織のために喧々諤々の議論を交わし、事業のために寸暇を惜しんで準備し、実行していく多くの先輩達の背中を見ながら、徐々に自分自身の認識が変わり、あることに気づき始めました。私達は、40歳までという限られた期間の中で自らを鍛え上げ、地域や社会全体にどのように役に立つのかを考え行動できる「人材」を育てる団体であるということです。私達は時間に追われ、仕事に家族に後ろ髪をひかれながら、青年会議所活動を続けています。しかし、受動的ではなく能動的にその責務を全うすれば、通常では得難い様々な経験と知恵・知識そして何より仲間を得ることができます。また、単年度制により1年ごとに新しい役割を果たすことでその練度は短期間で幅と深みを増していきます。先人達が取り組んできた「人材育成」の重要性を認識し、最近よく耳にする「まちづくりは人づくりから」という考え方を、まさに実践してきたのが私達、青年会議所なのではないでしょうか。
したがって、私達、青年会議所の最大の強みは、事業を成功させる方法論でも人脈づくりでもありません。それは、60年の長きにわたり行われた「明るい豊かな社会の実現」という困難な活動の中心にある「人材」を育成する力であり、三信条である「修練・奉仕・友情」の能動的実践による自己(人材)育成こそが、私達、青年会議所の最大の存在意義なのです。
【地域に根ざした人材でなければならない】
先述のとおり「青年会議所は自己修練の場である」確かにそうです。しかし、単に「自己の成長」だけを考えていては、自己満足におわり本末転倒です。真に必要とされる「人材」とは成り得ません。学力や技術を伸ばすなら独りでもできます。机上の空論なら誰でも言えます。どんなに格好よく見せても、どんなに素晴らしい言葉を発しても心のない行動では人の心を動かすことはできません。私は、「人材」には「地域に根ざした心」が必要であると考えます。自分たちのいるこの地域の誇るべき伝統や文化、歴史を認識し、感謝することで、故郷を愛する心「愛郷心」を持たなければならないのです。
そのためには、地域のために本当に役立つことを常に考え、地道に活動し続けることが必要であり、そこから地域の人々に信頼されることで、その心は醸成されていくと考えます。また、日常生活においても仕事を誠実にこなし、家族を守り、地域社会に貢献していくことで、地域から必要とされる真の「人材」へと成長していくのです。
【創始の気概をむねに 今再び、変革の能動者たれ】
戦後、悲壮感に包まれた荒廃の時代に祖国日本の復興のため、使命感と責任感をもった青年達によって青年会議所は歩み始めました。1954年、私達の先輩達も、焼け野原となり荒廃した宇和島を目の前にし「地域の再生は青年の務めである」との使命感をむねに「宇和島青年会議所」を誕生させたのです。それから60年、私達は、地域における「明るい豊かな社会」の実現に向け、「変革の能動者」たるべく、あらゆる課題に果敢に挑戦し行動し続けてきました。
変革の能動者とは、「積極的な変革を創造し開拓するために能動的に活動できる人」であり、社会に対して責任と自覚をもち積極的に行動する人のことです。最近は、自分のこと以外には無関心でかつ利己的な行動をする人を多く見かけます。また、社会へ関わりあい行動することは大切なことだと気づいている人でも、なかなか行動が伴いません。
私は、今の時代に求められる「人材」には、先述に加え、何よりこの「変革の能動者」としての気概が必要であると考えます。その意味において、家族、故郷を愛し、奉仕、友情をとおして修練を積み重ね、地域に必要とされる「人材」となるべく創始から脈々と受け継がれてきた青年会議所の気概を再認識し、社会情勢が変化し、いかに求められる活動が時代に応じて変化しようとも変わらぬ価値である、「変革の能動者たらんとする青年としての気概」を私達は決して忘れてはならないのです。
【結びに】
青年会議所は、40歳までという限られた期間の中で自らを鍛え上げ、地域や社会全体にどのように役に立つか考え行動できる人を育てる「学び舎」です。私が青年会議所の門を叩き、これまでの経験の中で強く感じることは、個性溢れる同志との出会いや多様な知識を身につけることも重要な学びですが、地域の誇るべき伝統や文化、歴史を認識し、感謝することで、故郷を愛する「心」を学べたことです。これは、目や耳だけで感じ取ることはできないでしょう。実際に行動を起こし肌で感じ取ることで初めて学び得ることです。
そして、多くの問題を抱える混沌とした時代だからこそ、私達は、責任転嫁や傍観ではなく、60年の長きにわたり、脈々と受け継がれてきた創始の気概をむねに自らの手で真正面から取り組んでいく「変革の能動者」としての気概を再認識しなければなりません。 人生の中で、未完成ながらも最も輝きを増す青年期。人は、未完成であることを知ることから成長を可能にするのです。そしていつか自身が世の役に立つ人へとなる、これが世の役に立つ人材育成の機関、人生の学び舎たる青年会議所の存在意義なのです。
国づくりはまちづくりに始まり、まちづくりは人づくりに始まる。
創立60周年を迎える本年度、受け継がれてきた不変の気概を「継承」し、地域の確かな未来へ向けて確かな一歩を踏み出す「飛躍」の年とするべく、第60代理事長として全身全霊をかたむけ、責任をもって邁進していきます。そして、それぞれが真に必要とされる「人材」を目指し、幕末・明治・戦後を駆け抜けた青年達のように、ともに「行動」を起こしていきましょう。今再び、変革の能動者として。
《スローガン》
継承と飛躍~人材育成こそが 地域の確かな未来を創る~
《基本理念》
一樹百穫~地域(まち)づくりは人づくりに始まる~
地域に根ざし愛する心を育もう
変革の能動者として当事者意識をもって積極的に活動しよう
《基本方針》
①公益法人として適正かつ透明性のある組織・人材の育成
②誰もが成長できる例会の運営、情報を有効に活用できる組織・人材の育成
③メンバー全員で取り組む会員拡大・交流の実施
④会員の心・技・体を育成し組織力向上に繋がる事業の実施
⑤地域の魅力を発掘し開発・発信する事業の実施
⑥次代を担う青少年を育成する事業の実施
⑦地域を巻き込み次代に繋げるまつりの運営・議論
⑧創始に「還」り未来へ「起」ち上がる創立60周年記念式典並びに事業の実施